珠玉の音楽箱

2010/ 10/ 23
                 
先日NHKで、「オール・ザット・オーケストラ」という番組が放送されていました。
30分の番組だったのですが、懐かしい名曲が演奏されていて感激ものでした。
 
ドナウ川のさざ波
トリッチ・トラッチ・ポルカ
マドンナの宝石
森の水車
ペルシャの市場
金と銀
 
演奏は飯森範親指揮の東京フィルハーモニー交響楽団。『マドンナの宝石』の序奏部がカットされていたこと、『金と銀』の繰り返しがすべて省かれていたのが残念でしたが、これはおそらく放送時間の関係だったのでしょう。
演奏は丁寧で、ちょっとしたテンポの変化や旋律のたっぷりとした歌わせ方にも新鮮さがあり、なかなかのもの。
 
さて、これらの曲は、遠い昔、小学校の音楽鑑賞の時間に、先生が教室におおきな電蓄(カバーがスピーカーになっていたもの)を持ち込んで聞かせてくれたり、学校放送のスピーカーから何度も流されたりして、ずいぶんと聞きなじんだものばかりです。
私にとっては、当時千数百人の児童がたむろしていた小学校の雑踏までが思い出される懐かしさです。
 
いまは、こういうオーケストラ小品は、どんなふうに聞かれているのでしょうか。
学校の音楽鑑賞曲もずいぶん変わったし、ポップスコンサートはともかく、通常のオーケストラの演奏会でこういう曲が、アンコールで演奏されることも、まずないのでは。
しかし、今聞いても、どれもよく出来た、聞き手を幸せにしてくれる名曲たちではないでしょうか。
 
先日も仲間内の聴き会で、これらの曲が聴きたくなって、ディスクを手にしました。これです。
 
クレスト1000-413
威風堂々/ワルツィング・キャット~グローヴズ卿の音楽箱(2CD)
■サー・チャールズ・グローヴズ 指揮
■フィルハーモニア管弦楽団 
■録音:1988年8月、11月 ロンドン、アビー・ロード・スタジオ、ヘンリー・ウッド・ホール(デジタル)
■ COCO-70957(C)  デンオン

 
 
この二枚組みの愉しさは、どの曲でもいい、タイトルをご存じの曲をランダムに一曲、聴いていただければわかります。
一つ一つの音の粒立ちの良さ。
遅めのテンポで隅々まで歌いこまれ、磨きこまれた完成度の高さ。
いい曲とは思っていたけれど、本当の意味で「名曲」なのだな、と実感させてくれる名演ぶりに驚かれることでしょう。
チャールズ・グローヴズ、最晩年の芸術。彼の名を冠した「音楽箱」と呼ぶにふさわしい一枚です。
 
 
CD1
・行進曲『威風堂々』 op.39全曲(エルガー)
第1番ニ長調/第2番イ短調/第3番ハ短調/第4番ト長調/第5番ハ長調
・組曲『道化師』 op.26(カバレフスキー)
・組曲『動物の謝肉祭』(サン=サーンス)
・愛の挨拶 op.12(エルガー)
・『グリーンスリーヴズ』による幻想曲(ヴォーン・ウィリアムズ/R.グリーヴズ編)
CD2
・森の水車 op.52(アイレンベルク)
・軍隊行進曲 ニ長調 op.51 D.733(シューベルト)
・ラッパ吹きの休日(アンダーソン)
・歌劇『ザンパ』序曲(エロルド)
・ワルツ『スケートをする人々』 op.183(ワルトトイフェル)
・3つのドイツ舞曲 K.605(モーツァルト)
第1番ニ長調/第2番ト長調/第3番ハ長調
・鉛の兵隊の行進曲 op.14-6(ピエルネ)
・プリンク・プレンク・プランク!(アンダーソン)
・金婚式(マリー)
・トルコ行進曲~『アテネの廃墟』 op.113より(ベートーヴェン)
・ワルツ『女学生』 op.191(ワルトトイフェル)
・踊る人形(ポルディーニ)
・おもちゃの兵隊の観兵式(イェッセル)
・ホフマンの舟歌~歌劇『ホフマン物語』間奏曲(オッフェンバック)
・ワルツィング・キャット(アンダーソン)
・酋長の行列~組曲『コーカサスの風景』より(イッポリトフ=イワーノフ)
・クシコスの郵便馬車(ネッケ)
・トランペット吹きの子守歌(アンダーソン)
・剣の舞 ~『ガイーヌ』組曲第1番から(ハチャトゥリアン)
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コメント

