惜別…児童文学横丁の「ひげのプーさん」今江祥智氏、逝く

今江祥智氏が亡くなった。



松谷みよ子氏が亡くなられたとき、同僚と
「あとは、本当に、今江先生だけですね」
と話をしたのは、つい先日のことだ。
ご病気なのは存じていたので、遠からずこの日が来ることを覚悟していた私だったが、
松谷さんが亡くなられて20日後、追われるように逝かれるとは…
痛恨の思いである。
 
かつて上野瞭は、今江祥智を「プー横丁のひげのプーさん」と呼び、自身は「灰色ろばのイーヨー」と称して語りつづけていた。
上野の私的な児童文学史と副題を付けられた『日本のプー横丁(1985光村図書)では、二人の名前はそれで通されていたし、
今江自身も児童文学に関するエッセイ集に『プー横丁だより(1983青土社)と名づけたりもした。
二人にとって、児童文学は、プー横丁のように小さく、愛すべき僅かな住人たちが集う楽園のような場所であった。

今江祥智の生涯をかけた仕事は「横丁」にしっかりと根を張りつつ、
その場所からどれだけ遠くまで飛べるか、
小さな世界の、小ささゆえの魅力を失うことなく、
「豊かさと広がり」をもたらすことができるか、挑戦をつつけることだった、と思う。
 
膨大な「童話」と「少年小説」と「絵本」を書き
「エッセイ」を書き「評論」を書き
教壇に立つだけでなく、独特のユーモアあふれる関西弁で、精力的に講演活動を行って、「プー横丁」を世に知らしめ、その豊かな可能性について、語りに語った。
豊かな才能を発見しては育て、世に出し、同時に彼らに対して激しいライバル意識をむき出しにして、それを自信の創作のエネルギー源とした。
 
現代児童文学の終焉が言われるようにさえなった昨今の状況を、彼はどんな思いで見つめていたのだろうか。

最後にお会いしたとき、こんな会話を交わしたことを覚えている。
「最近は児童文学とおっしゃらず童話と言っておられますね。違いはあるのでしょうか」
「童話も児童文学も文学です。童話と呼べばいい。文学として豊かならいいのです」
「文学なのですね」
「そうです。文学です」
 
手元に、長野県黒姫山で、初めてお会いした時の写真がある。
日付は1976324日。
この日がおそらく、私、ネコパパが「児童文学依存症」を発症した日だ。
以来、機会あるごとに今江祥智「先生」の下に馳せ参じては
聞き、笑い、学び、ちょっとだけは、会話を交わす…そんな幸運に恵まれた。
今江先生に「うつされた」40年越しの「プーの病」をどうしてくれるのですか…と伝えようにも、もうその人はいない。
 
今江先生、本当にお疲れ様でした。
心よりご冥福をお祈りいたします。
まだまだ、未読の本はあります。これからが本当の出会い、という気もいたします…
 

訃報:今江祥智さん83歳=児童文学作家、「ぼんぼん」
毎日新聞 20150320日 1349分(最終更新 0320日 1942分)


 「ぼんぼん」「優しさごっこ」などの作品で児童文学に新境地を開いた童話作家の今江祥智(いまえ・よしとも)さんが20日、肝臓がんのため死去した。83歳だった。通夜は22日午後7時、葬儀は23日午後2時、京都市東山区五条橋東3の390の公益社中央ブライトホール。喪主は妻栄里子(えりこ)さん。
 大阪市の商家に生まれた。同志社大時代に仏の作家、ロマン・ロランに傾倒。名古屋市の中学で英語教師を務め、福音館書店や理論社での児童書の編集者を経て、創作を始めた。多感な少年の目を通して戦争を描いた「ぼんぼん」(1973年)で日本児童文学者協会賞、「兄貴」(76年)で野間児童文芸賞。自らの離婚と娘との2人暮らしを題材にした「優しさごっこ」(77年)は後にNHKでドラマ化され、離婚を描いた児童文学のはしりとされた。81年、児童文学誌「飛ぶ教室」の創刊にかかわり、後進育成にも力を入れた。88年に「ぼんぼん」「兄貴」「おれたちのおふくろ」「牧歌」の自伝的4部作で路傍の石文学賞を受賞した。
 翻訳者としても知られ、関西弁の絵本「ぼちぼちいこか」(80年)はロングセラーとなった。毎日新聞(大阪本社版)では童話「ゆきねこちゃん」(2001年)「エプロンくまさん」(07年)を連載した。
 代表作に「ぼんぼん」(日本児童文学者協会賞)、NHKでドラマ化された「優しさごっこ」、「兄貴」(野間児童文芸賞)、「でんでんだいこ いのち」(小学館児童出版文化賞)など。1988年に「ぼんぼん」「兄貴」「おれたちのおふくろ」「牧歌」の4部作で路傍の石文学賞、2008年にエクソンモービル児童文化賞を受賞した。
 ◇児童文学の枠を広げた功労者
 児童文学作家のひこ・田中さんの話 今江さんはそれまでの児童文学がなかなか取り上げなかった素材やテーマを積極的に扱った作品を評価し、また自ら生み出し、児童文学の枠を広げた功労者だ。後に続く我々に「自由に書いていいんだ」というメッセージをくれた。
 
