まさに音楽的な瞬間が

レコード芸術2012.12月月号
こんな特集が組まれています。



百年祭の巨匠たち―ヴァント、チェリビダッケ、ショルティ……1912年生まれの大指揮者を聴く
 
特集内容は以下の通り。

 

●年表でたどる巨匠たちの生涯と業績……満津岡信育
マエストロたちの音楽の魅力と名盤選
 ◎ギュンター・ヴァント……鈴木淳史
 ◎セルジウ・チェリビダッケ……吉村溪
 ◎ゲオルグ・ショルティ……前島秀国
 ◎エーリヒ・ラインスドルフ……岩下眞好
 ◎フェルディナント・ライトナー……吉村溪
 ◎シャーンドル・ヴェーグ……片桐卓也
 ◎イーゴル・マルケヴィチ……山野雄大
 ◎クルト・ザンデルリング……増田良介
 ◎山田一雄……満津岡信育
 名盤選コメント……相場ひろ/岩下眞好/片桐卓也/城所孝吉/佐伯茂樹/鈴木淳史/広瀬大介/舩木篤也/前島秀国/増田良介/満津岡信育/宮下博/山崎浩太郎/山野雄大/吉村溪
●ヴァント、チェリビダッケとウィーン・フィル……佐伯茂樹
●ヴァントさんとの共演の想い出……吉井瑞穂
●日本とマエストロたち……池田卓夫


 
ネコパパが愛聴してやまぬシャーンドル・ヴェーグクルト・ザンデルリングの二人が、こういう形ででも注目される機会を得られたのは、まずは良いことでした。
 
「魅力と名盤選」の項目は、こうして並べると9人が対等に扱われているように見えますが、実際はヴァント、チェリビダッケ、ショルティの三人は特別枠で、ヴァント、チェリは8ページ、ショルティはなんと9ページものページを振り分けられ、贅沢な紹介がされているに対して、あとの6人は2ページずつなのです。
おそらく国内盤のリリース数と売れ行きに関係があるのでしょう。
でもなんとなく「嫌な感じ」ではあります。
ことに生前レコード録音を拒否し、カルロス・クライバーとともに、海賊盤隆盛のきっかけを作ったチェリビダッケが、今この扱いなのは何とも皮肉。
 
記事では、片桐卓也がヴェーグのセレナード・ディヴェルティメント集(カプリッチョ)について的確なコメントを書いていること、池田卓夫が「日本とマエストロたち」の項で、ザンデルリングの評価が遅れた理由を指摘していることの二点が目を引きました。
 
片桐氏の記事はこんな具合。

 
この演奏の中には、音楽とは何か、そして演奏とは何かを突き詰めた一人の音楽家と、彼との長いリハーサルの中でその音楽的な共感を受け継いだ演奏家達が作り出す、まさに音楽的な瞬間が封じ込められている。何気ない「行進曲K62」の中にどれだけの天才の閃きが隠されているか、なんてことに真剣に取り組む演奏家はあまりいないだろう。しかし、このたった242秒の演奏の中には、1769年に実在していた天才作曲家の自負が余すところなく感じられる。それを演奏によって引き出し、実感させてくれるところがヴェーグの素晴らしい力である。



 

一方、池田氏は、ザンデルリングの日本での評価が遅れた理由のひとつとして「ドレスデンとの演奏を酷評する評論家もいたため」とはっきり書いています。
その評論家の中心的な一人は、吉田秀和でした。
やがて年月が立ち、ザンデルリングは確かな評価を得ることになります。
問題のドレスデンとの来日公演もCDとして発売。ところが吉田秀和は、以前の酷評を覆すように、演奏内容を高く評価する一文を「レコード芸術」に発表しています。

ネコパパは吉田秀和の長年の愛読者です。が、このことだけは釈然としない気持ちがずっと残っています。
評価が変わったことにではなく、以前の「酷評」に全く言及しなかったことに対して、です。
だからというわけではありませんが、池田さん、ここはきっちり名指しで指摘して欲しかった。
 
リストアップされた盤について、これがない、あれがないというのは詮無きことですが、ひとつだけ。
ヴェーグの項で、独オルフェオの盤がただの一枚も紹介されていないのは、さすがにどうでしょう。オルフェオは彼の録音を最も意欲的に、幅広く紹介しているレーベルです。せめて一つくらいはほしかったですね。ネコパパなら、「ザルツブルク・モーツァルト・マチネー1988-93」を入れたいところです。
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プロフィール

yositaka

Author:yositaka
子どもの本と、古めの音盤(LP・CD)に埋もれた「ネコパパ庵」庵主。
娘・息子は独立して孫4人。連れ合いのアヤママと二人暮らし。

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