No title
NHKの番組で取り上げられた曲はどれも愛すべき名曲ばかりです。音楽の教科書にも載っていましたね。グローヴズのアルバムは私も持っています。殊にDISC2の曲目がいいですね。大曲志向でなかなか聴かれなくなった懐メロになってしまっていて、残念ですね。
No title
おはようございます。Sl-Maniaさん。
この曲目は会社側の選択かもしれませんが、もともとイギリスの指揮者やオーケストラの得意なレパートリーでしたね。LP時代はロビン・ステーブルトンという指揮者も同様のアルバムで高い評価を得ていました。たしかに良かったけれど、グローヴスは別格という気がします。
このアルバムでグローヴズの芸格を知っていらい、彼のディスクが気になります。最近もシューベルトの交響曲全集の何枚かを入手。凛とした透明度が際立つ演奏でした。
No title
NHKでそんな素敵な番組をやっていたなんて。実にいい選曲ですね

グローヴスのCDは、店頭で見かけて気になっていました。こちらも、これでもか!と言わんばかりの通俗名曲集ですね。素晴らしい。
アンダーソンとかハチャトゥリヤンは現在も人気レパートリーですが、いわゆる一発屋的な人の作品はほとんど忘れられて子どもたちは存在も知らないと思います
こういう番組やCD、ぜひ子どもに聴かせたいです。
No title
ロレーさん、なかなか意外な番組でした。
シリーズ化してほしいと思います。飯森さんの指揮もよかったですよ。
このグローヴズ盤は、おすすめですよ。「通俗」なんて印象はなくて、ただただ「名曲」です。
一曲だけの作曲家、といっても事情はいろいろあるようです。たとえば『ドナウ川のさざ波』のイヴァノヴィッチなどは、ずいぶん沢山の曲を書いたけれども、これを含めて二曲しか譜面が残っていないとか。何があったのか知りませんが、不運としかいいようがないですね。
No title
yositakaさん、グローヴズはディーリアスの演奏でお世話になりました。彼の振るディーリアスは良かったです。他の人の作品も聴いたらやはり良かったという印象。このアルバムは宝なのですが、所持の盤はDISC1とDISC2が誤表示で完全に入れ違っているという珍しさもおまけ付きでした。
No title
ディーリアス『北国のスケッチ』1974年録音。二枚のアルバムから編集されたCDと、オリジナル選曲のLPをそれぞれ所持していますが、これでしょうか。
最近はフレデリック・ディーリアスを話題にする人も少なくなりましたが、これは曲、演奏、録音、いずれも素晴らしいディスクだと思います。『生命の踊り』は、彼には珍しい情熱と躍動に満ちた曲でしたね。
No title
Disc1とDisc2が入れ替わっているとは珍品中の珍品ですねでも、気づかない人もいたりして…

通俗名曲、ぼくは誇りをもってこの言い方をします。別に、もっとよい言い方があればそれでもいいんですけど。でも、一発屋は適切じゃなかったですね。イヴァノヴィッチは400曲くらいの作品を遺したと何かの本で読んだ気がします。
通俗名曲がいかにして世の中に浸透して通俗名曲となったのか。仕掛人やきっかけは?そんなことを考えると夢があるな~なんて思います
No title
yositakaさん、そうです。結構声楽曲もありました。「海流」とか「人生のミサ」もありました。
No title
Sl-Maniaさん。
ディーリアスの声楽曲は残念ながらあまり聴きなじんでいませんが、グローヴズならさぞかし見事な演奏でしょうね。
ホイットマン詩による、バリトン独唱と合唱を伴った『海流』はシューリヒトの録音もあって、以前から聴きたいと思っているのです。
No title
>通俗名曲、ぼくは誇りをもってこの言い方をします。

ロレーさん、「誇りをもって」といういい方にハッとしました。いい表現ですね。私など、自信を持って使いこなせない言い方なのですが、「誇り」という言葉は人生のキーワードだと思っています。
ところで「通俗」の解釈、考えさせられました。一般的に作品を「格下」に見る意味合いでよく使われます。私は批評、評論で「通俗名曲」という言葉が使用われるとき、違和感を感じることが多いのです。「このような」という修飾語がついているときなどは、特にそうです。

あるサイトの方が書いておられる、こんな感覚。
>その筋の「通」の方々が「まだそんな平易な音楽聴いてるの?」なんてやや鼻につくような風景も思い浮かんで、不快な感じもあります。

そんな思いが背景となって「通俗なんて」という表現になってしまったようです。ロレーさんは、そんな意識とは無縁、どころか通念を盾にとって何かを伝えようとされている。これは考えさせられました。