杜の会レポート②

休憩、夕食の時間となり、宴席はレコード話中心に盛り上がる。
そこに到着したワガママおやじさんに、部屋の空気は明るくなる。杜には欠かせない古株の一人なのだ。




夕食後はリビングにセットされたマッキントッシュ・スピーカー中心の、ますます磨きのかかったシステムを駆使して、会が続けられた。
まずはワガママおやじさんの一押し。
ポール・サイモン・ソング・ブック』英COL。これは伝説のデュオSGの全盛期にサイモンがソロで録音した一枚で、彼独特の抑えたナイーヴな情感が染みる一枚。



何を隠そう、中学生時代、ネコパパが初めて「モノーラル」という言葉を覚えたのはこの一枚だった。ワガママおやじさんの話には、ステレオも存在するという驚愕の事実もあった。
PARAGONさん。「隣のお姉さん」ことキャロル・クリーヴリング『Vol.1』アメリカの小さなレーベルが見出した歌手。私家版に近いもの?希覯中の希覯という。
ネコパパ。チェット・ベイカームーン・ラヴpacific国内盤…これはチャイコフスキーの交響曲第5番第2楽章そのもの…ということでご紹介。
Roxanさん。『ハンク・モブレイとマックス・ローチ』米Debut10インチ盤。レーベル名のどおり、モブレイのデビュー盤。
Konkenさん。またもサド・ジョーンズ。今度はベッパー・アダムスとの双頭コンボで『ミーン・ホワット・アイ・セイ』Milestone



トランペットとバリトンサックスは似合いのコンビだ。でもこれは、ベイカー、マリガンとは一味違う野性味がある。
Musashino-papaさん、ルー・ドナルドソンブルース・ウォーク』米Bluenote。文字通り「歩く」歩調で進むリラックスした演奏が楽しめる。でも、オリジナル盤の価格は…リラックスできなさそう。はたしてpapaさんの盤のオリジナリティは?
Mさんの『日本昔ばなし』のテーマで、室内の空気が和らぐ。
チャランさん、ダイレクトカッティングによる古くて新しい『ディキシーランド・ジャズ』。
マントさん、ジャズのエッセンスを存分に取り入れたラヴェルの名曲『左手のためのピアノ協奏曲』を、名盤サンソン・フランソワ(p)クリュイタンス指揮パリ音楽院管弦楽団、仏VSMで。
盛り上げは…SPUさんのベイシー、エリントン両楽団が一堂に会した『ファースト・タイム』米COL



左右のスピーカーから両楽団が掛け合う妙味。
Recooyajiさんのボビー・タッカーのピアノトリオ盤『トゥー・タフ』米JAMIE。中間派の落ち着いた演奏でリビングの部が締めくくられるや…お待ちかね、杜の名物、オークションの時間だ。

今回は錚々たる名盤がそろい踏み。
『スタディ・イン・ブラウン』、コルトレーン『バラード』ビル・エヴァンス『サンディ・アット・ヴィレッジ・ヴァンガード』ドラティ『リュートのための古代舞曲とアリア』のオリジナル盤から、新品未開封の重量復刻盤などのお宝が、格安の価格から続々競売される。



例年よりもぐっと値段は釣り上がり「みんな、そんなに熱くならんで…」の声も。要のDukeさんまでが今回は「仕入れ」に走る騒動に。
ネコパパも、ちょっと熱くなりました。 
 
さらに夜は更けて…
杜の仲間同は、再び地下リスニングルームに降りていく。最後の一人になるまでの乱れ聴きが続くのだ。ネコパパ、朦朧の中でなんとか最後まで持ちこたえた…が、誰が、何を、どうだかについては、順不同の報告でご勘弁を。
ジーン・アモンズwithエッタ・ジョーンズ』姉御肌の歌に野太いサックス。
ワールド・パシフィック60th』アート・ペッパーが前奏、間奏、後奏だけ練習しているところ。珍しい。でもアドリブ聴きたい。
フィル・ウッズ・アンコールズ10インチ。演奏は端整そのものの。こういう場では目立たなくなってしまいそう。
チャーリー・ラウズ/ヤー』も同様。これらはじっくり聴き直したい逸品だ。
スザーネ・ラウテンバッハー(Vn)マルティン・ガリング(P)モーツァルト『ヴァイオリン・ソナタk526OPERA。マントさんがベルリンで発見した貴重ステレオ盤の音は、耳を洗うように清冽だった。
鬼太鼓座』重低音で、システムの大型サブウーファーが唸る。閃光のような横笛も聴きもの。
アルゼンチン・タンゴ』一曲。誰の盤かは…いわずもがな。
ワルツ『美しく青きドナウ』ロジェストヴェンスキー指揮、モスクワ放送響 露メロディア盤という意外。演奏も骨太のロシア調シュトラウス。そういえば作曲者はロシアでも人気で、モスクワにも何度か旅し、市民のために曲も書いたのだ。
クリーム『ディスラエリ・ギアーズ』、『エマーソン・レイク&パーマー』、BLACKCAT BONES『有刺鉄線サンドイッチ』…やはりロックについては語れないネコパパ。「ブレーキの壊れた蒸気機関車の突進」と聴こえたのは、さて、どれだったか。
ミシェル・オークレール(Vn)ウェス指揮ウィーン響のチャイコフスキー『ヴァイオリン協奏曲』REMINTON…これが締めくくりの一枚。



