広上淳一、京響『新世界』!

初めての会場で、京都市交響楽団の演奏をききました。昨年4月に開館したばかりの大ホール、和風のデザインは京都市コンサートホールを思い出させます。
プログラムがとてもおもしろい。指揮は広上淳一、私が近年最も期待を寄せている指揮者で、ライヴに接するのは二度目。



前半の大河ドラマのテーマ曲集は、次の曲目。

『天地人』大島ミチル
『秀吉』小六禮次郎
『江』吉俣良
『龍馬伝』佐藤直紀
『新撰組!』服部隆之
『徳川慶喜』湯浅譲二
『篤姫』吉俣良

メドレーではなく、オリジナルスコアで一曲一曲丁寧に演奏されました。
合唱、独唱の入った曲も原曲通り演奏するというのは、とても意欲的ではないでしょうか。
『龍馬伝』ではソプラノ独唱 馬場菜穂子、『新撰組!』ではテノール独唱 加藤利之と、名古屋芸術大学の男声合唱が加わります。
そのためだけに合唱ソリストをそろえているわけです。
贅沢ですね!

大河ドラマと言えば、壮大な曲がすぐ頭に浮かびますが、
こうして会場で聴くと、曲のあまりの短さとダイナミックレンジの大きさに驚いてしまいました。
何しろテーマ曲ですから、時間的な制約があるわけです。2分ちょっと。そのなかで、印象的なメロディーと大きな緩急をつけて、スケール感を出しているのです。

中では現代音楽的な『徳川慶喜』、弦の歌が魅力的な『篤姫』、リズミカルな躍動感が愉しい『新撰組!』が印象的でした。
ただ、声楽の入る曲ではマイクを使用し、音量を上げすぎていたのが耳触りでした。
あきらかにレベルオーバーです。
声楽陣はマイク不が要なくらい声量があったのに、何故?


さて後半は、期待のドヴォルザーク、交響曲第9番『新世界より』。
確かレコードでも、広上淳一の名を世に知らしめた曲だったと思います。ノールショピング交響楽団を指揮したRCA盤でした。
 

 
第1楽章はやや調子が出ず、音にあまり切れが感じられなかったので、不安感もあったのですが、
第2楽章の中間部から明晰さを増し、「家路」のテーマの再現では弱音がきりっと締まって、広上らしい、ソリッドな「すごみ」のある音がでてきました。
第3楽章は唸り声を挙げての指揮ぶりが快調そのもの。
トリオのメロディーでの巧みな強弱のつけ方や、一瞬の金管の合いの手が、鋭く決まるところなど、耳をそばだてる部分が満載。
フィナーレでも、力で押す盛り上げはなく、どちらかと言えば「軽快な音」で進めていくのですが、その音の動きの一つ一つに意志が通い、わくわくするような愉しさにあふれています。そう、まさに『新世界交響曲』とは、こういう曲でした。

広上淳一の音楽は熱演型というよりも構築型、棒の振り方は躍動的ですが、音楽そのものは緻密で、クールに内燃するタイプといえるかもしれません。京都市交響楽団は、そんな音楽監督の求める音を知り尽くしているのでしょう。

当夜のプログラム、肩の凝らないコンサートという趣で、楽しめるものでした。

主催者側には、ちょっと注文があります。

それは前半のPAのことと、司会のこと。
前半に司会者が入るのはいいのですが、一曲ごとに指揮者とトークを行い、それが長い。曲自体が短いのですから、司会は途中2回くらい入るにとどめ、音楽は続けて演奏すべきだったと思います。
後半も、司会者が曲の紹介を初めにするのはともかく、全曲が終わって観客が拍手で盛り上がろうとしているところへ出てきて、またも指揮者とトークを始めてしまったのには、いささか閉口しました。
終演時間は予定よりも15分も延長。これだけ遅くなったのは、やはり司会の不手際、あるいは打ち合わせ不足と思います。

演奏会の進行というのも、なかなか難しいものですね…



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yositaka

Author:yositaka
子どもの本と、古めの音盤(LP・CD)に埋もれた「ネコパパ庵」庵主。
娘・息子は独立して孫4人。連れ合いのアヤママと二人暮らし。

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