クイケンのブランデンブルク協奏曲

シギスヴァルト・クイケン&ラ・プティット・バンドによる
J.S.バッハの傑作「ブランデンブルク協奏曲」全6曲の2009年最新録音。
 
 

チェロ・パートがヴィオロンチェロ・ダ・スパッラ(肩のチェロ。ヴァイオリンのように顎で構えるタイプの小型チェロ)によって演奏されているのが特徴だ。
そして編成は、近年流行の《ひとつのパートは一人の奏者》というスタイルによっている。 また、管楽器はすべてバルブのないナチュラル楽器を使用しているとのこと。
「レコード芸術」の月評でも「特選」となってはいるのだが、評文の大半が編成や楽器の特徴について述べたもので肝心の演奏については皆目わからない。困ったものだ。
 
ではなぜ購入したのか。
ひとつは、SACDであること。
二つ目は、クイケンたちの最初の録音であるレオンハルト盤(1976年、セオン)が、ピリオドスタイルを感じさせない、意欲と熱情のみなぎる名演奏だったこと。

 
三つ目は、全盛期の仏エラート盤を想像させる、気品のあるジャケットデザイン。地味なのに、買わずにおれない吸引力があったのだ。
 
もうすでに、5回くらい聴いている。
さまざまな新機軸の問題は、いったん音楽を耳にすれば、すっかり頭から消えてしまう。
円熟というか、穏やかというか、全曲が磨き抜かれた純白の陶器の艶と気品に満ちていて、なんともいえない幸福感に満たされるのだ。
チェロがスパッラであることも、ピリオド奏法も気にならず、それぞれが自然の息遣いによって奏でられているようなオーボエ、フルート、ホルンなどの管楽器が、とても魅力的だ。
それら各楽器のブレンドの具合が最高なのは、管楽器が華やかに活躍する第1番、第2番、第4番のようなナンバーである。
 
一方、レオンハルト盤には確かにあった、強い表現意欲は表立っては出てこない。そのあまりの円満さに、不満を覚える人もいるかもしれない。
とくに私のような、カール・リヒターやルドルフ・バウムガルトナーの彫りの深い演奏に親しんできた世代から見れば、
 

 
このクイケン盤には激情、感傷、沈鬱といった、内面の感情に訴えかけるものが足りない。だから、初めて耳にしたときは正直「なんだ、こんなものか」と感じたことも、確か。
 
それでも、何度も聴きたくなるのは何故だろう。
この音色、この感触、そして音質。
ちょっと麻薬的なヤバさも含まれているのでは。
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コメント

コメント(2)
No title
こんにちは。ご無沙汰しておりました。今週から東京で勤務しています。
これからもどうぞよろしくお願いします♪

ブランデンブルクに限らず、クイケンの最近の新譜は、本当に使用楽器の話題ばかりですね。
ぼくはカール・リヒターでこの曲集を聴くようになりましたが、ずっと第2番が苦手で、なんでこんなハチャメチャなのがこの曲集に含まれているんだろうと子ども心に不思議に思っていました。今では、第2番が最も好きです。昔は、こういう、会話のおもしろさが理解できていなかったのだと思います。
実はクイケンのブランデンブルクは旧盤も聴いていないのですが(汗)この新盤は同列ではないようですね。チェックしておきたいと思います。yositakaさんの評に惹かれました♪

Loree

2011/09/23 URL 編集返信

No title
ロレーさん、慣れない土地での勤務お疲れ様です。
疲れは音楽で癒す毎日が続きそうですね。
さて、お褒めにあずかり恐縮です。このクイケン新盤は、その第2番をトリに持ってきています。全曲のクライマックスとしてスポットを当てているわけで、その作戦がみごとに成功しているのです。
そのあたりも聴きどころです。何せ管楽器の音色が美しい。

yositaka

2011/09/25 URL 編集返信

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プロフィール

yositaka

Author:yositaka
子どもの本と、古めの音盤(LP・CD)に埋もれた「ネコパパ庵」庵主。
娘・息子は独立して孫4人。連れ合いのアヤママと二人暮らし。

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