Bruno Walter: the Edition [Box Set](EU盤)
指揮者ブルーノ・ワルターの、米コロムビア録音をまとめたもの。
さきに発売されていた韓国盤セットの購入を迷っていたところ、この、もっと廉価なEU盤が発売されてしまった。
でも、これはネコパパの切望する「完全版」ではなく、1994年版の再版らしい。つまり、韓国版と同じ内容だ。
よって、メトロポリタン歌劇場の歌手たちを起用した4枚のモーツァルト・アリア集や、
ロッテ・レーマンの歌唱をピアノ伴奏した『詩人の恋』『女の愛と生涯』、
モーツァルトの交響曲のステレオ盤、
ベートーヴェンとブラームス、シューベルトの交響曲のモノラル盤なども…含まれていない。
せっかく出すのなら、トスカニーニ並みの全集を目指してほしいのだが。
同じ会社なのに、ワルターは、トスカニーニに比べて明らかに扱いが雑なのが、ファンとしては口惜しい。
でもまあ、購入してしまった…
気になる音質比較を、少しだけしてみた。
予想通り、1994年発売のヨーロッパ盤と、まあ、同じに聞こえる。解説に記された通り、いわゆるSBM(スーパービット・マッピング)盤だ。
ただし、同時期に出た国内盤と、同じ音ではない。
国内盤は、SBMに加えてPDLSというシステムを併用。いったんデータを個体メモリーに蓄積して回転系の影響やノイズを抑え、クリア化を図った、と説明されている。…それって、現在のPCオーディオの発想だよね。
たしかに国内盤は、スッキリして滑らかで、音の抜けがいい。
でもEU盤にくらべると、細身で、突き出しが弱い気がする。
当てずっぽうの意見だが、回路をひとつ余分に通した分だけ、雑味が抜け落ちたのでは…。
ネコパパが「SBMの音」として記憶していたのは、どうやら国内盤の音だったようだ。
当時は、ジャケットデザインにつられて、国内盤のほうを多く購入したからなあ…
最新の国内盤(DSD盤)は、情報量が拡大し、各楽器の音の分離が鮮明。会場雑音もしっかりと聞こえる。でも「高周波攻撃」などと貶す人もいるように、強音はきつく、ちょっと耳に痛い音だ。
結論は、このEU盤、聴ききやすい音である。
ノイズ軽減のための調整も行われているが、和製SBMほどは、操作された印象がない。膨らみや力強さも十分である。
シューマンの『ライン交響曲』、ブラームスの『ドイツ・レクイエム』、モーツァルトの『交響曲第39番』など、聞きはじめて、えっと思い、音質比較など忘れて聞き惚れてしまった…モノラル盤が、特にいいようだ。
だが
ネコパパ、何か隠しているな…と言われそう…
そう、初期のCD、マックルーア編集盤との比較だ。
『大地の歌』冒頭を、少しだけ、聞き比べてみた。
少しだけで、やめた。
EU盤のあとにマックルーア盤を聴いたら、なんだかアナログLPで聴いているような気持ちになってしまったのだ…いや、これは、正確じゃない。
「LPで聴けよ」と、せっついてくる音、というのかな。
違いや良し悪しを述べるのは、難しい。「LPの音」への愛着度で、評価は変わる。
そして、愛着というのは、図ることができない。
<CD1>
ベートーヴェン:『交響曲第1番 ハ長調』『交響曲第2番 ニ長調』『序曲「コリオラン」』
コロンビア交響楽団
[録音:1958~1959年]
<CD2>
ベートーヴェン:『交響曲第3番 変ホ長調「英雄」』『交響曲第8番 ヘ長調』
コロンビア交響楽団
[録音:1958年]
<CD3>
ベートーヴェン:『:交響曲第4番 変ロ長調』『交響曲第6番 ヘ長調「田園」』
コロンビア交響楽団
[録音:1958年]
<CD4>
ベートーヴェン:『交響曲第5番 ハ短調』『交響曲第7番 イ長調』
コロンビア交響楽団
[録音:1958年]
<CD5>
ベートーヴェン:『交響曲第9番二短調「合唱」』
エミリア・クンダリ(Sp), ネル・ランキン(Ms), アルバート・コスタ(T), ウィリアム・ウィルダーマン(Br), ウェストミンスター合唱団, コロンビア交響楽団
[録音:1959年]
<CD6>
ベートーヴェン:『ピアノ協奏曲第5番 変ホ長調 Op.73「皇帝」』
ルドルフ・ゼルキン(P) ニューヨーク・フィルハーモニック
[録音:1941年]
シューマン:『ピアノ協奏曲 イ短調』
ユージン・イストミン(P) コロンビア交響楽団
