歌の滋味、ベン・ウェブスター

SOULVILLE/BEN WEBSTER



 
ベン・ウェブスター(ts
オスカー・ピーターソン(p
レイ・ブラウン(b
ハーブ・エリス(g
スタン・リーヴィー(ds


1957
10月録音 VERVE国内盤LP

 
1、ソウルヴィル
2、レイト・デイト
3、タイム・オン・マイ・ハンズ
4、恋人よ我に帰れ
5、ホエア・アー・ユー
6、メイキン・フーピー
7、イル・ウィンド

 
ハーブ・エリスのギターが静かにリズムを爪弾き始める。
そこに、覆いかぶさるように、ベン・ウェブスターの分厚いテナーサックスが登場。低音ではじめはゆったりと音を伸ばし、続くフレーズで音数を増やす。奏者の息遣いを伴った、かすれたダミ声のような響きが加わる。まるで肉声で歌われる、熱い思いのこもった歌を聴くようだ。
合間に水滴を散らすようにきらきらとしたピーターソンのピアノが弾ける。
第1曲「ソウルヴィル」。

濃い目のオレンジ色の地にこわもての親父顔のアップ。
このジャケットデザインは、ちょっとな…と思ってしまう。しかし実際の中身は、味わい深く、静けさと落ち着きに満たされた、バラード中心のアルバム。
 
2曲目の「レイト・デイト」は、エリスの快適なギターをフィーチャーしたミディアム・テンポの曲。ウェプスターは肩の力を抜いたソロだが、ちょっと力を入れただけで音が膨らみ、熱がこもる。

3曲目は「タイム・オン・マイ・ハンズ」は再びスロー・バラード。
低音を聞かせた「ソウルヴィル」とは逆に、よく伸びる高音の歌い上げで聴き手を酔わせる。あとにいくほど切なさをましてくる歌の運び。名人の技だ。

聴きものの「恋人よわれに帰れ」は、ちょっとテンポを速める。
でも、歌の後半にちょっとででくる「さび」の部分。
歌詞ではここ。
 

I remember every little thing
You used to do
I'm so lonely
Every road I walkalone

 
ビリー・ホリディなど、多くの人は経過句のようにテンポを速めて、あっさりと通り過ぎてしまうけれど、ウェブスターは遅くじっくりと奏でる。締めくくりのテーマ再現では、いっそう美しく。
ピーターソンの長いソロも登場。
いつもの絢爛さを抑えた渋めのソロを取ることで、曲想を壊さないよう気遣っている。さすがのセンスだ。

 
晩年のウェブスターのテナーには、ちょっと「男泣き」みたいな感傷的なところがあって、そこが苦手と思う人もいるかも。雑味のある独特の音色(サブトーンが利いた音色、なのかな)も。
でも、破滅型に陥りがちだった当時のジャズマン達の中、「歌」の力で長いキャリアを歩むことができたこの人の音楽には、年輪だけが生み出す滋味がある。
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yositaka

Author:yositaka
子どもの本と、古めの音盤(LP・CD)に埋もれた「ネコパパ庵」庵主。
娘・息子は独立して孫4人。連れ合いのアヤママと二人暮らし。

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