児童文学学会中部支部が秋の例会を開催

こんな情報をキャッチしました。
日本児童文学学会と日本イギリス児童文学会が合同で研究発表会を行うというもの。
発表の概要をみると、新美南吉の「影」を描いた作品を、内外の作品と比較検討、ファンタジーの話題作『銀翼のコウモリ』、挿絵画家の巨匠ガース・ウィリアムズなど、興味深いテーマばかりです。
一般の参加も自由、入場無料ということですので、ぜひ出向きたいと思っています。よろしければぜひ。
 
 
2012年日本児童文学学会 中部支部秋の例会
 
http://jscl.jugem.jp/
より以下引用

日本イギリス児童文学会・日本児童文学学会中部支部合同開催
日時:2012年9月29日(土)12:50~17:00 (受付 12:20~)
会場:中京大学 名古屋キャンパス 0号館(センタービル)6階0602教室
http://www.chukyo-u.ac.jp/koho/gaiyo/map/kotu.html http://www.chukyo-u.ac.jp/koho/gaiyo/map/n-map3.html
地下鉄「八事」(やごと)駅 5番出口 徒歩0分
〒466-8666 名古屋市昭和区八事本町101-2  ℡(052)835-7111

 
プ ロ グ ラ ム

12:50?13:00 両学会支部長挨拶

13:00~13:40 研究発表1 
日本児童文学会会員 田中卓也 「戦後における『幼年クラブ』の光と影-復刊、廃刊と読者の関心をめぐって-

13:40~14:20 研究発表2 
日本児童文学会会員および日本イギリス児童文学会会員 林美千代「新美南吉作『影』、『タレ ノカゲ』と『かげ』を読む―海外作品との間テクスト性から―」  

14:30~15:10  研究発表3 
日本イギリス児童文学会会員 高野弘子 「ガース・ウィリアムズと『小さな家』シリーズ

15:10~15:30 支部会

15:30~17:00 講演  
白井澄子 (白百合女子大学)「ファンタジーに目覚めたカナダ児童文学―ケネス・オッペルの作品に触れて―」


研究発表1 要旨
「戦後における『幼年クラブ』の光と影-復刊、廃刊と読者の関心をめぐって―」    田中卓也(共栄大学)
                                                      
本研究は、大日本雄弁会講談社が創刊した『幼年クラブ』(元:幼年倶楽部)誌における誌面構成と読者の様相について、分析・考察を試みるものである。なお対象時期については、第二次世界大戦後の復刊の時期から1957年の廃刊の時期までを扱う。戦後同誌が復刊を果たすも、紙質の粗悪さ、それに伴う出版制限などもあり、戦前期のように売り上げは軌道に乗ることはなかった。しかしながらマンガ、小説などを取り入れた誌面内容における構成の工夫や、A5版からB5版へ誌面を大型化していくなどにより、愛読していた幼児・児童らの心に再び火をともすこととなった。また附録の充実なども試みられ、多くの読者を獲得することになったが、誌面を通じての読者仲間の連帯はほとんどみられず、記者と投稿者のやりとりに見られる個人主義の考えをもった読者が多かったように思われる。1955年頃からテレビをはじめとしたマス・メディアの影響により、誌面も大きな影響を受けていった。以後同誌の誌面の投書欄もほとんど日記、報告などを寄せる読者が多かったが、テレビのヒーロー、スポーツ選手の似顔絵の投稿などをはじめとするヒーローに傾倒して読者が増えていった。 1957年には『幼年クラブ』はその役割を終え、講談社は時代にあった新しい雑誌を発刊した。新雑誌『ぼくら』(男子雑誌)、『なかよし』(女子雑誌)に幼年クラブ読者は混迷した思いのまま、引き継がれていくことになった。
 



研究発表2 要旨
「新美南吉作『影』、『タレ ノカゲ』と『かげ』を読む―海外作品との間テクスト性から―」
                                                            林美千代(愛知県立大学非常勤講師)  

