映画「マエストロ!」

久しぶりに、アヤママと映画鑑賞に出かけました。
 
マエストロ!


劇場公開日 2015131
配給       松竹=アスミック・エース
上映時間              129
 
「神童」「コドモのコドモ」などで知られる、さそうあきらのコミック「マエストロ」を実写映画化。名門オーケストラの再結成をめぐり、その舞台裏で繰り広げられる若きバイオリニストと謎の中年指揮者の真剣勝負を、松坂桃李と西田敏行の初共演で描いた。
 
ヴァイオリニストでコンサートマスターの香坂(松坂桃李)のもとに、不況で解散した名門オーケストラ再結成の話が舞い込む。しかし練習場は廃工場、集まってきたのは再就職先も決まらない“負け組”楽団員たちと、アマチュアフルート奏者のあまね(miwa)だけだった。久しぶりに合わせた音はとてもプロとは言えず、不安が募る香坂。そこに謎の指揮者・天道(西田敏行)がやって来る。彼は再結成を企画した張本人だが経歴も素性も不明、下ネタを連発し、指揮棒の代わりに大工道具を振り回す。そんな自分勝手な進め方に楽団員たちは反発するが、次第に天道が導く音の深さに全員が引き込まれてしまう。やがて楽団員たちは、その破天荒な指揮に導かれ、それぞれが抱えていた心の傷と挫折から自信を取り戻していく。だが香坂だけは天道の隠された過去を知り、さらに反発を強めていくのだった。そして迎えた復活コンサート当日。意気揚々と演奏に臨むオーケストラのメンバーたちは、天道が仕掛けた本当の秘密を知ることになる……。

 
さそうあきらの原作漫画『マエストロ(20032007)は、連載中からのご贔屓でした。
途中で連載していた雑誌が休刊し、がっかりしていたのですが、やがてネット連載で再開、5年かけて完結にこぎつけた経緯があります。


失業したオーケストラ団員の抱える生活の悩みや音楽作りの現場が、さそう独特のセンスでユーモラス、かつクールに描き出された作品でした。
完結8年後の映画化、しかも指揮者役が西田敏行ということで、期待半分、不安半分で出かけたのでしたが、楽しい娯楽作品に仕上がっていました。
 
クラシック音楽を題材にした、基本シリアスな物語なのに、
シモネタ続出、失礼千万な会話の連続に、顔をしかめる向きもあるでしょう。
けれど、これは原作を生かしたものです。
また、解散したオーケストラがコンサートを挙行するまでのマネージメント問題の解決などは大胆にカットし、楽員ひとりひとりに光を当てる姿勢も原作を踏襲。
もっとも、時間の制限もあり、楽員のエピソードは一部にとどまっていますが…
また、香坂の母親という重要な役をカットしたため、天道と香坂の父をめぐる過去の因縁の解明は、ちょっと苦しい展開になっています。
そんなわけで、原作を知らない観客にとっては、不自然に感じる部分も少なくないかもしれません。

けれども西田の灰汁の強い演技や、無茶振りの指揮も、映像的には説得力があり、映画全体を引き締める役割を果たしていました。
主役の 松坂桃李には期待したのですが、ちょっとクールすぎて表情が硬いのが残念でした。ヒロインのmiwaのはしゃぎっぷりと好対照で、役柄としては上手くいったと思いますが…
楽器演奏シーンでは、俳優一人ひとりにプロ奏者がついて演技指導をしただけあって「演技」を余り感じさせない出来です。
 
クライマックスは「運命」「未完成」の本番演奏。
終盤の20分余りを2曲の演奏場面に費やすというのは、この種の映画としても異例かもしれません。
オーケストラは、ヴァイオリン各8人、二管楽編成で総勢50人という小編成で、両翼配置、コントラバスは左という近年流行の「ピリオド配置」。
吹き替えは、佐渡裕指揮ベルリン・ドイツ交響楽団。ベルリン・イエス・キリスト教会で昨年録音された音源を使用したとのこと。カット編集も不自然にならず、よく流れていたと感じます。

