ダ・ポンテとモーツァルトとの出会いを描いた『ドン・ジョヴァンニ』

こんな映画を見てきました。

『ドン・ジョヴァンニ 天才劇作家とモーツァルトの出会い』
IO, DON GIOVANNI
2009年 イタリア/スペイン
日本公開:2010年4月10日
(Bunkamuraル・シネマ ほか)
上映時間:2時間7分


モーツァルトのオペラ『フィガロの結婚』『ドン・ショヴァンニ』『コシ・ファン・トゥッテ』の台本作家、ロレンツォ・ダ・ポンテを主人公に、彼とモーツァルトの出会いとオペラ「ドン・ジョヴァンニ」誕生までの物語を描いた作品。

1763年・ベネチア。ユダヤ教からキリスト教へと改宗し、神父になったロレンツォは、異端思想と放蕩生活のためベネツィアから追放される。
すでに詩人・劇作家として名声を得ていたロレンツォは、宮廷楽長サリエリにあてた師カサノヴァの紹介状を手にウィーンにやってくる。そこでは革命児と言われた音楽家モーツァルトとの出会いが待っていた。

最初の共作『フィガロの結婚』初演の場面をあっさりと済ませ、物語は『ドン・ジョヴァンニ』の製作過程という核心部分へ。作曲とリハーサルが同時進行で進む中、劇中劇と現実が次第に重なりあっていく。
かつてベネチアで出会ったアンネッタとの再会。
彼女への愛は、放蕩に明け暮れたロレンツォの人生を揺さぶる。
「われこそドン・ジョヴァンニ」と、自己を投影したオペラの展開が物語の展開にシンクロしていくさまが面白い。

2時間の作品に、オペラのハイライト部分をかなりの時間収録し、アリアの歌詞に登場人物の心理を仮託している。そのために、本編のストーリーは最小限。二人の天才ぶりや当時の時代背景、ロレンツォの放蕩ぶりを具体的に描く場面はほとんどない。
そればかりか、本編部分までが、まるでオペラの場面であるかのように、セットは書き割り、背景は銅版画の合成と、あえて「作り物」感を出している。

私にはとても面白く、音楽的にも優れた作品に思えたが、
やはり一定の予備知識をもった観客を念頭に作られた作品だろう。

主人公ロレンツォは放蕩というイメージから遠い、思索的な美青年。
一方モーツァルトのキャラクターは、ミロス・フオアマンの『アマデウス』をそっくり踏襲したような狂気と軽妙のとりあわせ。あの映画の影響力は実に大きかったのだ。
ただし、音楽は『アマデウス』のスタイルとは違う。エウロパ・ガランテをはじめとするピリオド演奏の達人によるもの。随所で疾風のごとき鋭い響きをきかせる。
また、声楽陣も吹き替えなしでプロの歌手たちが演じているとのこと。オペラ場面での厚化粧やかなり露骨に性的な身振りなど、抵抗もあるし、クライマックスも地獄の溶岩流を背景に見せたりして、やりすぎとは思うが、
これが『映画的手法』というものなのだろう。


ちなみに、モーツァルトの歌劇『ドン・ジョヴァンニ』
モーツァルトのオペラの中でも飛びきりの名曲で、大好きな曲である。
この機会に、私の愛聴盤をちょっと、紹介しておきたい。
やっぱり、古いものばかりになってしまう。新しいのがだめとは、全然思わないのだが…


カール・ベーム指揮ウィーン・フィル
1977年ザルツブルク音楽祭でのライヴ。冒頭和音から強烈。遅いテンポで悲劇性を強調したかのような解釈ですが、何度聞いても素晴らしい。厚くブレンドされた響き自体がいい。
軽妙さには乏しいので、一般の評価は低いかもしれないが、
一つだけと言われれば、これ。









ブルーノ・ワルター指揮ウィーン・フィル
1937年ザルツブルク音楽祭でのライヴ。
序曲はいささか音質が苦しいが、聴き進むと意外なほどしっかりと音が入っていて、驚き。ベームとは逆に、速いテンポで俊敏に、多彩な曲想を描き分けていく。
1942年にメトロポリタン歌劇場で演奏したライヴもあり、それも同様な解釈。歌手はメトロポリタン盤がいいかも。でもさすがにオーケストラの響きは、ウィーン・フィルの方が。








ディミトリ・ミトロプーロス指揮ウィーン・フィル
1956年ザルツブルク音楽祭でのライヴ。
54年まで指揮していたフルトヴェングラーの急逝を受けてミトロブーロスが棒を。
指揮自体はストレートで個性的ではないが、フルトヴェングラーよりはモーツァルトになっていると思う。それに歌手がいい。ドン・ジョヴァンニではこの人、といわれたチェーザレ・シェピをはじめ聴きごたえのある人がそろっている。
それに、ツェルリーナをリタ・シュトライヒが演じていて、私にとっては、これだけで最高の一枚。



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yositaka

Author:yositaka
子どもの本と、古めの音盤(LP・CD)に埋もれた「ネコパパ庵」庵主。
娘・息子は独立して孫4人。連れ合いのアヤママと二人暮らし。

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