著書―ウィキペディアより


20

28
山のむこうは青い海だった 理論社, 1960 のち角川文庫、フォア文庫
29
ぽけっとにいっぱい 理論社, 1961 のちフォア文庫

30

30
きえたとのさま 小峰書店, 1962
ぼくはライオン 理論社, 1962 のちフォア文庫
31
ちょうちょむすび 降旗美術印刷, 1963
32
わらいねこ 理論社, 1964
アムンゼン 三十書房, 1964
33
えすがたにょうぼう 盛光社, 1965
かぜにふかれて さ・え・ら書房, 1965
34
ふたり大名 小峰書店, 1966
海の日曜日 実業之日本社, 1966 のち講談社文庫
かくれんぼ物語 理論社, 1966
海賊の歌がきこえる 理論社, 1966 のちフォア文庫
35
黒い馬車 盛光社, 1967
ちからたろう ポプラ社, 1967
ふるやのもり ポプラ社, 1967
37
おじさんによろしく ポプラ社, 1969
さよなら子どもの時間 あかね書房, 1969 のち講談社文庫
いってしまったこ 実業之日本社, 1969
星をかぞえよう 理論社, 1969
麦わら帽子は海の色 理論社, 1969
あいつとぼくら あかね書房, 1969
38
ひげのあるおやじたち 福音館書店, 1970
いろはにほへと ポプラ社, 1970
どろんこ祭り 小峰書店, 1970
小さな青い馬 ポプラ社, 1970
きみとぼく 福音館書店, 1970
大人の時間子どもの時間 理論社, 1970 (児童文学評論シリーズ)
あのこ 理論社, 1970
39
海いろの部屋 理論社, 1971
海のおくりもの 講談社, 1971
ごまめのうた 理論社, 1971
ぽけっとのお祭り 理論社, 1971

40

40
山にいきるにほんかもしか 千趣会, 1972
殿様によろしく 偕成社, 1972
鬼 あかね書房, 1972
てんぐちゃん 偕成社, 1972
子どもの国からの挨拶 晶文社, 1972
41
夕焼けの国 実業之日本社, 1973 のち講談社文庫
フルートと子ねこちゃん あかね書房, 1973
ぼんぼん 理論社, 1973 のち新潮文庫、岩波少年文庫
42
ひなぎくをたべないで 偕成社, 1974
水と光とそしてわたし 岩波書店, 1974
ぱるちざん 大和書房, 1974
43
そよ風とわたし ポプラ社, 1975
タンポポざむらい ポプラ社, 1975
人間なんて知らないよ 筑摩書房, 1975
絵本の時間絵本の部屋 すばる書房盛光社, 1975
44
朝日のようにさわやかに サンリオ, 1976
そこがちょっとちがうんだ 文研出版, 1976
しばてんおりょう あかね書房, 1976
ふたりのつむぎ唄 理論社, 1976
兄貴 理論社, 1976 新潮文庫
45
ひとは遠くからやってくる 角川文庫, 1977
くらくらしちゃった 旺文社, 1977
ねこふんじゃった 偕成社, 1977
優しさごっこ 理論社, 1977 のち新潮文庫
46
たくさんのお母さん あかね書房, 1978
夢みる理由 晶文社, 1978
愛に 7つの物語 編集工房ノア, 1978
あたたかなパンのにおい 偕成社, 1978
きみとぼくとそしてあいつ 大日本図書, 1978
パパはころしや 理論社, 1978 のちフォア文庫
あめだまをたべたライオン フレーベル館, 1978
47
やっぱり友だち 筑摩書房, 1979
なみにゆられて 金の星社, 1979
48
今江祥智の本 22巻 理論社, 198081
よるのいちばんふかいとき 童心社, 1980
49
夢いろの曲り角で 童心社, 1981
冬の光 理論社, 1981 のち新潮文庫
おれたちのおふくろ 理論社, 1981

