品定め

Sige君がネコパパのアナログプレーヤーの品定めに来てくれた。
 
最近の彼はもっぱらサックス演奏に注力し、
オーディオ聴きはもっぱらbassclef君やネコパパの家ばかりだ。大学時代は自作のスピーカーを鳴らし、レコードもどんどん購入して、一家言あったのだが、近頃は住宅事情もあって、なかなか思うようにならないらしい。
自分だけでは同曲異盤の聴き比べなどめったにしないネコパパだが、彼にそそのかされるとついその気になる。
さて、DENON中古プレーヤーに新品のMCカートリッジを取り付けた結果はどうか。
 
ベートーヴェン 交響曲第6番『田園』
ブルーノ・ワルター指揮コロムビア交響楽団
 
おなじ演奏の盤を何回も購入するなど、昔のネコパパなら許しがたい行為だったのだが、近頃はそのあたりもすっかり緩くなった。ネコパパの音楽聴きの原点のひとつであるこの盤など、CDLP含めて何枚あることやら(ただし高価なものはありません)
 
まずは、日本コロムビア、国内初出のステレオ盤。
 

 
飾り気なく、素直に音が出てくる感じだ。穏やかに始まる第一主題から音楽は次第に力を増して、地響きするような低弦の強奏。
50年以上前に発売されたものなのに、しっかりした音で音の輪郭は鮮明。
 
つづいてCBSソニー盤、1968年頃、この会社にCBSレーベルが移籍して、最初に発売されたもの。
 

 
これは、ネコパパが中学時代から馴染んだ音だ。しかしコロムビア盤とくらべると、少し残響が強く、ダイナミックレンジも広がり、迫力のある、きらびやかな音に変容している。
その分低弦の刻みが丸く聴こえるなど、どことなく人工的に手を(エフェクトを)加えた感じがする。
ソニーは、レコード事業を始めるに当たって、コロムビアとは違った音を意識的に生み出そうとしたのではないか。
 
最後に、プロデューサー、ジョン・マックルーアが80年代、新たにCD用にマスターを作り直した、ソニーレコード最後の国内盤LPを聴いてみた。
 

 
新鋭デジタル機器によるリマスターのため、加工した感じが目立つのではと思ったが、
意外にもコロムビア盤に近い、ナチュラルな音である。付着した汚れを取り除いたような、あるがままの、曇りのない響きという感じの音だった。
 
「ネコパパ君はコロムビア盤が好きなんじゃないか。俺はこの最終盤が好みだが…」とSige君は言う。
確かに素朴な質感は、コロムビア盤にいっそう感じられ、好ましく思うのは確か。
米オリジナル盤は…と考えるのはやめておこう。
 
 
マイルス・デイヴィスの『カインド・オブ・ブルー』
 

 
ネコパパの持っているこの名盤のLPは、後期の米コロムビア盤だ。大学時代の購入。
最近はもっぱらCDで聴くばかりで、ターンテーブルに乗るのは久しぶり。
一曲目、マイルス唯一のゆったりと遅いSo What
ビル・エヴァンスのピアノが闇の彼方から響き始め、マイルスの孤独なミュート・トランペットが切り詰めた和音をつぶやく。印象的な出だし。
古い盤だが盤質は良好で、ノイズも皆無なのが不思議だ。自然にそこにあるという音が部屋を満たす。
コルトレーンのサックスの音が前面にせり出すような、オリジナル的な迫力はないけれど、バランスが取れて聴きやすい。マイルスのトランペットはしっかりと聞こえる」とSige君。たしかに音が飛び出してくるような臨場感はないが、音の情報量には過不足なし。
 
最近のお気に入り
ジェリー・マリガンの『パリ・コンサート』1954(キング国内盤)はどうか。
 

 
先代のプレーヤーでは、冒頭のマリガンのバリトンサックスが勢いのある音で飛び出してきて圧倒されたが、そこはかなり変わった。あるがままの等身大の音で、けっして聞き手を圧倒する感じではない。そのかわり、ブルックマイアーのバルブトロンボーンやミッチェルのベース、会場の雰囲気、遠近感が、霧が晴れたように伝わってくる。
H堂のNさんが
「レコードの音溝を抉り出すような迫力はMM型カートリッジが得意なので、ジャズ・ファンはMMを好む人が多いです。MC型は繊細さや音色感に優れているので、クラシック向きというのですかね」と言っておられたのを思い出した。
このマリガンのアルバムは、その違いを良く感じさせてくれる音らしい。
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コメント

コメント(4)
No title
sige
いやあ、前のトーレンスもそれなりに良いかとは思っていたのですが、しっかりした音の安定感、ブレのなさ、奥底から音が出てくる感じ、歪み感のなさは大したものだと思いました。マリガンの音がいくぶんおとなしく成ってしまったとは思いましたが、ミッチェルのベースの芯ある音、逞しさ、粘り強さが出ていて、迫力がなくなったとも思いませんでした。出力電圧が前のものと比べ幾分低くなっていると思いますが、余裕が感じられる音でした。またまた、試聴させて頂きたく思います。よろしくね。

toy**ero

2011/12/21 URL 編集返信

No title
私も一時はCDだけをもっぱら耳にする生活が続きましたが、まさかアナログLPにここまで立ち戻るときが来ようとは。年末年始もアナログに浸る日々が続きそうです。昨日もワルター指揮NYフィルの56年録音『ジュピター』(日本コロムビア初出のフラット盤)を聴いていましたが、第2楽章の豊かさには参りました。古い盤に刻印された、録音当時の情報を、うまく引き出してくるのです。

yositaka

2011/12/21 URL 編集返信

No title
PCオーディオでクロックや電源を改良して音質がアップすると、アナログにも回帰しようとフォノアンプやモータードライブアンプの自作熱が生じてきます。
アナログレコードの再生には、恭しい一種の儀式的なものがありましたが、デジタルは即物的なところが否めません。音楽を大切に聴く心のあり様が、アナログを求めているのかもしれません。
貴記事を拝見して、この冬休みにはアナログ盤をじっくり聴いてみたくなりました。(^^

Kapell

2011/12/23 URL 編集返信

No title
kapellさん、コメントありがとうございます。
音楽再生の幅も広がり、それぞれに楽しめるのはいいのですが、いずれにしてもkapellさんのおっしゃるとおり

>音楽を大切に聴く心のあり様

こそが第一だと思います。アナログLPをターンテーブルに乗せる行為は、初めて音楽にときめいた日々を蘇らせてくれるのかもしれません。
でも、そんな原体験のない、デジタルから入った人たちはどうなのか。それはちょっとわかりません。

yositaka

2011/12/25 URL 編集返信

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プロフィール

yositaka

Author:yositaka
子どもの本と、古めの音盤(LP・CD)に埋もれた「ネコパパ庵」庵主。
娘・息子は独立して孫4人。連れ合いのアヤママと二人暮らし。

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