佐野洋子さん、逝去

絵本作家の佐野洋子さんが亡くなりました。
佐野さんといえば『100万回生きたねこ』

私も、子どもたちを前に数限りなく読み聞かせをしてきた作品です。
中には、この絵本を知ったことで、人生が決まったという人もいる。
佐野さんの人柄を彷彿とさせる、骨太のユーモアと、豪快なタッチの絵柄は、一度見ただけで忘れられない魅力がありました。
 
私が個人的に印象に残っている作品たち。
 
すーちゃんとねこ こぐま社, 1973

初めての絵本。すでに佐野さんの個性は際立っています。
主人公はとってもいじわるな女の子、すーちゃん。表紙からとっても悪い目つきをしていますね。隣にいるきよわそうなねこは、すーちゃんの容赦ない意地悪にも決してめげず…
オチの爽快さがたまりません。
 
 
だってだってのおばあさん フレーベル館, 1975

5歳に舞い戻った99歳のおばあさんが、飛んだり跳ねたりの大活躍。
私の中では『百万回生きたねこ』『空とぶライオン』とならんで佐野洋子ベスト3に入る絵本です。
発行当時は、「年寄りにむちゃをさせて…」と顔をしかめ、批判する人もいたと記憶していますが、改めて読むと、心の中の永遠の若さをうたう作品と感じます。当時若かった佐野さんですが、晩年はまさにこのおばあさんそのものでした。
 
 
おぼえていろよおおきな木 銀河社, 1976

これは確か発売前に、黒姫山で行われていた「絵本の学校」という講座で今江祥智先生に紹介された作品で、初めて佐野さんを知った思い出の一冊。
まず、けんか腰のタイトルがいい。頑固なおじさんが、何かとうざったく思い、目の敵にしている「大きな木」。とうとうある日、これを切り倒してしまうのですが…
切り株を前にしたおじいさんの心には、切ない思いが広がっていきます。
 
 
空とぶライオン 講談社、1982

私にとって、佐野さんの絵本のベストワンは、この絵本です。
80年代、私が教員という仕事にもっとも苦労していた時代。
意を決して、クラスの生徒たちに年100冊以上の絵本の読み聞かせを始めました。自分の得意分野の力を借りて、教員としての自分を立て直しにかかったのです。
そのころ私はこの本に出会いました。
これは、自分のためにかかれた本なのか、と錯覚するほどの読後感。
私にとっては『百万回生きたねこ』の完成度を超える一冊です。
詳しい感想は、いずれ近いうちに。
 
 
私の猫たち許してほしい リブロポート 1982

佐野さんのエッセイを初めて読んだのは今は亡き雑誌『月刊絵本』(すばる書房)だったと思います。おそらくエッセイが活字になった最初かと。
文章でもこれだけ「子どもの心」を溢れるように語れる人なのか、と驚嘆したことを覚えています。
これはその雑誌掲載のものも含む最初のエッセイ集。
文庫版の紹介文によれば「直感し、認識し、理解し、愛され愛そうとするひとりの女性のすぐれた資質がみごとに表現」された作品ばかり。
晩年のエッセイは、人生の「苦み」をたっぷりと含ませた苦しさもあり、私にとって佐野さんはやはり初期のこの本に。
 
 
最後に、アサヒ・コムより訃報を転載します。なお、朝日新聞には11月10日付に紙面5段という大きなスペースを割いて、佐野さんの追悼文が掲載されました。児童文学関係の作家としては異例といえるのではないでしょうか。
 
 
絵本「100万回生きたねこ」などで知られる絵本作家・エッセイストの佐野洋子(さの・ようこ)さんが5日、乳がんで死去した。72歳だった。葬儀は近親者のみで営む。後日、お別れの会を開く予定。
中国・北京生まれ。1961年に武蔵野美術大デザイン科を卒業後、ベルリン造形大でリトグラフを学ぶ。74年からほのぼのした画風の絵本を発表、76年に絵本「わたしのぼうし」で講談社出版文化賞絵本賞。「100万回生きたねこ」(77年)は、さまざまな飼い主のもとで生と死を繰り返す猫が初めて愛することを知る姿を描き、世代を超えて親しまれた。ミュージカルなどにもなり、178万部のロングセラーとなった。01年、絵本「ねえ とうさん」で日本絵本賞、小学館児童出版文化賞。
「わたしが妹だったとき」など、自由な着想としなやかな感性に裏打ちされたエッセーでも知られ、老境に入っての一人暮らしをユーモラスにつづった「神も仏もありませぬ」で04年、小林秀雄賞を受けた。08年に巌谷小波文芸賞受賞。同年のエッセー「役にたたない日々」では、医師に余命2年と宣告された際に外国車のジャガーを購入した様子を描き、「毎日がとても楽しくて仕方ない」と軽妙に語っていた。
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コメント

コメント(2)
No title
sigeです。学生時代、いろいろ話したね。黒姫山の話も昨日のように覚えている。あくの強い人…といえばそれまでだが、「愛して」と伝播しているひとが、じっと相手を「愛し続ける」存在になっている…そんなふうに描いている方と、僕の中に住みついています。合掌!

toy**ero

2010/11/12 URL 編集返信

No title
やあ、sige君。
佐野さんには一度お目にかかりたいと思いながら、果たせませんでした。
谷川俊太郎さんとの結婚時代は、熱烈すぎる愛情表現にまいった、という印象でしたが、離婚後はエッセイの仕事ばかりで、話題には事欠かないものの、絵本作家としてはいささか寂しさも感じていました。
でも、間違いなく、存分な人生だったことでしょう。

yositaka

2010/11/13 URL 編集返信

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yositaka

Author:yositaka
子どもの本と、古めの音盤(LP・CD)に埋もれた「ネコパパ庵」庵主。
娘・息子は独立して孫4人。連れ合いのアヤママと二人暮らし。

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