南ドイツの初夏の風~名古屋ブルックナー管弦楽団をきく

6月最後の日曜日、
素晴らしいプログラムのコンサートを聞きました。


初夏の風を思わせる二曲のシンフォニー。

シベリウス 交響曲第5番
ブルックナー 交響曲第1番(リンツ版)

最初のシベリウスは、ちょっと前に別のアマチュア・オーケストラで聞いたのですが、難しい曲だなあ…と感じさせる演奏でした。
でも、今日は違います。
森口真司の指揮は、メリハリがあり、オーケストラのメンバーも前のめりに集中していく気迫があって、
この曲の持つ晦渋さを吹き飛ばす快演を成し遂げていたのです。

第1楽章、ゆったりとした序奏から、ときおり鋭い弦のフレーズが突き刺すように響き、やがてうねりをもって盛り上がると…そこは、フィンランドの華やかな夏至の祭りの開幕。
熱狂的な踊りのリズムが音楽を先へ先へと進めます。
つかの間の静寂のような第2楽章をはさんで、間をおかず突入するフィナーレは、3つのホルンの奏でる勇壮な「山の動機」をベースに、積み重なるように展開し、圧倒的な壮麗さのコーダへなだれ込む。

曲の構造がすっきりと聞き分けられ、音楽の流れが手に取るようにわかる。
北欧系の指揮者が得意とする、透明で自然体の演奏ではなく、細部までよく練られ、血の通ったスタイルで、バルビローリを一層シェイプアップしたような演奏…とでも言えばよいでしょうか。

後半のブルックナーでも、その特徴は不変です。
ここは弦の歌、ここは金管の方向、ここは木管のニュアンス…
フレーズごとの音彩が、実によく描き分けられている。ということは、若干の強調も感じられるということで、
第1楽章の後半やフィナーレなど、もう少し息の長い、雄大な広がりを聞きたい気もしましたが
「第1」は、こういう演奏でも十二分に生きる音楽です。第2楽章後半の絶唱、第3楽章主部の躍動、そして全曲を彩る木管と弦の織り成す叙情…満喫しました。

そもそも、「第1」は、ライヴでは滅多に聞けない曲。

プログラム解説には、これが最も好きというブルックナー・ファンなんて聞いたことがない…なんて書かれていましたが、
とんでもない。
これこそ、ブルックナーが生涯ただ一度表現できた、初夏の南ドイツを渡る熱風…遅咲きの「青春の花」。
どれが一番…なんて質問は、ブルックナー愛好家には愚問です。

だって、いつだって、今聴いているこの曲こそが最高、と、感じさせてくれる作曲家なのですから。

名古屋ブルックナー管弦楽団のみなさんの全身で音楽する演奏姿勢は、その「姿」そのものが音楽のように美しいものでした。

アンケート用紙には
「ブルックナーとシベリウス、意外に相性がいいですね。この二人の組み合わせをもっと聴きたいものです」
なんて書いてしまいましたが、
演奏する側に立つなら、それはちょっとハードすぎるかもしれません。


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yositaka

Author:yositaka
子どもの本と、古めの音盤(LP・CD)に埋もれた「ネコパパ庵」庵主。
娘・息子は独立して孫4人。連れ合いのアヤママと二人暮らし。

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