ここで演奏を云々するのは野暮ですが…
「運命」は、愛好家の(うるさい)耳で聞くとちょっと大人しすぎの模範演奏に終始。ドラマの内容に合っているかと言われると、どうかな。
しかし「未完成」は、冒頭の低弦から透明度の高い音がよく伸びて、はっとさせるものがありました。クライマックスとなる第2楽章の「四度の跳躍」も感動的でした。
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コメント

コメント(8)
No title
この映画・・・興味ありです。そのうち見たいと思っています。
最近は、1年遅れでレンタルでDVDを借りてみることが多くなりました。
映画館に久しぶりにカミさんと2人で行くのイイかも・・・そういえば1度も一緒に行ったことが無いぞ~

HIROちゃん

2015/02/03 URL 編集返信

No title
HIROちゃんさん、DVDもいいですが、この映画は音響面でも優れているので、映画館で鑑賞されるほうが楽しめると思いますよ。
映画館の機材にもよりますが…私の出かけたシネコンでは、鮮度のある音質と感じました。演奏場面で使われた佐渡裕の盤はSACDで出ているようですし。まあそれは買いませんが…

yositaka

2015/02/03 URL 編集返信

No title
そういえばそうですね・・・・映画に行こうかな。でも我が町は、田舎で映画館まで車で2時間近くかかります。。。

HIROちゃん

2015/02/03 URL 編集返信

No title
うーん、2時間掛けていく価値があるかといえば、ちょっと微妙かもしれません。

yositaka

2015/02/04 URL 編集返信

No title
この映画、ぼくも(狙ったわけではないのですが)公開初日に娘と見に行きました。娘はオーケストラをやっているということもあるのですが、ヒロイン演ずるmiwaちゃんのファンなのです
何の予習もせずに見たので、漫画誌の連載が原作ということをエンドロールで初めて知りました。実際に絵を見たのはこのyositakaさんの記事が初めてです。いや~~、西田敏行さんとはだいぶ違いますね
失業者楽団という設定には、戦前のアメリカ映画「オーケストラの少女」を連想しました。ストーリーはもちろん違いましたが、最初はボロボロでも最後は大成功というのが予想通りで、それはそれで安心感があります。映画のあと、娘がすぐにでも弾きたい様子でウズウズしていたので、行ってよかったと思っています

Loree

2015/02/12 URL 編集返信

No title
ロレーさん、さそうさんに確認したわけではないのですが、原作漫画の指揮者のモデルは、宇宿允人氏であろうと思われます。
厳格な求道精神に満ちた宇宿氏の録音をサウンドトラックにすれば、原作のイメージにより近い映画になったかもしれませんが、娯楽作品として成功させるためには今回のやり方もアリだったのでしょう。
2009年のフランス映画「オーケストラ!」も、失業オーケストラ再生の話で、公開当時かなりの評価を得ていました。私はつい最近テレビで見たのですが、今回の「マエストロ!」は、音楽面でもストーリーの面でも、フランス映画に負けないばかりか、かなり引き離していると思えました。

yositaka

2015/02/12 URL 編集返信

No title
こんばんは。
今日(日曜日)遅ればせながら、私も観に行きましたが、素晴らしい出来栄えに感動しました。
西田敏行の好演も素晴らしいし、何より音楽の素晴らしさ、楽しさを感じました。それから、今更ながら「運命」「未完成」って良い曲なんだなっていうことを感じさせてくれた演出に感謝したいのと、Loreeさんのコメントと同じで、私も何だか今すぐにオケを再開したくなってしまいました!
本当に大満足の映画でした。

ポンちゃん

2015/02/16 URL 編集返信

No title
ボンちゃんさん、よい鑑賞体験をされたようで何よりです。確かに映画化は、音楽の良さを再発見する契機になることが多いですね。映画レビューを見ても、クラシック音楽のよさを発見できたという若い人たちの意見が多いようです。「のだめ」の影響で音楽活動にのめりこんでいる人も多い気がしますし、クラシック音楽を次世代に伝える意味でも、貴重な一本になりそうですね。

yositaka

2015/02/16 URL 編集返信

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プロフィール

yositaka

Author:yositaka
子どもの本と、古めの音盤(LP・CD)に埋もれた「ネコパパ庵」庵主。
娘・息子は独立して孫4人。連れ合いのアヤママと二人暮らし。

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