EMIグレート・レコーディングス・オブ・ザ・センチュリー・ボックス

こんなボックスを入手しました。さきのデッカ盤も聴き終わらないうちに…と笑われそうです。
でも、CDの時代も盛期を過ぎ、こうした「お買い得」の製品が出回るのも短い期間と思うので、手に入るうちに…という気持ちもあるのです。
 
EMIグレート・レコーディングス・オブ・ザ・センチュリー・ボックス(31CD) 輸入盤
 

 
 
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とてもユニークな編成です。
カラヤンは一枚だけなのにビーチャムは4枚もあり、クレンペラーはモノラル盤の方のベートーヴェン『第5』が入っている。
ギレリスのベートーヴェンのピアノ協奏曲は、ルートヴィッヒ指揮の旧盤が選ばれ、トルトゥリエのバッハ無伴奏組曲は、旧盤ではなくデジタル録音の新盤が選ばれる、という具合。
脈絡があまりない。
 
でも、一枚目の1959年録音、トーマス・ビーチャム指揮の『ジュピター』から、たちまち引き込まれました。大編成による濃厚な演奏。遅いテンポで歌いぬく第2楽章、そして高らかに盛り上がり、びっくりするほど長いフェルマータで終わるフィナーレ。
この演奏なら、現代のオーケストラコンサートのトリを立派に飾れるでしょう。
時代錯誤? いや、モーツァルト自身はこんな演奏を喜んだに違いない。そう思えて仕方がないのです。同じディスクに含まれたクラリネット協奏曲ファゴット協奏曲も、ソリストの音色と語り口が「妖艶」で、聴き応えのある演奏でした。
 
オットー・クレンペラー指揮、1955年のベートーヴェン『運命』
音が鋼のように強靭で、ぐんぐん前に進む。浮き出す木管、フィナーレの主題反復など、後年と同様の解釈ながら、この若さは魅力です。
同じクレンペラーの、マーラー交響曲第2番『復活』もすばらしい。
1962年録音。最近の演奏のようなテンポの揺れはないが、どこまでも透明で共感にあふれた響きが魅力です。これまでいくつもライヴ録音が出ていて、そのどれもが凄かった。そのせいか、このスタジオ録音盤は、聴いてもいないのに、おとなしい演奏のように思い込んでいました。とんでもない思い違い。キングズウェイホールでの録音の瑞々しさも出色です。
 
悲劇的な生涯でも知られたフランスのピアニスト、サンソン・フランソワの弾くショパンのピアノ協奏曲第1番は前奏が終わるやものすごく遅いテンポで弾き始め、たちまち聴き手を釘付けにしてしまう。第2番も含めてすべてが即興的で、ショパンとフランソワの音楽がすっかりひとつのものになっている。
ちょっと演奏されすぎて、食傷気味のところがあるこれらの曲を、初めて聞くような気分。
これは、1965年、パリのシャンゼリゼ劇場での録音。一つ一つの音を一音も漏らさぬとばかりに丁寧にひろっている録音です。ルイ・フレモーの指揮も、自在なソロにぴたりとついていくだけでなく、普段隠れがちな音の粒立ち一つ一つが美しい。
 
同じくシャンゼリゼ劇場で1955年に録音された、エミール・ギレリス(P)のラフマニノフ、ピアノ協奏曲第3番
これはピアノの音がほの暗く、ちょっと聴きには冴えがない感じですが、底知れぬ何かがある。音楽への共感の深さでしょうか。アンドレ・クリュイタンス指揮のパリ音楽院管弦楽団も、ニュアンス豊かな演奏を繰り広げる。
ところでこのセット、クリュイタンスの盤はこの一枚だけです。なぜかなあ。
 
…というわけで、まだ実は半分も聴いていません。慌てず、楽しみながら聴き進めていくことにしましょう。
 
マスタリングは、アビー・ロード・スタジオの復刻職人サイモン・ギブソン、イアン・ジョーンズ、アンドリュー・ウォルターの三人が中心となって行われています。
ノイズはきれいに除去され、穏やかな音ながら、鮮度は十分出ていて聴きやすい。SP時代のものから80年代まで年代的には幅が広いですが、どれも鑑賞に十分な水準に仕上げられていると思います。
 
オーディオファイルの皆様には、不満かもしれませんが…
 
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yositaka

Author:yositaka
子どもの本と、古めの音盤(LP・CD)に埋もれた「ネコパパ庵」庵主。
娘・息子は独立して孫4人。連れ合いのアヤママと二人暮らし。

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