身が引き締まるようなひたむきなソロ。再生音がややキツ目に感じるのは、イコライザー・カーブが、いや、自分の頭のカーブが睡眠に傾いていたせいかもしれない…




 
一夜明けて、台風の影響か、天候は雨。
メンバーは年齢のせいかみな早起きだ。昨夜話しきれなかったレコード談義がまだまだ続く。ボリューム満点の朝食を楽しんだあと、恒例の記念撮影はリビングで。
10周年記念の会も終わりましたね。もう10年、続けたいですね。でも、20周年のとき、ここにいる人たちは何人残っているでしょうか…」
そんな、しんみりとした言葉も呟かれる。
ネコパパはこんなことを思った。
Mさんの装置は多くのイコライザー・カーブに対応している。
杜の仲間たちも、それぞれ固有の「脳内カーブ」を持ち、曲線はそれぞれ違っている。結構頑固な違いもあり、ズレも多い。
ところがここではそれが、うまく補正されているのだ。
趣味嗜好の違う仲間たちのカーブを補正するのは、「あの二人」も含む、メンバーの発生させる強い磁場である。回路は複雑だ。10年たって、この目に見えない装置は、ちょっとヴィンテージになった。次の10年使い込めば、ますます値打ちモノになるだろう。
入手は至難、価格は天文学的。
名づけて『イコライザー・アンプ・杜』。



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コメント

コメント(4)
No title
ねこぱぱさん、レポートお疲れ様でした。
これなら、今回幼児があって参加できなかった人でも、白馬の様子が手に取るように分かるのではないでしょうか。説明の丁寧さ、多彩な語彙、恐れ入ります。

今回白馬でビーチャムのロリポップイギリス盤2枚ありましたね。2009年に私が当番のときに紹介したのでそれで覚えていてROXSANさんが持ってきてくれたのだと思います。今確認したところ、やはりフランス盤とジャケットの写真が異なりますね。フランス盤のビーチャムはふんぞり返ってますよ(笑い)

マント・ケヌーマー

2014/10/11 URL 編集返信

No title
マントさん、そのロリポップス含めヌケもありますよ。それにしても、ビーチャムの小品集は、どれも選曲が抜群です。そして演奏も、のびのびと自由で、本当に見事です。好評だったせいか「モア・ロリポップス」というアルバムも出ました。これもつい先日(やはりMONOですが)入手しました。曲は一層渋く、ネコパパ好みです。ビーチャムが日本で人気薄なのは、こういうアルバムが知られていないせいかもしれません。

yositaka

2014/10/11 URL 編集返信

No title
yositakaくん。2014年白馬の集まりレポート、ありがとう! 昨年・今年と参加できなかった身としては会での詳細が判ってとてもありがたい! みなさんがいろいろ工夫して紹介したい盤を選んできたことが感じられて「なるほど」という感じです(笑)
個人的には夕食後の地下JBLルームの場面で登場してきた盤に惹かれました。
『ハンク・モブレイとマックス・ローチ』米Debut10インチ『フィル・ウッズ・アンコールズ』10インチ
この辺りの10インチ盤~その音楽と音をぜひとも聴いてみたかったなあ・・・という歯軋り状態です(笑)

bassclef

2014/10/12 URL 編集返信

No title
bassclef君、みなさん、2年連続で君が来れないことに、それこそ歯軋り状態でしたよ。それにしても、これが一日の事とは思えない中身の濃さでした。杜の仲間たちが、いかに道を踏み外した人たちか、よくわかりました。来年は参加できるといいですね。

yositaka

2014/10/12 URL 編集返信

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プロフィール

yositaka

Author:yositaka
子どもの本と、古めの音盤(LP・CD)に埋もれた「ネコパパ庵」庵主。
娘・息子は独立して孫4人。連れ合いのアヤママと二人暮らし。

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