[録音:1960年]
<CD7>
ベートーヴェン:『ヴァイオリン協奏曲ニ長調 』
ヨゼフ・シゲティ(Vn) ニューヨーク・フィルハーモニック
[録音:1947年]
メンデルスゾーン:『ヴァイオリン協奏曲ホ短調 』
ナタン・ミルシティン(Vn) ニューヨーク・フィルハーモニック
[録音:1945年]
<CD8>
ベートーヴェン:『三重協奏曲 ハ長調 』
ワルター・ヘンドル(P) ジョン・コリリアーノ(Vn) レナード・ローズ(Vc) ニューヨーク・フィルハーモニック
[録音:1949年]
ブラームス:『ヴァイオリンとチェロのための二重協奏曲イ短調』ジノ・フランチェスカッティ(Vn) ピエール・フルニエ(Vc)コロンビア交響楽団
[録音:1959年]
<CD9;ベートーヴェン:交響曲のリハーサル風景>
コロンビア交響楽団
[録音:1958~1959年]
<CD10>
ブラームス:『交響曲第1番 ハ長調 』『ハイドンの主題による変奏曲』
コロンビア交響楽団
[録音:1959~1960年]
<CD11>
ブラームス:『交響曲第2番 ニ長調』『交響曲第3番 ヘ長調』
コロンビア交響楽団
[録音:1960年]
<CD12>
ブラームス:『交響曲第4番 ホ短調』『悲劇的序曲 Op.81』『運命の歌*』
コロンビア交響楽団 オクシデンタル・カレッジ・コンサート合唱団*
[録音:1959~1961年]
<CD13>
ブラームス:『ドイツ・レクイエム』
イルムガルト・ゼーフリート(Sp) ジョージ・ロンドン(Bs) ウェストミンスター合唱団 ニューヨーク・フィルハーモニック
[録音:1954年]
<CD14>
ブルックナー:『交響曲第4番 変ホ長調「ロマンティック」(ノヴァーク版)』
コロンビア交響楽団
[録音:1960年]
<CD15>
ブルックナー:『交響曲第7番 ホ長調』
コロンビア交響楽団
[録音:1961年]
<CD16>
ブルックナー:『交響曲第9番 ニ短調 (ノヴァーク版)』
コロンビア交響楽団
[録音:1959年]
<CD17>
ドヴォルザーク:『交響曲第8番 ト長調『交響曲第9番 ホ短調「新世界から」』
コロンビア交響楽団
[録音:1959~1961年]
<CD18>
ハイドン:『交響曲第88番 ト長調「V字」』『交響曲第100番 ト長調「軍隊」』
コロンビア交響楽団
[録音:1961年]
ハイドン:『交響曲第102番変ロ長調』
ニューヨーク・フィルハーモニック
[録音:1953年]
<CD19&20>
マーラー:『交響曲第1番ニ長調「巨人」』
コロンビア交響楽団
[録音:1961年]
マーラー:『:交響曲第2番「復活」』
エミリア・クンダリ(Sp)モーリン・フォレスター(Ms) ニューヨーク・フィルハーモニック ウェストミンスター合唱団
[録音:1957~1958年]
<CD21>
マーラー:『交響曲第4番』
デジ・ハルバン(Sp) ニューヨーク・フィルハーモニック
[録音:1945年]
『若き日の歌より8曲』
デジ・ハルバン(Sp) ブルーノ・ワルター(P)
[録音:1947年]
<CD22>
マーラー:『交響曲第5番』
ニューヨーク・フィルハーモニック
[録音:1947年]
<CD23&24>
マーラー:『交響曲第9番』
コロンビア交響楽団
対談、リハーサルと本番
[録音:1961年]
<CD25>
マーラー:『大地の歌』
ミルドレッド・ミラー(Ms) エルンスト・ヘフリガー(T) ニューヨーク・フィルハーモニック
[録音:1960年]
<CD26>
モーツァルト:『交響曲第25番 ト短調 交響曲第28番 ハ長調 交響曲第29番 イ長調』
コロンビア交響楽団
[録音:1954年]
モーツァルト:『交響曲第35番 ニ長調 「ハフナー」』
ニューヨーク・フィルハーモニック
[録音:1953年]
<CD27&28>
モーツァルト:『交響曲第36番 ハ長調 「リンツ」』リハーサルと本番
コロンビア交響楽団
[録音:1955年]
モーツァルト:『交響曲第38番 ニ長調「プラハ」』
ニューヨーク・フィルハーモニック
[録音:1954年]
<CD29>
モーツァルト:『交響曲第39番 変ホ長調』『交響曲第40番 ト長調』『交響曲第41番 ハ長調 「ジュピター」』
ニューヨーク・フィルハーモニック