 
 新美南吉は、昭和10年頃に多くの幼年童話を創作し、自筆原稿が残っている。その中の「タレノ カゲ」は、「ヒロッパ」に落ちたおおきな丸い影を自分のものだと主張する者たちが登場する寓意に満ちた掌編である。この度、新美南吉記念館の調査・展示によって同作品が「影」と題され、昭和9年精文館発行の『カシコイ二年小学生』9月号に掲載されていたことが判明した。両者を比較すると、題名、街灯や軽気球の影のおちていた「ヒロッパ」の位置などが変更されている。この変更・推敲については、東京外国語学校在学時代に起きた南吉の心身の変化や当時の南吉に内面を描く近代小説への指向があったことも影響していると考えられる。また、カラスが影と競争する短編「かげ」の創作も関係しているであろう。本発表では、南吉が同時期に多読した文学作品、特に日記に記載のある海外の作家、アンデルセン「影法師」、ストリンドベルヒ「ペエアの旅」、ポオ"William Wilson"、ソログープ「影絵」など影の登場する作品や分身譚を手がかりに、昭和初期における南吉作品の<影>の意味とその深化を検討する。 


研究発表3 要旨
「ガース・ウィリアムズと『小さな家』シリーズ」
      高野弘子(The Pennsylvania State University, M.Ed. in Curriculum and nstruction) 
 
 ガース・ウィリアムズはE.B.ホワイトの『シャーロットのおくりもの』のイラストを描き始めた1952年に、ハーパー社のウルスラ・ノールストゥラムからローラ・インガルス・ワイルダーの『小さな家』シリーズのイラストを描くことを頼まれた。彼は、以下のような理由から最初躊躇した。1.動物のイラストを中心に描いていたので、人物を描くことに不慣れであったこと。2.ニューヨークに暮らしていたので、アメリカ西部の知識不足であったこと。3.パイオニアたちが生きた時代の生活の様子への知識がほとんどなかったこと。しかし、最終的に彼は、彼自身がワイルダーの作品を好きだったこと、そして、彼の娘たちもこの作品を音読することがとても好きだったことから、引き受けることにした。ノールストゥラムにイラストを描くことを依頼されたガース・ウィリアムズは、どのように『小さな家』シリーズについて考え描こうとしたのだろうか。シリーズ8巻のそれぞれに描かれているイラストを分析することを通して、ガース・ウィリアムズの『小さな家』シリーズのイラストに対する考え方を探る。
 

講演要旨
「ファンタジーに目覚めたカナダ児童文学―ケネス・オッペルの作品に触れて―」
                                                                      白井澄子(白百合女子大学)

 カナダ児童文学は1970年代後半から活気づき、絵本、歴史物語、現代社会を生きる子どもを描いたリアリズム作品やYA作品などが次々と出版されてきた。ところが、ことファンタジーとなると風向きが悪く、研究者・批評家たちも「カナダには本格的なファンタジーが育っていない」と言ってはばかからず、出版社も"売れない"カナダのファンタジーには冷たかった。しかし、20世紀末の"ハリ・ポタ"ブームと時を同じくして、カナダでもファンタジー熱が高まり、カナダ発のファンタジーが続々と出版されだしたのである。今回は、そんなカナダのファンタジーの流れと現状を概観し、カナダ現代ファンタジーの旗手といえるケネス・オッペルの作品について考えてみたい。 オッペルの代表作『銀翼のコウモリ』が出版されたのは、『ハリー・ポッターと賢者の石』と同じ1997年、まさに世界中にファンタジー・ブームが巻き起こった年である。主人公の少年コウモリ、シェイドは体が小さいうえ父が行方不明だが、人一倍強い好奇心と勇気を持ち、仲間のコウモリとともに一族の危機を救う大冒険を繰り広げる。こうしてみると、作品はどこか<ハリー>と似たところがある。『銀翼のコウモリ』は、ゲームを愛好したオッペルが少年時代に構想したもので、キャラクター性やスピード感に満ち、新しいファンタジーが世界同時多発的に書かれ始めたことを示している。一読したところカナダらしさが感じられない『銀翼』だが、カナダならではの視点や姿勢が潜んでいるので、それをすくい上げてみようと思う。



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yositaka

Author:yositaka
子どもの本と、古めの音盤(LP・CD)に埋もれた「ネコパパ庵」庵主。
娘・息子は独立して孫4人。連れ合いのアヤママと二人暮らし。

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