ラルキブデッリのモーツァルト

美しい音楽の、美しい演奏と呼ぶにふさわしい
 

 
モーツァルト:ディヴェルティメント第10番ヘ長調K.247
         ディヴェルティメント第17番ニ長調K.334

■ラルキブデッリ
ヴェラ・ベス(Vn), ルシー・ファン・ダール(Vn), ユルゲン・クスマウル(Va), アンナー・ビルスマ(Vc), アブ・コスター(Hr),クヌート・ハッセルマン(Hr)
録音:1990年9月
 
 

ヴィヴァルテ・ボックスの一枚。
通常弦楽合奏で演奏されることが多いこの曲を、パート一名(弦楽四重奏とホルン2)の澄み切った音で演奏している。
 
音程は現代と同じ高さでチューニングされているとのこと。
こういう評言は、古楽団体には似合わないかもしれないが、『ロマンティック』な味わいが濃い。
例のノンヴィヴラート奏法も少しも目立たず、「楽器の音」ではなく「音楽そのもの」が耳に届くのだ。
演奏者たちは、
アンナー・ビルスマが参加する演奏に特有の、「熱さ」と「勢い」が曲の魅力をいっぱいに引き出していく。
 
ゆったりとしたテンポで旋律を歌わせる第一楽章。
しかし、そのテンポは絶えず流動している。
ここぞというところでは、一層のスローダウンをして、それは、どんな細部のきらめきも見逃すまいとするかのようだ。
一節一節が生きて語っている演奏。
有名な第3楽章メヌエット、影の濃い第5楽章メヌエット。
躍動と憂愁の一瞬の交代。
そこには貴族の会合のための機会音楽とは到底思えない、深さがある。
モーツァルトのディヴェルティメントやセレナードを精緻な「室内楽」として再現していく。二つのナチュラル・ホルンも、人数が少ないせいか動きが明確。時には前面に出て雄弁に語りかける。
初めて聞くような、眩さである。
 
これらの曲種を「気楽なBGM」のように思っている人は、この演奏を聴いて認識を改めるだろう。
あるいは、追求しすぎて息苦しいと感じる人もいるかもしれない。でも、これこそ本当の音楽の姿だと思う。
指揮者シャーンドル・ヴェーグも、スタイルこそ異なるが、同じ本質をこのジャンルに見ていたのでは。
 
ただ、こうしたスタイルに共通する傾向(最近の古典演奏にはきまって感じることでもある)だが、
第2楽章、第4楽章のような遅い楽章のテンポが、速めなのが残念。
アレグロ楽章を遅めにやるのなら、アンダンテなどは、もっと遅くてもいいのではないか。
なんだか、歌いこむのが恥ずかしいみたいに、みんな緩徐楽章を速くする。
 
「作曲当時の適正テンポはこれなのだ。これだけは譲れない」
のかもしれないが、
ブルーノ・ワルターなどの演奏によって「遅く歌いこむ」ことの至福に浸った私のような(世代の)音楽ファンには、そこだけがどうしても、物足りない…
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コメント

コメント(2)
No title
yositakaさん、こんばんは。
ラルキブデッリのモーツァルトは、Vn&Vaの協奏交響曲(弦楽六重奏版)を持っていますが、あまり印象になく…したがって、他の録音に聴き進むことなく今日に至りました。
K334は、ぼくの大好きな曲であります実家にあったアントン・フィーツ率いるウィーン八重奏団のレコード。最初から最後までどこを取っても素晴らしい。ぼくの人生で外せない1枚であります。
そこでラルキブデッリ。予想に反してロマンチック系とは
これは気になります!!この団体を対象外グループから呼び戻さないと

Loree

2011/02/03 URL 編集返信

No title
ウィーン八重奏団の演奏は本当に最高の一枚。これほど音楽の幸福にあふれた盤もないでしょう。
でも、ラルキブデッリもいいですよ。これだけの名曲、いろいろな演奏で楽しみたいですね。
あと、私が好きな演奏は、彫りの深いヴェーグ指揮、カメラータ・ザルツブルク。全曲をゆったりとしたテンポで悠々と奏でていく指揮者なしのアカデミー・オブ・セント・マーティン、ですね。

yositaka

2011/02/04 URL 編集返信

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プロフィール

yositaka

Author:yositaka
子どもの本と、古めの音盤(LP・CD)に埋もれた「ネコパパ庵」庵主。
娘・息子は独立して孫4人。連れ合いのアヤママと二人暮らし。

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