核のゴミはどこへ

"核のゴミ"はどこへ ~検証・使用済み核燃料~ 
NHKスペシャル 2013210()放送

 
<番組説明>
3つの建屋が爆発した、福島第一原子力発電所の事故。
原子炉とともに危機的な状況に陥ったのが、莫大な放射能を持つ使用済み核燃料の貯蔵プールだった。
原子炉の稼働によって生じる使用済み核燃料は、全国の原発などに貯蔵され、その量は1万7千トンに達している。国が、使用済み核燃料を資源として貯蔵・再利用する、核燃料サイクルを推進してきたためだ。
しかし、サイクルの要となる青森県六ヶ所村再処理工場は、トラブルの連続で操業開始を延期し続け、高速増殖炉「もんじゅ」も、1995年の事故以来、ほとんど動いていない。さらに、再処理に伴って生じる高レベル放射性廃棄物を埋設処分する場所も決まっていない。
国は、3兆円近い経済効果をうたってきたが、唯一名乗りを挙げた高知県東洋町では、激しい反対運動が起こり挫折。原発事故後、さらに状況は厳しくなっている。
こうした中、去年末に誕生した自公・安倍政権は、「前政権下の原発ゼロ政策の見直し」「核燃料サイクルの継続」を表明。使用済み核燃料、高レベル放射性廃棄物が再び大量に増え続ける懸念が出てきている。
もはや、使用済み核燃料や廃棄物から目を背けることはできない私たちの社会。重い課題と向き合う、世界各国の事例も交えて伝え、次世代に負担を先送りしない方策を探る。


 
 
番組を見て、日本の「核のゴミ」放射性廃棄物の処理問題が瀬戸際に来ていることがはっきりわかった。
もっとも印象的だったことはふたつ。
 
ひとつは、核燃料サイクル頓挫にもかかわらず、「廃棄物は再処理後に最終処分」という国の方針が見直されない事情だ。
 
再処理施設の補助金の落ちる青森県が、これに経済的に依存していることもあるが、さらに重要なのは、再処理中止となれば、すでに処理のために大量に六ヶ所村に搬入されている廃棄物を、各発電所に返還しなければならない契約だということ。
返還を実施すれば、既に満杯に近い各原発の廃棄物貯蔵は「破綻」し、再起動など到底不可能になる。
これでは、現状再処理の方針を覆すことは不可能だろう。
再処理の頓挫については、原子力委員会や電力会社内部でも議論されていたが、各機関、政府関係者の「秘密会議」によって継続の方針が固められた。
NHK取材陣は関係者が秘密会議に集まる様子を映像に収め、内容も隠し録り録音で紹介している。
 
そしてもう一つは、最終処理にかかわる、日本とスイスの住民姿勢の違いだ。
 
日本では、福島原発事故により、既に難行していた最終処理場決定問題は暗礁に乗り上げた。処分地候補で名乗りを上げていた地区も一斉にそれを取り下げたのである。今後の見通しは皆無。
では他の国では?
まず紹介されたのは、処分地のリスクも十分に説明したうえで、住民の理解を得ようとするイギリス。
候補地は国が選定し、補助金の話は持ち出さず、説明と意見交換によって納得ずくで進めようと取り組む。手応えを感じるところまで進んでも、住民投票では否決…。
続いて紹介されたのは、処分地の見通しができつつあるスイス。候補地の酪農家は「福島原発事故によって処分地の必要性を実感し、同意に傾いた」と語っていた。
 
同じ事故をきっかけとして、処分地決定から遠ざかる日本。かたや処分地問題が進展するスイス。
この姿勢の違いはどうだろう。



 
眼前の利害以外、眼中にない日本。
そのくせ、いざ、リスクを引き受けるとなると、途端に腰が引ける。
「放射性廃棄物」の問題があることは自明だった。福島事故以前から言われていたことだし、核廃棄物問題をNHKの番組で特集するのも、初めてではない。
将来のことについて尋ねられた、専門家や電力関係者の答えは、いつも同じだった。

「現在は、効果的な処理技術がない。将来の技術開発に期待している」

「ガラス固化」の技術はまだ完成してもいない。核燃料サイクルに必須な高速増殖炉は事故続きで稼働の見込みなし。
それにもかかわらず、再処理を行うことに「決めた」「決めたらできる」…そんな見込みだけで、実際に廃棄物を大量に搬入してしまった。
結果はそのまま放置だ。
 
ネコパパの記憶では…
再処理施設の稼働も、ガラス固化も、地層処分も、日本で果たして可能なのか、疑問視する声は多かった。
チェルノブイリ事故の頃から、さまざまな文献で目にしてきた。
目新しい提言ではなかった。
 
多くの人は知っていた。
それなのに、世の中は不都合な事実に耳を塞ぐ人間ばかりが牽引し、今を迎えてしまった。
 
この忸怩たる進展…そして後悔。
日中戦争、太平洋戦争を始めてしまった時も、きっと同じではなかっただろうか。歴史は繰り返す。
しかし今の段階なら、まだ道はあるはずだ。

当番組であきらかにされた事実を、国民が議論するための前提にできれば。



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yositaka

Author:yositaka
子どもの本と、古めの音盤(LP・CD)に埋もれた「ネコパパ庵」庵主。
娘・息子は独立して孫4人。連れ合いのアヤママと二人暮らし。

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