新年早々の聴き会②

音盤の薀蓄話も、楽しいものですね。
bassclef君のプログに、「あるベツレヘム盤の謎」と題して、次の記事が載っていました。


ここで紹介されている「Stan Levey/This Time the Drum's on Me(BCP-37)」の二つの盤も、聴かせてもらいました。同時期のものなのに、微妙な違いがあるのです。

レコード会社の住所が違う
裏面広告のレコード内容が違う
センターレーベルや深溝は共通するのに、盤の形状が違う

コンディションはともかく、音の違いも微妙ですが感じられます。
私の耳には、この違いはマスターやスタンパーの違いではなく、プレスのラインと盤の材質の違いに聞こえました。この種の謎は多いらしく、「杜の会」でも話題になっていましたし、今日もbassclef君のブログでは、クリス・コナーのベツレヘム盤「バードランドの子守唄」等について、盛んなやりとりが行われています。
微にして細を穿った分析には、圧倒されますよ。
もちろんそれは「いい演奏、いい音楽」が記録されているからこそ、なんですけどね。
リーヴィーは音数を抑制したドラマーですが、轟音と刻みのベーシスト、ルロイ・ヴィネガーとともに鉄壁の支えを作り出す。それに乗って歌う3人の管楽器奏者たち、カンドリ、ゴードン、ロソリーノの伸びやかさ…

同じ盤でも、微妙どころじゃない違いがある場合も。
例えば…今度も出てきた幻のジャロ原盤、J.R.モントローズ「ザ・メッセージ」
オリジナルは(たぶん)これ


で、先日ネコパパが某中古店で探し出してきたのが、このザナドゥ(徳間音工)盤。



そしてbassclef君のコレクションにもやっぱりありました。ザナドゥ(日本コロムビア)盤。



冒頭の「ストレート・アヘッド」は、まさに「前進する」炎の音楽。
終わりの方の、モントローズのテナーとドラムスのラロカとの凄まじい掛け合いについては、以前記事にも書いたとおりです。
でも、このアルパムはそれだけじゃない。「コートにすみれ」「クリフォードの思い出」など、情感あふれるバラード演奏もまた素敵なのです。
「名盤にこの人あり」のトミー・フラナガンのピアノ、そしてベースのジミー・ギャリソンも最高です。

それにしても、この3枚がまったく同じ内容の盤だとは…
知らない人はちょっと、気づきませんよね。
ザナドゥ盤は、タイトルも「ストレート・アヘッド」に変更されているんですから。

音の違いも、かなりありますよ。
白馬・洗濯船とrecooyajiさん宅で聴いたオリジナル盤は、記憶に残る印象ですが…
でも、優劣は一概に言えない。
数十年を経たマスターテープの「経年劣化」を問題にする人も多く、確かに明白な回答にも見えますが、実際はもっといろいろな要因があるんじゃないか。
個人的には、マスタリングエンジニアの腕前と価値観による違いも少なくなくないのでは…という気がします。
オリジナル盤は聞かせてもらうばかりのネコパパですが、これはひとつの課題ですね。

これもひところは幻盤だったというシグナル盤「ジャズ・ラボラトリー1.2」1955・57年録音。



デューク・ジョーダンをリーターにした東海岸勢、
ホール・オバートン率いる西海岸勢で1枚ずつ録音した、「練習用マイナスワン・レコード」。
その「模範演奏」が演奏録音とも凄くいい、という変わり種です。
ネコパパが掘り出したのは日本フォノグラム国内盤、模範演奏だけ裏表にした一枚ものです。bassclef君、やはり持っていましたねえ…
矢印に耳、中世の木版画みたいな楽隊の絵、というおよそジャズらしくないデザインのジャケットですが、ここから洗練された、スタイリッシュな快演が流れ出てきます。70年代のペラペラした頼りない盤ですが、音の鮮度はなかなかです。

クラシックも、聴きました。
チェロの好きなbassclef君に聞いてもらおうと思って、持参した一枚。



ドヴォルザーク チェロ協奏曲ロ短調
ピエール・フルニエのチェロ ジョージ・セル指揮ベルリン・フィル。1961年録音のDG盤。
つい先日手に入れたばかりの、独スピーカーズ・コーナー社による最新の復刻盤。
アマゾンから届いたのを開封したばかりで、まともに聴いたのはこの日が初めてです。
もともと優秀録音ですが…音域の広大さ、低音の量感など、これまでネコパパが聴いていたCDや国内盤LPをかなり引き離しているんじゃないかな。
経年劣化が進行中のメーカー保管テープにも、引き出しきれていない情報がまだ残されている…