[録音:1953~1956年]
<CD30>
モーツァルト:『ヴァイオリン協奏曲第3番ト長調 』『ヴァイオリン協奏曲第4番ニ長調』
ジノ・フランチェスカッティ(Vn) コロンビア交響楽団
[録音:1958年]
『アイネ・クライネ・ナハトムジーク』
コロンビア交響楽団
[録音:1954年]
<CD31>
モーツァルト:『メヌエットとトリオ』『3つのドイツ舞曲』『フリーメーソンのための葬送音楽』『「魔笛」序曲』『「フィガロの結婚」序曲』『「コシ・ファン・トゥッテ」序曲』
コロンビア交響楽団
[録音:1954年]
ハイドン『交響曲第96番 ニ長調「奇跡」』
ニューヨーク・フィルハーモニック
[録音:1954年]
<CD32>
モーツァルト:『レクィエム ニ短調』
イルムガルト・ゼーフリート(Sp) ジェニー・トゥーレル(A) レオポルド・シモノー(T) ウィリアム・ウォーフィールド(Bs) ウェストミンスター合唱団 ニューヨーク・フィルハーモニック
[録音:1956年]
ブルックナー:『テ・デウム』
フランシス・イーンド(Sp) マーサ・リプトン(Ms) デイヴィッド・ロイド(T) マック・ハレル(Bs) ニューヨーク・フィルハーモニック
[録音:1953年]
<CD33>
シューベルト:『交響曲第5番 変ロ長調』 コロンビア交響楽団
[録音:1955年]
シューベルト:『交響曲第7(8)番 ロ短調「未完成」』
ニューヨーク・フィルハーモニック
[録音:1958年]
ベートーヴェン:『序曲「レオノーレ第3番」』
ニューヨーク・フィルハーモニック
[録音:1954年]
<CD34>
シューベルト:『交響曲第9(8)番 ハ長調 「グレート」』『劇付随音楽「ロザムンデ」(抜粋)』
コロンビア交響楽団
[録音:1959&1955年]
<CD35>
シューマン:『交響曲第3番 変ホ長調 「ライン」』ニューヨーク・フィルハーモニック
[録音:1941年]
ベートーヴェン:『「エグモント」序曲』ニューヨーク・フィルハーモニック
[録音:1954年]
ベートーヴェン:『序曲「レオノーレ第2番」』コロンビア交響楽団
[録音:1960年]
<CD36>
ヨハン・シュトラウス2世:『美しく青きドナウ』『ウィーンの森の物語』『皇帝円舞曲』『ウィーン気質』『「ジプシー男爵」序曲』『「こうもり」序曲』
コロンビア交響楽団
[録音:1956年]
ブラームス:『ハンガリー舞曲第1, 3, 10, 17番』
スメタナ:『交響詩「モルダウ」』
ニューヨーク・フィルハーモニック
[録音:1951&1941年]
<CD37>
R・シュトラウス:『交響詩「ドン・ファン」』『交響詩「死と変容」』
バーバー『交響曲第1番』ドヴォルザーク『スラブ舞曲第1番』
ニューヨーク・フィルハーモニック
[録音:1941~1952年]
<CD38>
ワーグナー:『ジークフリートの牧歌』リハーサルと本番,『楽劇「ニュルンベルグのマイスタージンガー」第1幕への前奏曲』
コロンビア交響楽団
[録音:1959年]
<CD39>
ワーグナー:『歌劇「さまよえるオランダ人」序曲』『楽劇「ローエングリン」より第1幕への前奏曲』『舞台神聖祭典劇「パルジファル」より第1幕への前奏曲と聖金曜日の音楽』『歌劇「タンホイザー」より序曲&バッカナール』
コロンビア交響楽団 オクシデンタル・カレッジ・コンサート合唱団
[録音:1959~1961年]
ブルーノ・ワルター(指揮)
コメント
SL-Mania
2013/05/31 URL 編集返信リハーサルはとても貴重ですが、これも実はすべてではなく、ブラームスの交響曲第2番、第3番のニューヨーク・フィルとのものも残されていたと記憶します。
さらに細かく見れば、まだ抜けはあります。
ニューヨークフィルの1945年録音の『ジュピター』『コシ・ファン・トゥッテ序曲』『皇帝円舞曲』メンデルスゾーンの『真夏の世の夢』スケルツォもありますし、ブルックナーの交響曲第7番のライヴ収録など、当時未発売だった音源もまだあると思います。ソニー、もうひと踏ん張りできませんかねえ。
yositaka
2013/05/31 URL 編集返信SL-Mania
2013/05/31 URL 編集返信yositaka
2013/05/31 URL 編集返信