愛知学院大学管弦楽団をきく

愛知学院大学管弦楽団第61回定期演奏会
 
201411月3日(月・祝)
会場 三井住友海上しらかわホール

曲目
ブラームス    悲劇的序曲
ボロディン    交響曲第3番(未完成)
メンデルスゾーン 交響曲第3番「スコットランド」
<アンコール曲>
ベートーヴェン  「命名祝日」序曲
 
客演指揮:平光 真彌
 


 
このオーケストラ、初めて聴きましたが、音がしっかりと前に飛び出してくる勢いの良さが心地よく、団員たちが心底楽しみ、自信を持って演奏していることが伝わってきました。
 
その勢いは最初のブラームス{『悲劇的序曲』から明らか。「腕鳴らし」ではなく、出だしから全力の弾きぶり、吹きぶりです。どちらかといえば重厚で暗い曲ですが、そんなイメージを吹き飛ばすような元気さ。平光真彌氏の棒は、いささか力んだようにも見える硬い動きですが、音になるときはそれが圭角と活力を伴って表れてくる。
聴き馴染みの無かったボロディンの曲は、交響詩「中央アジアの草原にて」を想起させる、土の香りと親しみやすいメロディに満ちていて、楽しめました。木管のソロが次々に現れる曲ですが、学院大オーケストラのオーボエ、ファゴット、フルートの面々はみな達者。
何よりも、ヴァイオリンパートがしっかりと大きな音を出しているのがよろしく、安心して音楽を楽しむことが出来ました。
これは二楽章までの未完成作品ということですが、作曲者がピアノで試演した時の記憶を元にグラズノフが補筆しており、堂々と終結します。思わぬ名曲に出会えました。
 
メインはメンデルスゾーン交響曲第3番『スコットランド』
ちょっと聴きには初期ロマン派の、爽やかな交響曲に見えますが、じつは難曲ではないでしょうか。
すべての楽器にミリ単位の細かい動きが要求される上に、音の絡みが終始鮮明に浮かび上がるように書かれている。4つの楽章が、それぞれ別の風景画を見るような独立性を持っていて、フィナーレでは同じ楽章内で異物が侵入するような違和感に襲われます。暗い情念が吹き荒れる嵐の只中、唐突に明るく堂々たる終結部が現われるところなどは、その最たるもの。
学院大オーケストラ、初めは苦戦。管楽器が不安定な中、ヴィオラの音量が決まらない。ヴァイオリンの出も、辣腕コンサートマスターに引っ張られて、徐々に音がそろってくる感じです。
しかしぐんぐん調子が出て、第1楽章後半までには自信を持った音を回復。第2、第3楽章も同じような感じで進みました。そしてフィナーレは、冒頭から持てる力を出し尽くす熱演に。

会場の拍手に応えてのアンコール曲は、フィナーレの熱演をそのまま維持した、鋭いリズムを次々に打ち出して興奮を誘う演奏でしたが、悔しいことに曲目がわかりません。
ロビーの掲示でようやくベートーヴェン『命名祝日』序曲と判明しました。
誰の提案かわかりませんが、なんと渋い選曲!これも意欲のあらわれでしょう。
聴き応えのある演奏会でした。
今回もsige君、k君のお誘いです。いつもいつもありがとう。
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コメント

コメント(4)
No title
総じて渋いプログラムですね。ボロディンの作品はグラズノフが記憶をもとに完成していたというのは、「イーゴリ公」序曲と同じですね。この大学は、最近「池上彰の経済教室」の冒頭に正門が出てきます。

SL-Mania

2014/11/04 URL 編集返信

No title
SL-Maniaさん、良い曲ですよ。当時のロシアの作曲家たちは、他に職業を持った、いわばアマチュア作曲家たちだったのですが、それだけにお互いの結束や協力関係はしっかりしていたのですね。ムソルグスキーの場合も、同様に未完作品の補筆を仲間が行い、初演に持ち込んでいました。
学院大の正門が、そんなところに使われていたとは知りませでした。それも売り込み戦略の一つでしょうか。

yositaka

2014/11/04 URL 編集返信

No title
こんばんは。

私は、アマチュアのオーケストラも良く聴きますが、プロと比較すれば話にはなりませんが、何よりも集中して一生懸命に演奏している姿に感激します。ヴァイオリンなどはキーキー音でも、気持や感情は十分に伝わってきます。そこがアマチュアのいい所だと思います。

HIROちゃん

2014/11/05 URL 編集返信

No title
HIROちゃんさん、コメントありがとうございます。問題は演奏を通して伝えたい「気持ちや感情」がはたしてどれだけあるか、ということだと思います。技術的にレベルの高い団体でも、伝わってこないときがある…それなら、技術は未熟でも「伝えたいこと」がしっかりある演奏の方が、より心を動く。そんな気がするのです。ライヴで聞く場合、技術の問題を感じさせず音楽に没頭させてくれる、そんな時間が、たとえ一曲でも持てるならば、それは十分に満足できる演奏会になります。最近はアマチュアのオーケストラでも、そういう時間が持てる場合が多く、喜ばしいことだと思っています。

yositaka

2014/11/06 URL 編集返信

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プロフィール

yositaka

Author:yositaka
子どもの本と、古めの音盤(LP・CD)に埋もれた「ネコパパ庵」庵主。
娘・息子は独立して孫4人。連れ合いのアヤママと二人暮らし。

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