曲の持つ強靭さと迫力も生かしつつ、音色のやわらかさや気品を失わないフルニエのチェロに、酔いしれた3人でした。「では」とbassclef君の取り出したCDは、バッハ 無伴奏チェロ組曲。
フルニエがステレオ録音する以前に独アルヒーフが収録したモノラル盤です。奏者は往年の名チェリスト、エンリコ・マイナルディ。1954年の録音。
彼のバッハはゆったりとした、古老の昔語りのような味わい。
bassclef君の再生装置との相性はぴったりで、以前ネコパパ宅でこれを聞いてすっかり寝入ってしまったsige君も、
「こんなにすごい演奏だったのか」と唸っていました。

無伴奏つながりで、ヨーゼフ・シゲティのバッハ「無伴奏パルティータ第2番」も聞きました。これもネコパパがひょんなことから再入手した国内盤LP。



初めてこの曲に触れて、すっかりバッハが好きになってしまった大切な盤ですが、実を言うと、ずいぶん前にCDに買い直していたのです。
1950年代前半の録音。米ヴァンガードは録音技術に優れていたんですね。CDの音もいいけれど、LPは…やはりいいですね。
40年前の感動が改めて蘇る気がします。
音盤、それは時を遡るタイムマシン。



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コメント

コメント(3)
No title
yositakaくん、3人聴き会の第2弾~楽しく読みました。ありがとう!
JRモンテローズ~いいテナーです!(笑)ソウルの塊りというか・・・わりとロリンズ風な唄いをしてるかと思うと、突然、ワイルドなフレーズで激情をぶちまける・・・という感じか(笑)好きですねえ、僕は。
フルニエという人のチェロ・・・素晴らしい音色でした!しなやかに柔らかいがもちろん「芯」のある・・・色気のある音色という感じ。一方、マイナルディのゴツゴツした表現も、これまた独自の唄いがあって・・・好きですね(笑)ジャズのピアノでも、モンクも本当に好きだけど、ビル・エヴァンスも好き・・・タイプは全く異なるのにね(笑)つまり・・・スタイルなんてどうでもいい・・・それがその人の音楽であり、それがいい音楽であれば。

bassclef

2014/01/12 URL 編集返信

No title
(追加)それにしても、JR.Monteroseの「コートにスミレを」は素晴らしい! 本テーマのメロディに入る前の短いメロディ・・・可愛らしくて好きなんですが、あれは、フランク・シナトラの「傑作集」収録の同曲で使われたアレンジ通りのメロディなんですね。
オリジナル盤(Jaro)はもうこれは超高価ですから・・・お持ちの方に聴かせていただきましょう(笑)それにしても、国内盤においても、君の手持ち~徳間盤と僕のコロムビア盤で4~5年の隔たりが会ったと思いますが、テナーの音色・音像・太さなど、発売が早い方の「徳間」の方が、明らかに良かったですね。国内盤で探す方はできたら「徳間盤」をお勧めしたいです。

bassclef

2014/01/12 URL 編集返信

No title
bassclef君、コメント連続2本、ありがとう!!
エリントン、ミンガス、モンクといった唯我独尊の系譜をたどる聴き会でもありましたね。クラシックでもカザルス、シゲティあたりは明らかにその系譜です。グールドもおそらくそうでしょう。それでいて、一人ひとりの個性は違う。だから面白いのです。
国内盤の違いも興味深かった。シグナル盤「ジャズ・ラボラトリー」も、この日本フォノグラム盤のほかにキング、ソニーからも出たことがあるようです。スイングジャーナル・ゴールドディスクにも選ばれている。日本のジャズ・ファンというのは、ほんとに探究心旺盛で、「楽しみ」を見つけ出すのが得意なんだな、と思います。

yositaka

2014/01/12 URL 編集返信

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プロフィール

yositaka

Author:yositaka
子どもの本と、古めの音盤(LP・CD)に埋もれた「ネコパパ庵」庵主。
娘・息子は独立して孫4人。連れ合いのアヤママと二人暮らし。

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