50

50
写楽暗殺 理論社, 1982
51
優しいまなざし 理論社, 1983
プー横丁だより 児童文学の現在 青土社, 1983
ぼくの宝島 青土社, 1983
おれは神さま 偕成社, 1983
52
縞しまのチョッキ ピーター・パン通信 青土社, 1984
絵本の新世界 大和書房, 1984
2杯目のスープ 国土社, 1984
兄ちゃんのいた夏 理論社, 1984
ほのおの夜 理論社, 1984
53
牧歌 理論社, 1985
紙のお月さま 理論社, 1985
54
今江祥智童話館 17巻 理論社, 198687
55
今江祥智「童話」術・物語ができるまで 晶文社, 1987
明るい表通りで 理論社, 1987
56
ズボンじるしのクマ 理論社, 1988
大きな魚の食べっぷり 新潮社, 1988
57
今江祥智の本 2336巻 理論社, 198991
物語100,今江祥智 理論社, 1989
リンゴの木の下で 理論社, 1989
58
私の彼氏 新潮社, 1990
薔薇猫ちゃん 原生林, 1990
59
きょうも猫日和 マガジンハウス, 1991
くまとうさん ひくまの出版, 1991
さよなら、ピーター・パン 子供の国からの挨拶 福武文庫, 1991
雲を笑いとばして 理論社, 1991

60

61
あさごはんひるごはんばんごはん 福武書店, 1993.10
食べるぞ食べるぞ マガジンハウス, 1993
クマちゃんにあいたくて クレヨンハウス, 1993
62
そらまめうでてさてそこで 文渓堂, 1994
マイ・ディア・シンサク 新潮社, 1994
63
しもやけぐま 草土文化, 1995
猫の足あと 小学館, 1995
おにごっこだいすき 岩崎書店, 1995
でんでんだいこいのち 童心社, 1995
64
まんじゅうざむらい 解放出版社, 1996
日なたぼっこねこ 理論社, 1996
幸福の擁護 みすず書房, 1996
65
夢色の大通りで 理論社, 1997
66
ぼくだけのきょうりゅう ベネッセコーポレーション, 1998
帽子の運命 出版工房原生林, 1998
はじまりはじまり 淡交社, 1998
69
袂のなかで マガジンハウス, 2001
ぼくのメリー・ゴー・ラウンド 私家版, 2001

70

70
ぼくのスミレちゃん 旬報社, 2002
なんだったかな BL出版, 2002
私の寄港地 出版工房原生林, 2002
ゆきねこちゃん 教育画劇, 2002
ひとつふたつみっつ BL出版, 2002
71
てんぐちゃん 偕成社, 2003
なんででんねん天満はん 童心社, 2003
子供の本持札公開 ab みすず書房, 2003
よるわたしのおともだち BL出版, 2003
72
今江祥智ショートファンタジー15 理論社, 200405
BL出版, 2004
せんべいざむらい 佼成出版社, 2004
魚だって恋をする BL出版, 2004
73
ぽけっとくらべ 文研出版, 2005
オリーヴの小道で BL出版, 2005
74
いつだって長さんがいて… BL出版, 2006
薔薇をさがして… BL出版, 2006
76
ひげがあろうが なかろうが 解放出版社, 2008
お勘定! 私家版, 2008
77
桜桃のみのるころ BL出版, 2009
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yositaka

Author:yositaka
子どもの本と、古めの音盤(LP・CD)に埋もれた「ネコパパ庵」庵主。
娘・息子は独立して孫4人。連れ合いのアヤママと二人暮らし。

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