ゲステム、媚薬的魅力のヴァイオリン

ヴァイオリン小品集  Violin works/Jacques Ghestem



ジャック・ゲステム (ヴァイオリン) ラオール・ゴラ (ピアノ)
2013/6/10 Spectrum Sound国内盤CD
原盤 仏PHILIPS


収録曲(ゲステム演奏のCD1のみ)

1. シューベルト : セレナーデ
2. リュリ : メヌエット ~ 町人貴族より
3. マルティーニ : 愛の喜び
4. シューマン : 夢想
5. ドヴォルザーク : ユモレスク
6. イラディエル :
7. ブラームス : ハンガリー舞曲 第6
8. リムスキー=コルサコフ : インドの歌
9. ブラームス : 子守唄
10. ボッケリーニ : メヌエット
11. メンデルスゾーン : 春の歌
12. シューベルト : アヴェ・マリア
13. ブラームス : ワルツ 変イ長調
14. グノー : アヴェ・マリア
15. ショパン : 夜想曲 第2
16. ルービンシュタイン : メロディ
17. モーツァルト : メヌエット
18. ブラームス : ハンガリー舞曲 第5
19. ショパン : 別れの曲
20. マスネ : タイスの瞑想曲
21. ポンセ : エストレリータ
22. グリーグ : ソルヴェーグの歌
23. ゴダール : ジョスランの子守唄
24. アルベニス : タンゴ
 
 
この小品集は、60年代から70年代にかけて、いろいろな編成で国内盤が出ていた。
そのほとんどが家庭向き、入門者向きのファミリー・コンサートの体裁で、グリュミオーなど、名のある奏者の曲に交じって含まれていることもあった。

演奏が素晴らしいというので、最近、あちこちのサイトで話題になっている。
これなら、昔の国内盤を中古店で安く入手できるだろう…とネコパパは思い、気を付けていた。
そうなると、これが意外に見つからないものだ。

半年くらい捜し歩いて、ようやく2枚発見できた。
どちらもフィリップス国内盤だが、同じ時期の発売というのに、一方は900円のグロリア・シリーズ、もう一枚は分厚いジャケットに入った豪華版で定価2300円。



昔のレコード商売とは、ずいぶんといいかげんなものだったのだなあ…

幸い、どちらもワンコインで入手できたので、まずはめでたし。
 
2枚に入っていたのは、重複を除き、14曲だった。
疑似ステレオとのことたが、適度にエコーが聴いていて、聴きやすい。

噂通り…他の奏者が演奏するナンバーと比べても、際立った音を出している。
ヴァイオリンの音がくっきりとして、のびやかに鳴りきっている。
特別な表情や解釈は押さえ、個々の音符をしっかり弾き、曲の素のままを聴く感じ。

なんだ、そんなのは「普通」じゃないか…と言われそうなのだが、
ネコパパには、あんまり普通には聴こえなかったのである。

なぜだろう?

強いて言えば…音色や弓捌きに、クールで鋭い感触があること。
音色や音の鳴り方そのものが、巧みを通り越して「過剰」の域に達する瞬間があること…だろうか。
それは、ゲステムがパルナン四重奏団の第2ヴァイオリン奏者や、
ピエール・ブーレーズ率いるドメーヌ・ミュジカル・アンサンブルの一員を務めた人で、近現代音楽を中心に活躍したことと関係があるのかもしれない。

伴奏ピアノのラオール・ゴラが、訥々としながらも、ジャズ的な即興性を秘めていて、これまた独特の個性。

とにかく、どれを聴いても、懐かしい小品の魅力をあらためて発見する喜びに満ちていて、
何度も繰り返し聴きたくなってしまう。
とくに「 愛の喜び」(マルティーニの方)「インドの歌」「思い出」といった、エキゾチックな曲想とは、相性が良く、そそられる。
「媚薬的魅力」がある演奏、とでも呼べばいいだろうか。
こうなると、他の曲も、聴いてみたくなる。悪い病気の始まりだ。
 

もともとは、仏PHILIPSが制作し、モノラル10インチ盤3枚で出ていたのがオリジナルらしい。
3枚とも、美女ジャケというやつである。



ゲステムのソロ録音は、これが全て。30曲くらいあるのか。
話題を呼んだこともあって、このオリジナル盤は、ずいぶん高騰しているみたい。
けれども、CDは正規ルートでは出ていない。輸入盤業者などによるCD-Rなら、いくつか出回っているが。
さて、どうしようか…と思っていたところ、このSpectrum Sound盤の発売を知った。
なんだ、このレーベル?
でも一般ルートで出たのなら、まあいいかな…と入手してみた。

ブックレットを見て、おっと、これは10インチ盤の復刻ではないことが判明。
フィリップスは12インチ2枚、24曲に編集して再発売していて、Spectrum盤は、12インチ盤からの復刻だったのだ。ーん、これでは数曲抜け落ちて、コンプリートではなくなってしまうじゃないか。

気を取り直して聴いてみる。
音量レベルが高く、生々しい音。
これは、ちょっと凄い。音が襲ってくるみたいだ。
ハイエンド機器使用が自慢のレーベルらしいが、疲れる音かもしれない。

もっと続けて聴こうか…さあ、どうするネコパパ。




 
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コメント

コメント(4)
No title
こんばんは。ジャック・ゲステムはオリジナル盤から復刻したというCDR盤を持っています。
Spectrumからも出たとは知りませんでした。(「国内盤」の定義は何でしょう?)
ぼくは極甘のヴァイオリンも好きですが、ゲステムは甘すぎず端正で、でも自然と耳が惹きつけられます。ポンセのエストレリータを密かに(?)愛聴しています。

Loree

2013/06/28 URL 編集返信

No title
ロレーさん、「国内盤」としたのは、CD本体、ブックレット、ケース裏の表記と、3箇所に日本製の記載があること、盤面やブックレットに和文が混じっていることから「輸入盤」ではおかしいと思ったためです。日本以外の国名は発見できません。でも、ホントのところはどうなんでしょう。
「エストレリータ」うーん、これ、いいですねえ。

yositaka

2013/06/28 URL 編集返信

No title
こんばんは。ゲステムですか。好事家に愛聴される演奏家ですね。ジャケットが災いしたんですよ。一見すると普通に演奏してるように聴こえるかも知れませんが、彼女のは普遍なのですが。それとちょっときつめの音出してるように聴こえますが、生のヴァイオリンを聴かれると分かりますが、近くで聞くときつい音ですよ。録音に拠るものでしょうか?フィリップス録音なんですけど不思議だ。
オリジナルの10インチ番は3枚あって、第1集よく見かけます。3集もたまに見かけますが、2集がなかなか見かけません。3枚そろえるのは大変かも。

マント・ケヌーマー

2013/06/29 URL 編集返信

No title
マントさん、確かにマイクは近い感じです。まったくごまかしの効かない録り方で、曲は誰もが知っている曲…それでこの迷いのない、出し切った音で演奏できるのは、やはり只者じゃないですね。
手抜きのできない性分だったのでしょう。その後は、室内楽演奏に専念。
この仕事で「ソロ録音はもうこりごり」と思うところがあったのかもしれません。

yositaka

2013/06/30 URL 編集返信

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プロフィール

yositaka

Author:yositaka
子どもの本と、古めの音盤(LP・CD)に埋もれた「ネコパパ庵」庵主。
娘・息子は独立して孫4人。連れ合いのアヤママと二人暮らし。

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