ボスコフスキーのヨゼフ・シュトラウス

ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団のコンサートマスターを長く勤めたウィリー・ボスコフスキーは、
ウィンナ・ワルツの権威者でもあり、1955年から1979年まで25年にわたってニューイヤー・コンサートの指揮台に立った。
シュトラウスの演奏スタイルに倣い、ヴァイオリンを弾きながら、にこやかに指揮する様子は、今も映像で見ることができる。
 
彼は、ワルツ王ヨハン・シュトラウス2世の弟、ヨゼフ・シュトラウスに深い思い入れを持ち、ヨゼフの作品だけを収めたアルバムを2枚録音している。
最初はウィーン・フィルとともに、ニューイヤーコンサート末期1976年に入れたデッカ(ロンドン)盤。
 

 
ワルツ「うわごと」」
ポルカ「騎手」
ポルカ「上機嫌」
ワルツ「トランスアクツィオン」
鍛冶屋のポルカ
ワルツ「オーストリアの村燕」
ポルカ「憂いもなく」
ワルツ「天体の音楽」
ポルカ「大急ぎで」
ワルツ「わが人生は愛と喜び」
ポルカ「おしゃべりなかわいい口」
 
そしてニューイヤー引退後、ウィーン・ヨハン・シュトラウス管弦楽団を指揮して1984年に収録したEMI盤だ。
 

 
ワルツ「オーストリアの村燕」
ポルカ「大急ぎで」
ワルツ「うわごと」
ポルカ「前進」
ポルカ・マズルカ「おしゃべりな娘」
ポルカ「憂いもなく」
鍛冶屋のポルカ
ワルツ「ディナミーデン」
ポルカ・マズルカ「女心」
ワルツ「水彩画」
ポルカ「騎手」
ワルツ「わが人生は愛と喜び」
 
ウィーン・フィルとの演奏では、指揮者というより「仲間」の意識が強かったせいか、自分の主張を出すというよりは、ともに興に乗り、自発性を引き出して生き生きとした音楽を生み出していた彼だが、引退後は自分の解釈を前面に出して、オーケストラを強力にリードしていく演奏が多くなる。
先日Sige君が来訪したときに、この中の一曲『ディナミーデン―秘められた引力』をかけた。
ネコパパが最近入手した独EMILPの音質はなかなか良好。
演奏は曲の隅々までボスコフスキーの意思が徹底。前のめりに歌い、躍動し、歓喜し、愁いに沈む曲想を俊敏に描き分けていく。聞き手のイメージよりも音が一歩先に出る痛快な指揮ぶりだ。そんなオーケストラの反応に気を良くしてか、指揮者も声を出してメロディーを歌っている。
ライヴ録音ではないのに…めったにないことだ。
 
ディナミーデン』だけでなく、『オーストリアの村燕』『うわごと』『水彩画』など、珠玉の名品が並ぶが、いずれも積極的な演奏で、オーケストラに任せて流れに乗る印象はない。『オーストリアの村燕』をウィーン・フィルとのデッカ盤と比較すると、落ち着き払って高雅な音色を楽しんでいるようなウィーン・フィル盤に対して、EMI盤はウィーン訛で夢中になって歌っているような濃厚さ。オーケストラのアンサンブル精度、録音、いずれもクオリティの高いのはデッカ。だが、気持ちが熱くなるのは新盤。どちらも捨てがたい魅力がある。
 
一方、こちらは同じ時期、EMIに録音した「新聞記事」にまつわる曲ばかり集めた珍しい一枚。
 

 
ヨハン・シュトラウス
ワルツ「朝の新聞」
ヨゼフ・シュトラウス
活字のポルカ
ヨハン・シュトラウス
ワルツ「文芸欄」
ヨゼフ・シュトラウス
スポーツ・ポルカ
ヨハン・シュトラウス
ワルツ「パンフレット」
ワルツ「思想の飛翔」
仕上げのポルカ
ワルツ「社説」
ポルカ「エピソード」
 
中ではもっとも有名な、ヨハン・シュトラウス朝の新聞』を聴いてみる。
ここではボスコフスキー、いつものコンマスの顔に戻り、平常心で音楽を楽しんでいる様子。ゆとりはあるが特別の演奏ではない。
明らかにヨゼフの曲では「入れ込みが違う」と感じられるのだ。
 
ヨゼフ贔屓のネコパパとしては、「曲の中身がそうさせた」と思いたい。
 
才人で、どのようなタイプの舞曲も器用にこなし、平均点が高い兄ヨハンとちがって、
ヨゼフは曲も少く、ムラもある(早いポルカやカドリーユは凡作が多い)が、哀愁漂うワルツやポルカ・マズルカは兄を上回る詩情と深みがある。
 
2012年のニューイヤーコンサートでは、ヤンソンスがヨゼフの作品6曲を振る。楽しみだ。
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コメント

コメント(2)
No title
ボスコフスキーがニューイヤーの指揮をしていた頃が味があったような気がします。地方色もあったのではないでしょうか。今や国際的なものになって特色がなくなったみたいです。オーケストラも変容してしまっていますね。

SL-Mania

2011/12/22 URL 編集返信

No title
ボスコフスキーの在任期間は長く、その間がデッカの黄金時代であったのは幸いでした。多くの録音がセッションで残されたのは人類の財産とも言えましょう。
勿論これだけ長くなれば、好調不調の波もあり、それは録音にも表れています。しかし、最後の数年間はとりわけ熟達の演奏が聴けると思っています。

yositaka

2011/12/25 URL 編集返信

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プロフィール

yositaka

Author:yositaka
子どもの本と、古めの音盤(LP・CD)に埋もれた「ネコパパ庵」庵主。
娘・息子は独立して孫4人。連れ合いのアヤママと二人暮らし。

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