トスカニーニ、エスプリ抜きの熱演

トスカニーニのフランクとサン=サーンス



フランク

交響曲ニ短調 (19401214&1946324, ラジオシティ Studio 8H)
サン=サーンス

交響曲第3番ハ短調Op.78「オルガン付き」(19521115, カーネギー・ホール)

アルトゥーロ・トスカニーニ指揮
NBC交響楽団

RCA原盤 トスカニーニ・コンプリート・コレクションより


40年以上も昔の話。
少年時代のネコパパは、市街地にある大きなレコード店でこのサンサーンスを試聴させてもらっていた。

それが、初のトスカニーニ体験。
ズビン・メータ指揮ロスアンジェルス・フィルの盤が発売され、FM放送で大きく宣伝されていたころだ。

壮大なオルガンとオーケストラが共演するかっこよさに興味を持ったネコパパ、購入するならいろいろ聞いてみようと、町のレコード店を荒らしまわっていた。
当時の店はどこでも試聴ができて、それもヘッドホンではなく店のスピーカ―から音を出すので、臨場感も楽しめたものである。
試聴はB面から。鮮烈な弦の刻みが飛び出してきた。
トスカニーニ、なかなかいい。ところが、第2楽章後半に登場するオルガンの音に吃驚。
なんだか、すごく情けない音だったのだ。
これにはがっくりきて、トスカニーニの第一印象は、かなり歪められてしまった。
 
geezenstacさんが記事にされたので、これは聴かないと、と思い針を落とすことに。


…といってもCDだから針はないですが。

最初のフランクは、暗く、重い音で始まる。
でも音楽が動き出すと、トスカニーニの熱情の音隗がたちまち噴き出してくる。溢れる感情が音にそのままあらわれる「乗ったとき」のトスカニーニの音だ。
テンポは決して急がない。が、音自体が尖り、走っているので、一気に聴くことができる。
でも…なかなか聴くのがやっかいでもある、この交響曲の魅力は、はたしてこれなのか、と言われると、
ちょっと首をかしげてしまうのも確かだ。録音年代が6年も離れた二つのライヴをくっつけているのも違和感。第2楽章になると、急に楽器にマイクが近寄り、ヴァイオリンの音が薄くなる。

一方のサン=サーンスは1952年の録音のせいか、音色が明るく、個々の楽器の音離れもよく、モノクロの感じのフランクとは逆に色彩感の感じられる響きが聴ける。
そしてここでも、トスカニーニのひたすら前進する爆発的な推進力は、第1楽章から全開している。
会場のカーネギー・ホールにはオルガンがないので、電子オルガンで代用しているという。第1楽章後半の静かな曲想では、これがなかなか悪くない。他の盤では背後に回ってしまいがちなオルガンの音にくっきりとした輪郭線があって、音のかたちがよく伝わってくるから。
でも、クライマックスの第2楽章後半、さすがにここは、薄っぺらな電気の音、というのがはっきりしてしまって、相当に違和感がある。
音はなかなか鮮明。でもダイナミックレンジが広大な上に、マイクの位置がオーケストラに近い風で、エンジニアが悪戦苦闘している気配も感じられる…というわけで、これはあくまで指揮者の芸風を楽しむべき音盤と思う。
 
この2曲をはじめてお聴きになるなら、まずは音のいいものを、どうぞ。
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コメント

コメント(6)
No title
おぉ電子オルガンなんですか!
それは聞いてみたいです。
私はあのチープな音色が大好きなんです。
フルオーケストラ&大指揮者&電子オルガンとミスマッチで面白いです。

不二家 憩希

2012/11/25 URL 編集返信

No title
会場にオルガンがない場合は、その音に近い電子楽器を使うのは60年前からあったのですね。小生が所属していた学生オケではやはり電子オルガンを使ってこのサン=サーンスの第3番を演奏しました。

SL-Mania

2012/11/25 URL 編集返信

No title
不二家さん、カーネギーホール近辺にはオルガンの設置された大きな教会もあり、コンサートが開かれたりもするそうです。トスカニーニもその気になれば、本物のオルガンを使っての演奏も可能だったはず。電子オルガンを使用してまでもカーネギーホールで演奏したのは、音響的な好みもあったのかもしれませんね。

yositaka

2012/11/25 URL 編集返信

No title
SL-Maniaさん、60年前といえどもさすがにニューヨーク、その設備はあったのでしょう。それにしても音楽の殿堂といわれるこの会場にオルガンが設置されていないというのは、不思議な話です。

yositaka

2012/11/25 URL 編集返信

No title
リンクを貼っていただきありがとうございます。サンサーンスは確かに最初にチョイスするCDではないですが、トスカニーニの芸風を知るには貴重な記録ですね。

geezenstac

2012/11/25 URL 編集返信

No title
geezenstacさん、正直に言えば、オーソドックスな演奏よりも、音が古かろうとこのような個性あふれる演奏のほうを、私はよほど聴いていたいですね。このトスカニーニ箱はなんともお得な一組です。

yositaka

2012/11/26 URL 編集返信

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プロフィール

yositaka

Author:yositaka
子どもの本と、古めの音盤(LP・CD)に埋もれた「ネコパパ庵」庵主。
娘・息子は独立して孫4人。連れ合いのアヤママと二人暮らし。

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