アンパンマンの心

3月某日
 
アヤママが、これまで勤めていた保育園を退職し、別の園に移ることになった。
その最終日
園児とのお別れをどうするのか、前夜までいろいろと考えている様子だったが、
思案の末に決めたのは、「アンパンマンのマーチ」を
ギターを弾きながら子どもたちと歌うこと。
 
震災後の新聞に、この歌が人々を勇気づけ、ラジオでもリクエストが増えているという記事が載った。
アヤママの意識にもそれがあったのかも。
 
「アンパンマンのマーチ」
 
これは、小中学校の道徳の時間にも、すぐれた題材としてとりあげられてきたものだ。
指導案を提案し、ホームページに掲載されたのは、静岡の小学校教諭、森竹高裕さん。
この実践を、これまでに何人もの担任の先生に紹介したのだが、実践された先生方にも、また児童生徒たちにも好評だった。
子どもたちの反応のよさに、クラスの級訓を「アンパンマン」にしたクラスもあったほど。
いまこそ、多くの学校で取り上げてほしい内容である。
この記事を読まれている方の中に教員がおられるなら、ぜひ一度取り上げてほしいものである。
 
 
発問 テーマ曲「アンパンマンのマーチ」をきき、気に入った言葉に線をひいてみよう。 


子どもたちが線を引くのは、こんな言葉だ。
 

やさしい君は
 
いけ、みんなの夢守るため
 
たとえ胸の傷が いたんでも
 
そうだ、恐れないで みんなのために
 
忘れないで夢を こぼさないで涙
 
 
発問 アンパンマンはどうして自分の頭を食べさせるのでしょう。
 
 
子どもたちは考える。
 
 
もうダメだとか言わないで、助けを待っていればいいことがある。
 
いやなことだと思ってもみんなのためにすればあとでいいことがある。
 
みんなのために自分の顔を犠牲にしても、みんなのために役立とうとしている。
 
自分はどうなっても、お腹の減っている人に食べさせる。
 
みんなのために、自分の頭のあんパンをあげて、みんなの笑顔をみたい。


そして教師はおしまいに
「アンバンマン」の原作者であり作詞者でもある、やなせたかし氏の一文を読み聞かせる。
懐かしい雑誌『詩とメルヘン』に掲載されたものである。
 
 
本当の正義とは?そして
ぼくがまだ子供のときのこと

アンパンマンは、ある日アンパンを見ていておもいつきました。ぼくはだいたい子供番組のスーパーマンものを見るのが大好きであったのですが、見ていて納得できないのは、スーパーマンと怪獣がやたらに大あばれするあたりじゅうメチャメチャに踏み荒しても、被害者に謝りにいったりしない。正義の味方というけれど、本当の正義とはいったい何だろう?

そして、我々が本当にスーパーマンに助けてもらいたいのは、たとえば、失恋して死にそうな時、おなかがすいてたおれそうな時、あるいは旅先でお金がなくなった時、その他いろいろあるわけで、そういう細かいところに気がつく優しいスーパーマンがいてほしいのです。鉄橋もちあげたり、全くいそうにもないビニール製の怪獣をなぐりつけてもらっても、あんまり心からよろこべない。

ぼくがまだちいさい子供の時、遠くの町へ遊びにいって財布を落してしまった。ぼくは何も食べることもできず、第一、電車のキップを買うお金がない。日暮れは追ってくるし、まわりは知らない人ばかり、いったいどうしだらいいのか、死ぬほど心細かったのです。

しかたなしに、ぼくは線路を歩いて12キロばかり離れた自分の家まで帰ることにした。ぼくは駅へいった。そしてぼうぜんとしばらくそこにたっていた。日暮れの駅ほどあわただしくさびしいものはありません。

誰もかれも、急ぎ足で正確に自分の家を目指して帰巣本能の命ずるままにせかせか歩いていて、ひとりのパッとしない少年がお金がなくて死ぬほど困っていることに気がつくひとなどはいません。

無限とみえるほど大勢の人がいても、それは全く自分とは無関係で、言葉さえ通じない異国の人、いや、むしろ、人間以外の何かのようにさえみえます。ぼくはノロノロと移動して、線路への道をさがそうとした時、「やなせ君!」と呼ぶ声がする-。

見れば、ぼくの友人のK君がお母さんと一緒にいるではありませんか。地獄に仏!真実の神!ぼくはK君とそのお母さんのところにライトがあたってそこだけバラ色に輝いているようにみえました。

その夜、オレンジ色の光の窓を行列させながら走っていった帰りの電車の中で食ベたアンパンほどおいしい食べものをばくは知りません。アンパンはぼくの食道にしみ、胃の粘膜(ねんまく)にしみ、心にしみた。ぼくは甘美な恍惚感(こうこつかん)にひたった。幸福は、時として不幸の時に実感する。

ぼくはその時に思った。本当のスーパーマンは、ほんのささやかな親切を惜しまないひとだと。そして、そういう話をいつかかきたいと子供心に考えたのです。





「アンパンマンのマーチ」
         作詞:やなせたかし 作曲:三木たかし 編曲:大谷和夫

そうだ、うれしいんだ生きる喜び
たとえ胸のキズが痛んでも
なんのために生まれて、なにをして生きるのか?
答えられないなんて、そんなのはイヤだ
今を生きることで、熱い心燃える
だから君は行くんだ微笑んで
そうだ、うれしいんだ生きる喜び
たとえ胸のキズが痛んでも
ああアンパンマン
やさしい君は 行けみんなの夢守るため
 
なにが君の幸せ、なにをして喜ぶ?
わからないまま終わる・・
そんなのはイヤだ
忘れないで夢を こぼさないで涙
だから君は飛ぶんだどこまでも
そうだ、恐れないでみんなのために
愛と勇気だけがともだちさ
ああアンパンマン
やさしい君は 行けみんなの夢守るため

時ははやく過ぎる 光る星は消える
だから君は行くんだ微笑んで
そうだ、うれしいんだ生きる喜び
たとえどんな敵が相手でも
ああアンパンマン
やさしい君は 行けみんなの夢まもるため

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コメント

コメント(5)
No title
アンパンマンはアニメよりコミック版の方が好き。もちろんブックオフで読むから

清水雄太 1992年12月4日生まれ

2013/09/22 URL 編集返信

No title
コミック版というのはあまり印象にないのですが…私はやなせたかし作の絵本しかイメージできません。

yositaka

2013/09/24 URL 編集返信

No title
それは俺の中ではないなあ。全然おもしろくなかった。保育園児の頃はやっぱ俺はジブリとか名探偵コナン、金田一、ガンダム、夢パティが好きだな。

清水雄太 1992年12月4日生まれ

2013/10/09 URL 編集返信

No title
ただし、アンパンマンはアニメも歌もあんま好きちゃうわ

清水雄太 1992年12月4日生まれ

2013/12/31 URL 編集返信

No title
いいんじゃないですか。「子どもの好きなもの」と「大人の好きなもの」は違っていていいのだと思います。自分があんまり好きじゃなくても「読者」がいれば手渡す、見せる、読み聞かせる…それが大人ってものです。でも一緒に好きになれるものが一つでもあれば幸せですね。、

yositaka

2013/12/31 URL 編集返信

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プロフィール

yositaka

Author:yositaka
子どもの本と、古めの音盤(LP・CD)に埋もれた「ネコパパ庵」庵主。
娘・息子は独立して孫4人。連れ合いのアヤママと二人暮らし。

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