アルペジョーネ・ソナタ

シューベルト アルペジョーネ・ソナタ
ムスティスラフ・ロストロポーヴィチ(Vc)
ベンジャミン・ブリテン(P)

1968年7月 スネイプ・モールティングズ
録音 ゴードン・パリー

御存じ、「アルペジョーネ・ソナタ」の名盤として、有名なもの。

しばしば訪問しているブログにこの音盤が取り上げられました。ネコパパも大好きな盤なので、同好の士の存在はうれしいものです。
シューベルトにはチェロ・ソナタはないのですが、その代わりに、当時考案された不可思議な弦楽器、アルペジョーネのために、こんな可憐で、歌と瞑想に彩られた名曲を残してくれました。
音程はかなり高く、チェロで演奏するのは大変なのでしょうが…

さて、そのブログでは

LPの方がCDよりもずっと音が良い。LPに比べると、CDは痩せた音。」

という趣旨の内容が述べられ、コメントを寄せられた方々も、それに賛同することばを書かれていました。

「おや、ネコパパも両方を架蔵しているが、それほど違っていたっけ…」

メディアによる音質の違いはたしかにある、とは思うのですが
ものぐさなネコパパは、同一音源でくわしく検証するようなことは、あまりありません。

そこで、これもいい機会と思い、初めの部分だけでも、と聴き比べてみました。
どちらもキングレコード製の国内盤です。




結果は、こんな感じでした。

中音域が豊かでふっくらと温かい音がするのがLP。
ブリテンのピアノの左手の部分とか、チェロの音がぐっと大きくなるところで「ずん」と低音が唸るところなど
「なるほど、LPの良さってこれだな」
と思います。

一方CDは、ずっとシャープな、切れのある音で、低音が深いというよりも、低・中・高のバランスのとれた音です。
大きな違いは、ダイナミックレンジが広めで、
「ここは音を抑えて、ここはぐっと膨らませる」という音の強弱や幅が、LPよりもはっきりとわかること。

ロストロポーヴィッチの演奏は、どちらかというと、抑えた響きで音楽が推移するために、音の小さめな箇所が多く、そのことがCDを痩せた音に聴こえさせる原因になっているのかもしれません。
でも、このやりすぎといえるくらいに繊細でデリケートなピアノ、ピアニッシモの響きも、ロストロポーヴィチの名人芸の一つだったはずで、
それは、聞きようによっては「痩せた音」にも聴こえるし
「凄みを秘めた密やかな音」にも聴こえたりするのではないでしょうか。

ネコパパ自身、この演奏は「デリケート過ぎる」と感じていたところはあって
「ちょっとこれは神経質すぎるな。質実剛健なポール・トルトゥリエのほうが、よほどシューベルトらしいんじゃないか…」
と思ったりもしていました。

でも現在は
「やはりこれは人類未踏の領域に達した音楽」と感じています。
そして、LPもCDも、音楽の見事さをメディアの長所を生かした別のアプローチで伝えてくれる、有り難い音源。
両方聴いて互いの良さを聴き比べるのも面白いですし、
どちらか一方だけ耳にしても、演奏の素晴らしさは伝わるものと感じました。


ちなみに、アヤママにも一緒に聴いてもらったんですが

「断然LPの方ががいいわよ。CDは管楽器でいったら楽器の音がしないで、呼吸の音だけしているって感じ。」

という意見でした。
うーん、やっぱり楽器のできる人の意見は、違うのでしょうか…







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コメント

コメント(2)
No title
こんばんは。
CDとLP両者の比較の記事、なるほどという感じで拝読させていただきました。
聴きようによっては、彼の繊細なニュアンスが良く表現された音ということになるのですね。

私も気になって、早速両者を比較試聴してみたのですが(両者の直接比較は初めてです)、昔ほどCDが劣るとは思わなかったことに自分でも驚いています・・・。
機器のグレードアップによるものか、自分の耳の劣化のどちらかかと思います。

ポンちゃん

2012/07/30 URL 編集返信

No title
ボンちゃんさん、聴こえ方というのは、環境や体調によってもずいぶん違うものですし、良否はなかなか言いにくいものと改めて感じました。
私はLPの音が好きですが、休日でもないと落ち着いて針を下ろせないところもあって、CDも愛用しています。CDでしか聴けない名演も多いですしね。
これも同じ音源でもマスタリングによってずいぶん違い、そのことも含めると音の問題はなかなか複雑です。だから面白いと思うのです。

yositaka

2012/07/30 URL 編集返信

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プロフィール

yositaka

Author:yositaka
子どもの本と、古めの音盤(LP・CD)に埋もれた「ネコパパ庵」庵主。
娘・息子は独立して孫4人。連れ合いのアヤママと二人暮らし。

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