続く演奏家の訃報

音楽愛好者として、長く親しんだ方々が次々、鬼籍に入られていく。
このふたりも、熱烈に愛好したことはなかったにしても「いつもそこに音楽があった」ひとである。寂しさもひとしおだ。
心から哀悼の意を表したい。
経歴の引用はウィキペディアから、適宜抜粋しました。



ヤーノシュ・シュタルケルJanos Starker, 192475 - 2013428日)




ハンガリー出身のチェリスト、音楽教育者。
ブダペストに生まれ、7歳でブダペスト音楽院に入学を許されるほど、幼い頃からその天賦の才能を発揮した。11歳でソロ・デビュー、翌年ルーマニアのブカレストで演奏会を行い、国外デビュー。
1946年には祖国を去り、ヨーロッパ各地で演奏。フランス滞在中録音した1枚、コダーイの無伴奏チェロソナタが1948年のディスク大賞 (Grand Prix du Disque) を獲得。
1949年にはフリッツ・ライナーの招きを受けて、メトロポリタン歌劇場管弦楽団の首席チェリストに就任。1953年、ライナーがシカゴ交響楽団に移るのに伴って移籍。1958年まで在籍。
渡米直後、シュタルケルは、オーナーがハンガリー人だという理由でピリオドという小さなレーベルと契約した。1950年このレーベルで録音したコダーイの無伴奏チェロソナタでセンセーションを巻き起こし、一躍その名を世界中に轟かせた。
独奏者となってから、コダーイ、バルトークといった近代作品やバッハの演奏で特に高い評価を得ている。また、アンタル・ドラティ、ミクローシュ・ロージャ、サミュエル・バーバーら多くの作曲者に助言を与え、その作品を献呈されている。
1958年、インディアナ大学の教授に就任した。門下からは、堤剛をはじめ多くのチェリストが育っている。2013428日、インディアナ州の自宅で死去[1]88歳没。



コダーイにしても、バッハにしても、音盤の音質の凄さばかりが喧伝されていた印象が強い。
そういうのが苦手で、真剣に聴かずに来た。
名盤の評価の高い、マーキュリー録音のドヴォルザークチェロ協奏曲も、どうも馴染めなかった。
でも、この人のバッハの無伴奏チェロ組曲全曲は、やはり有無を言わせぬ剛直な響きが、バッハの新しい魅力を引き出している。ことに「第6番」はカザルスと肩を並べるものと思う。

ネコパパ愛聴のものは、フィリップス国内盤LP。音質の凄さはこれでもしっかりと伝わる。これからも大切に聴いていきたい。




 
ジャン=フランソワ・パイヤールJean-Fransois Paillard,1928412 - 2013415)フランスの指揮者。




マルヌ県ヴィトリ=ル=フランソワの出身。ソルボンヌ大学で数学を専攻した後、パリ音楽院でノルベール・デュフルクに音楽学を、ザルツブルクのモーツァルテウム音楽大学にてイーゴリ・マルケヴィチに指揮を師事するなどの音楽教育を受ける。
1953年にジャン=マリー・ルクレール器楽アンサンブルを創立。これが母体となって1959年にパイヤール室内管弦楽団が結成された。同楽団はバロック音楽や古典派音楽を専門としていたが、チャイコフスキーやドヴォルザークの弦楽セレナーデのようなロマン派音楽を稀に録音することもあった。パイヤールは後者を通じてエラート・レーベルに数々のバロック音楽を録音し、また欧米の各地で演奏旅行を行なった。
共演して音源を残したソリストに、モーリス・アンドレ、ジャン=ピエール・ランパル、ジェラール・ジャリ、リリー・ラスキーヌ、ピエール・ピエルロらがいる。
パイヤールはしばしばその他のアンサンブルにも客演指揮者として活躍し、また著述家としても活躍した。



ネコパパ生涯で2番目に購入したモーツァルトの音盤は、パイヤール指揮のフルートとハープのための協奏曲。エラートの1000円盤だった。
でも、これの本当の凄さがわかったのは、まだつい最近のことだ。

音楽がわかるというのは年季のいるもの。

70年ごろ盛んだった現代楽器による室内オーケストラは、ピリオド演奏の隆盛もあって、今ではすっかり目立たないものになってしまった。
それでも、いや、だからこそ、パイヤール室内管弦楽団の演奏は新鮮である。
モーツァルトならヴァイオリンとヴィオラのための協奏交響曲コンチェルトーネを収めた一枚、バッハなら「音楽の捧げもの」、そして、ヴィヴァルディの四季、ヴィオラ・ダモーレ協奏曲集
ロマンティックなアレンジが施されたパッヘルベルのカノンも、一度聴いたら忘れられない。
明るく、色香の乗ったちょっと厚ぼったい響きがチャーミングな、掛け替えのない名盤たちが残された。
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コメント

コメント(4)
No title
本当に訃報が多いですね。シュタケルは最近NAXOSから出たホヴァネスの協奏曲を購入したばかりです。亡くなったのはつい最近ですね。

SL-Mania

2013/05/01 URL 編集返信

No title
SL-Maniaさん、最後まで現役で通す姿は、見事ですね。シュタルケルの音楽にはそんな矜持が常に漂っていた気がします。
いまさらながら、じっくり音盤を聴きなおしてみたいと思っています。、

yositaka

2013/05/01 URL 編集返信

No title
渋谷の音楽喫茶らんぶるの定番がパイヤールのパッヘルベルのカノンでした
PCM録音の音楽の捧げものなんかが話題になり、聴いていた時代があります
シュタルケルのBACH無伴奏は90年初頭の新録音の方を、今でも聴いています

老究の散策 日記

2013/05/02 URL 編集返信

No title
老究さん、たしかDENONによる世界初のデジタル録音(PCM)は、東京でのパイヤール室内管弦楽団のライヴでした。
そしてDENONが機器を運び込んで世界初のヨーロッパでのデジタル録音を行ったのもパイヤール、記事で述べたモーツァルトとバッハの2枚でした。わすれがたい歴史を刻んだ存在でしたね。
シュタルケルは私にとってまだまだ未知の存在です。バッハの無伴奏を彼は5回くらいも録音しているようです。その執着は尋常ではありません。90年代の最新版もぜひ聞いてみたいものです。

yositaka

2013/05/02 URL 編集返信

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yositaka

Author:yositaka
子どもの本と、古めの音盤(LP・CD)に埋もれた「ネコパパ庵」庵主。
娘・息子は独立して孫4人。連れ合いのアヤママと二人暮らし。

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