「春」の鼓動を呼び起こす

300人収容の小型のホールでシューマン「」の交響曲。
sige君と聴いてきました。



名古屋シュロスシンフォニカは、
名城大学管弦楽団のOBを中心として活動しているオーケストラとのこと。
平成22年結成。若々しい団員たちが、生き生きと演奏する様は、それだけでも絵になりますが
演奏内容は…傾聴に値するものでした。

まずベートーヴェンの8番。
冒頭の落ち着いた出だしから「これは…」と思わせるものがあり、
全体を遅めのテンポで統一した、最近では珍しい造形、ピリオド奏法も取り入れつつ、音をいっぱいに鳴らした充実感。アマチュアオーケストラにありがちな危なっかしさが感じられず、安心して曲に浸っていました。

それが後半のシューマン「春」では一転。
曲想の変化を生かした、表情ゆたかな演奏ぶりに。

はじめの部分を少し聞けばわかるように、この交響曲、短いスパンで次々に色合いが変わります。
力強い金管のファンファーレで開始、そのあとすぐに弦に交代。テーマを荘重に奏でたあと、すぐに高く跳ね上がり、ちょっと間を取って、短く刻むような動機がかき鳴らされる。
こんな細かい変化が曲の最後まで続くのですから、
おそらくは「弾きこなす」だけでも大変と思います。
その一方で、強いメリハリや、盛り上がっていく緊迫感や、高揚するカタルシス…といった効果的な仕掛けがあるというわけでもない。
むしろそんな仕掛けはあえて避け、厳選した音素材をつかって、気ままに、自在にアドリブをしていく…という感じに仕上げている。
「つかみどころがない」「とりとめがない」などと、言われたりします。

ところが今回のシュロスオケの演奏、曖昧な感じは、全くありません。
細部まで音の出し方が吟味され、
曲想の変化、楽器の入れ替わり、目立たせ方がいちいち面白く、
音楽が今どのあたりを進行中なのか…ということも意識から抜けてしまって、
あっという間に聴き終えてしまいました。

たしかにプロの団体に比べれば、音程やアンサンブルなど、弱いところもあるわけですが、それが気にならない。
指揮者の非常に細かく、情報量の多い指示に、全員がしっかりとついていき、「血の通った音楽」を実現しているからです。
シューマンの音楽の魅力を引き出した、高いレベルの音楽でした。

時は2月のはじまり。
まだまだ季節も、世の中も、またネコパパの周囲からも、厳しい冬の色は去らないわけですが…
胸の内から「春」の鼓動を呼び起こしてくれた…そんなコンサートでした。

指揮者は、津清仁さん。



指揮台に姿を見せるまで、失礼ながら忘れていました。
彼の指揮に接するのは二回目です。
2011年11月13日、大府楽友協会管弦楽団のコンサートが最初でした。
そう、あのメンデルスゾーン「宗教改革」が演奏された…


聴き逃せない指揮者の名前が、また一つ増えました。忘れるわけにはいきません。

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コメント

コメント(2)
No title
はじめまして。みっちと申します。
solarisさんのブログでお見かけして、飛んでまいりました。

名古屋の若い楽団の演奏、良さそうですねぇ。みっちも小学校までは名古屋の南区に住んでいましたので、懐かしいです。

メンデルスゾーンの宗教改革Reformationにも反応しました。
演奏される機会が少ない曲ですが、みっちのお気に入りです。根っからのユダヤ人であるメンデルスゾーンが、Reformationに抱く思いが少し感じ取れるような気がします。

駄レスで失礼しました。

みっち

2013/02/04 URL 編集返信

No title
みっちさん、ようこそ。

南区といえば妻の実家所在地。時々出かけていますよ。
当市では、若いアマチュア楽団が次々に誕生している様子で、気楽にライヴに触れられるのは喜ばしいことです。曲目も意欲的なものが多く、発見の喜びもあります。

拙いブログですが、よろしくお願いします。

yositaka

2013/02/04 URL 編集返信

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プロフィール

yositaka

Author:yositaka
子どもの本と、古めの音盤(LP・CD)に埋もれた「ネコパパ庵」庵主。
娘・息子は独立して孫4人。連れ合いのアヤママと二人暮らし。

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