JASRAC:BGM利用で調停申し立て…15都道府県で

新聞を読んでいたらこんな記事がありました。
気になってネット検索してみると、「プレスリリース」として次の文書が公開されていました。
 
BGMを利用する全国258施設(171事業者)を一斉に法的措置
一般社団法人日本音楽著作権協会(JASRAC) 20150609


 
本日、JASRACBGMを利用していながら音楽著作権の手続きが済んでいない全国の171事業者、258施設(美容室、理容店、アパレル店、飲食店他)に対し、民事調停を全国の簡易裁判所に申し立てました。
全国各地に所在するJASRAC15支部が一斉に法的措置を行うのは、初めてです。BGMを流す施設の著作権管理を開始した2002年当時は、ほとんどの施設が業務用BGMを利用していました。業務用BGMの場合、音源を提供している日本BGM協会及び全国有線音楽放送協会加盟社などが施設に代わってJASRACに著作権の手続きを行っていたことから、適法に利用されていました。
ところが、ここ数年、BGMの音源が多様化(市販のCD、携帯音楽プレーヤー、パソコン、インターネットラジオ等)してきました。こうしたBGMの利用については、利用する施設ごとに個別に著作権の手続きを行っていただく必要がありますが、いまだに手続きが行われていない施設が多く存在しています。
BGMの著作権管理については、管理開始以降、継続して取り組んでいますが、繰り返しの催告にもかかわらず、手続きに応じない施設に対し民事調停の申立てを行いました。今年度は、6月と7月を「BGM手続き推進月間」と定め、日本BGM協会及び全国有線音楽放送協会と共同で、お店などの施設がBGMを適法に利用するための活動を推進してまいります。
以上
 
著作権というのは大切なものです。
一方で、なかなか複雑な問題を抱えてもいます。
JASRACの一括管理、著作者への使用料分配という方式にも問題があるようで、
正当な支払いが権利者になされていないことに抗議する動きが、著作者側・演奏者側にもあるらしい。
また、JASRACの業務が独占禁止法に抵触するかの論議も司法の場で続いているようです。
そんな中、BGM音源についての今回の措置…
 
これから述べる所感はまったく個人的な「思い」なのですが…

私のように、もう何十年にもわたってジャズ喫茶、音楽喫茶で「耳の修行」をしてきたものにとっては、
文中にある「業務用BGM の普及により、2002年当時は適法に運用されていた」という文言、ちょっとピンとこないものがあります。
自前の資金で購入したレコードを、鑑賞を目的に再生していた店舗は、当時は「適法」だったのかな…ということです。
はなはだあいまいな記憶で恐縮ですが、
当時のこの種の店舗における音源の扱いは、店内に置かれた雑誌書籍類の自由な閲覧と同様の「展示」に当たるとされていて、著作権使用料は徴収されていなかったのではないかと…
 
ネコパパたちは、こうした場所で「耳の修行」をして、知識経験を高め、
一方で自分のコレクションの充実を夢見たのでした。
こうした場所で「良い」と思ったものを、その後、長い長い期間をかけて、継続的に購入していったわけです。
それは現在も続いています。かなり高齢化したかもしれませんが、そういう人口は決して少なくないのではないでしょうか。
このブログの読者の皆さんの中にも…

ジャズ喫茶・名曲喫茶は、通常の飲食店のBGMとは別の、
音楽文化、音楽業界隆盛の鍵のひとつを握っていたと思うのです。
そうした店舗の多くは、飲食店とはいうものの、レコードの購入、機材購入に犠牲的と言えるような、膨大な資金を投入していることが少なくありませんでした。一方、お客は少なく、長居をするし、繁盛する商売ができる店は多くはなかったはずです。

それは、著作権とは別の問題だよ、と言われるかもしれませんが、
文化を生み出す場、というのは重要なことだと思います。「短期的には」お金に換算できない部分もあります。
 
著作権法行使の解釈転換や、厳格な施行によって、過大な使用料支払いを課され、廃業・撤退に追い込まれる…そのようなことがあれば、それは「文化」そのものを息苦しく圧迫し、停滞させてしまう行為ではないでしょうか。

今回の法的措置によって、もしかしたらそのような「悲劇」があちこちで起こることになるのでは…と余計な心配をしてしまいました。
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コメント

コメント(4)
No title
ご指摘の点、確かに難しい側面を含んでいます。往年の名曲喫茶、ジャズ喫茶は間違いなく音源を誘引として集客するものでありましたから厳密に言えば利用料を支払うべきであったのかもしれません。音源を所有しないで聞くだけでも著作権がクローズアップされたのは、ストリーミング配信が影響していると思います。ただ、それ以前にYouTubeの違法音源を聞いて済ませる若い人が増えていることが音楽産業の縮小を招いていることも間違いありませんので、我々自身が著作権を慎重に扱う必要もありそうです。

gustav_xxx_2003

2015/06/10 URL 編集返信

No title
ネット音源の氾濫により、誰でも手軽すぎるくらい簡単に音楽に触れられる世界になったのは確かでしょう。しかし大枠で基準を定め、「投網」方式で権料を集めようとする方法で、はたして現在の状況が改善できるのかは、なかなか疑問です。文化とはデリケートなもので、丁寧に、気持ちをこめて育てることでようやく育っていくものという思いもあります。私たちのように、払うべきものは払う、という姿勢が浸透すればよいと思うのですが…

yositaka

2015/06/10 URL 編集返信

No title
yositakaさん、お久しぶりです。

みっちの理解では、レコード等の著作権料の問題は、こんな歴史だったと思います。
①1970年著作権法改正 音楽喫茶のレコード演奏に、著作権料を支払う必要が生じた
(ただし、一般の喫茶店は、適用除外とされた。著作権法附則14号)
②1999年著作権法改正 附則14号が廃止され、一般の喫茶店も著作権料支払いの必要が生じた

ですから、法的には1970年以降は、音楽喫茶はレコード演奏の著作権料を、JASRACへ支払う義務があったはずです。現に2003年の新潟のジャズ喫茶スワンをめぐる訴訟では、過去10年間にさかのぼって使用料請求を受けています。(10年と区切っったのは、債権の時効のせいでしょう)

yositakaさんが見られた今回の措置は、②の附則14号廃止にともなう措置だと思います。JASRACは、音楽喫茶の時と同じように、軒並み民事調停・訴訟を行う気なんでしょう。

みっち

2015/06/10 URL 編集返信

No title
みっちさん、そうだったんですか。
そうなると、ジャズ喫茶の多くは権料を支払っていたというわけですね。
ご指摘ありがとうございます。
今後は軒並みの法的措置ですか。関係するみなさんは、どう受け止められるのでしょうか。

yositaka

2015/06/10 URL 編集返信

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プロフィール

yositaka

Author:yositaka
子どもの本と、古めの音盤(LP・CD)に埋もれた「ネコパパ庵」庵主。
娘・息子は独立して孫4人。連れ合いのアヤママと二人暮らし。

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