ジャケ違い

今回の東京めぐりではほとんどレコード関係まわれず、ネコパパとしては欲求不満。
ただ一軒、中央線沿いの歴史ある中古店をほんの10分ばかりひやかす。
 
ここは、ネコパパが少年時代だった昭和30年代後半、
名古屋の下町にも何軒かあった商店街のレコード店の風景を今に残す。ごく狭い店内にぎっしりと詰まったレコード。
店長と話す年配のお客さんは、いかにも常連という感じ。
アルフレッド・コルトー、ドリス・デイなどの話題をおじさんたちが愉しそうに話すなか、SP復刻盤から古い歌曲が流れていく。
 
店の片隅の、300円均一の箱に並んでいたのが、これ。
おなじみのブルーの・ワルター指揮、コロムビア交響楽団のブラームス第4交響曲。
1959年2月のステレオ録音である。
 
よくみると、これは日本コロムビア盤、しかも1963年1月の日付がある。日本初発売のものらしい。
盤の状態を見せてもらうと、まずまず。
なんといっても、米オリジナル盤と同一のジャケットデザインがうれしい。


 
この音源、LP、CD含めて、実にいろいろなデザインのジャケットで再発売を繰り返している。
クラシックに興味を持ち出した私が、中学生時代、初めて見たのは、
発売元が日本コロムビアからCBSソニーに代わってすぐのもの。
当時は、米版を基調としたデザインでワルター・シリーズが次々に出ていたが、このブラームスは日本のオリジナルだと思う。このデザインで出たのは多分これ一度きりでは。


 

当時はレギュラー価格2000円、評価の高さは知っていても、なかなか手の出ない品で、結局キングから出ていたカイルベルト指揮の1000円盤の同曲を買った覚えがある。これは第2番と裏表になっているという超徳用盤だった。
その後、FMでワルター盤を聞き、これは買わなきゃと決意して、購入。
当時は「ベスト・クラシック100」というシリーズで再発されていて、ジャケットデザインはまたも違っていた。
人気盤は何度でも繰り返し再発され、そのつど模様替えをするというのが、あの頃のクラシック盤の売り方だった。
 

 
その後も、1500円盤の白くそっけない統一ジャケットで出たり、
また元に戻って出直したり…多くの種類のジャケットがあったと思う。
そのなかで、この「後期ソニー」の「霞む山々」のジャケットは、最も繰り返し使用されたのではなかったか。
CD時代になっても、いちばん最初はワルターの肖像の入ったシリーズ統一のデザインだったが、その次はやはりこれだった。
これって、米オリジナル盤やソニー初期盤とくらべて、そんなに魅力的なデザインだろうか。
ワルターのポートレートもないし、写真から感じられる「黄昏の空気」が曲想にあっている、といえなくもないのだが…
 
そんなわけで、米初期盤の色が濃い日本コロムビア盤を手に取ったときは「やった」と思った。
セピア調の紙に木炭とパステルで描かれたワルターのポートレート。これこそブラームスの4番にぴったりのジャケットではないか。
 
「同じものがあるのに…」と顰蹙を買いそうだが、まあ、300円だしね。
もっとも、これ一枚だけというのも…と考えて、別に一枚購入してしまった。結局余分に出費してしまうわけだ。

 
帰宅後、早速聞いてみる。

予想通り、バチバチというスクラッチノイズは入っている。が、気になるほどではない。
音は聴きなれた柔らかい響きとは一味違う。
出だしは硬質で、ふくらみのない痩せた音と感じるが、楽器が増えるにつれ、立ち上がりの強い、鮮明な音が耳に飛び込んでくる。骨太でがっしりした音だ。
舞曲のような第二主題に入る直前、低弦がぐっとせり出してくるところなどは、これまで感じられなかったぎざっと抉るような圧力がある。
歌と瑞々しさにあふれた「ワルター調」を生み出すために、指揮者がオーケストラを強力にコントロールしている様子が生々しい。指揮者が奏者をにらんで、ここぞとばかりに追い込んでいく姿が見えるようである。

ピチカートの箇所では、会場のリージョン・ホールの豊かな残響がききとれるが、これまで愛聴してきたソニー盤のLPやCDよりも響きは少なく硬い感じの音になっているのはちょっと意外だった。

参考までに、ソニー初期盤(2枚目の画像のもの)と聞き比べてみると、こちらは高音寄りで少しエコーが乗った感じの、滑らかな音。
耳当たりは良い代わりに、日本コロムビア盤よりも、少し遠くから聴いている印象になる。
 
日本盤とはいえ、発売当時の音は、その後の盤とはどこか違う。
「その時代の臨場感」が刻み込まれている、といったらいいのか。
「こっちのほうがずっと音がいい」なんてことは、とても言い切れないけれど。
 
 
 
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コメント

コメント(2)
No title
私が最初に買ったのはODYSSEYというシリーズの廉価盤で、特にブラームスの4番とは関係のない「花の絵」のジャケットのものでしたが、全体にやや不明瞭ではあるものの、高域に艶のある音質で気に入っています。その次に買ったのは「霞む山々」のCD。初出盤のジャケットはSACD化されたときに初めて知りました。以来、自宅のステレオでこの演奏を聴くときは、SACDで聴いています。ブラームスの4番を聴こうというときに、真っ先に手が伸びる演奏ですね。

ハルコウ

2011/08/06 URL 編集返信

No title
ハルコウさん。
ODYSSEYはCD初期のものでしょうか。LP時代にもありましたね。
SACDをお持ちでしたか。いずれと思いつつ、まだ入手していません。SONYのシングルレイヤー盤は未だに高い評価をされていますね。SACD再評価の機運が高まっている近頃なので、SONYは奮起してワルターのステレオ盤を一気にSACD化してほしいと思っています。

yositaka

2011/08/08 URL 編集返信

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プロフィール

yositaka

Author:yositaka
子どもの本と、古めの音盤(LP・CD)に埋もれた「ネコパパ庵」庵主。
娘・息子は独立して孫4人。連れ合いのアヤママと二人暮らし。

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