名曲喫茶探訪②

神保町の名曲喫茶『ピアノフォルテ

場所は山の上ホテルの真裏。名曲喫茶という言葉から想像される、時間が止まったような薄暗さ、古風さとは無縁の、すっきりと現代的に洗練されたお店である。



CDとDVDの再生が中心。
システムはマッキントッシュで統一された精悍なもの。音の感じは、透き通った湖水を思わせる透明度の高さだ。

お店に入ると、おなじみの名盤が掛かっていた。


ベートーヴェン ヴァイオリン協奏曲ニ長調





ヘンリク・シェリング(Vn)
ハンス・シュミット=イッセルシュテット指揮 ロンドン交響楽団
フィリップス国内盤CD


いや、その奥行きのある響き。
ヴァイオリン・ソロが前面に
そして背後のオーケストラが、ホールの奥の方まで立ち並んで厚みと透明感を併せ持ったいい音色で、底の底から突き上げてくるように、鳴り渡る。

「いい音色ですね」とマスターに話しかけるネコパパ。
「こういうシステムで聴いていると、同好の皆さんが言われるように、CDよりもLPがいい、とは必ずしも言えなくなります。このお店ではLPも良く掛けているんですか」
「掛けますよ。でも、うちには状態の良いものが少ないんです」
といいながら、黙ってレコード棚の方に行ってしまう。

シェリングが終わると、同じ曲のLPが。




ダヴィッド・オイストラフ(Vn)
アンドレ・クリュイタンス指揮 フランス国立放送管弦楽団
米エンジェル


音が厚く、ふっくらしたものに変わる。
ソロを前面に押し出して、オーケストラの音は控えめにとられた音。
オイストラフの音はまろみがあって、熱い。
奏者の体温がじかに伝わってくるようなこの感触は、たしかにLPらしい音だ。

第1楽章が終わる。

なるほど…
と納得して帰ろうと思ったネコパパに、寡黙なマスターが
「さっき買ってきたばかりのCDですが、聴いてみませんか」と話しかけた。


ドウォルザーク 交響曲第9番『新世界から』




イシュトヴァン・ケルテス指揮
ウィーン・フィル
英デッカ原盤 市販オープンリール・テープからの復刻盤
日グランドスラム


これはまいりました。

CDなのに…アナログはだしの体温と厚みのある音が再現される。
最初に聞いた、CDらしいシャープで分解能に優れたシェリングとは全く違う音作りだ。
マスターの言いたいことがよく伝わってくる。

「問題はメティアのちがいでしょうか。メディアよりも音源の違いの方が大きいのでは?…」

説明は一切なしで、音そのものでネコパパに伝えてこられる。
熱く語ることはしなくても、音についてはしっかりと思想を持った人なのだ。



ここは神保町古書店街からほど近い場所。
古本めぐりの折にでも、立ち寄られてみてはどうでしょう。







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プロフィール

yositaka

Author:yositaka
子どもの本と、古めの音盤(LP・CD)に埋もれた「ネコパパ庵」庵主。
娘・息子は独立して孫4人。連れ合いのアヤママと二人暮らし。

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