鳥への挨拶

2010/ 10/ 07
                 
片山令子さんのお話に出てきたジャック・プレヴェールの詩の一節「人生は首飾り 一日は真珠」の全文を知りたくなった。
片山さんにお聞きしておけばよかった、と思うも、後の祭り。
 
こんなとき、インターネットは便利だ。その一節をいれただけで、あっという間にはじき出す。http://www.amazon.co.jp/dp/4835616359
高畑勲編・訳のプレヴェール詩集『鳥への挨拶』に載っている。注文も楽々。
到着した本は意外にも
茶色っぽく軽い紙に印刷された、B4サイズの大きな本。
奈良美智の数多い絵画作品に彩られた絵本のような一冊である。

プレヴェールの多くの詩集、文集から選ばれたもので
これまで愛読していた大岡信や小笠原豊樹の訳本に比べてずっと多くの作品を読むことができる。
 
『火垂るの墓』『おもひでぽろぽろ』『セロ弾きのゴーシュ』など、アニメーション映画の監督作品で名高い高畑勲については、講演会でお話しも聞き、以前記事にも書いている。 http://blogs.yahoo.co.jp/izumibun/9999982.html
映画『王と鳥』や『天井桟敷の人々』の脚本作家としても高名なフランスの詩人、プレヴェールにも傾倒し、詩集『ことばたち(パロール)』の初の全訳も上梓。
『鳥への挨拶』には、イヴ・モンタンの歌で親しんだ作品も収められている。訳文は明快で新しく、詩の良さを改めて感じさせてくれる。
 
 
きみがぼくにキスした
あの永遠の一瞬
ある朝 冬の光の中で
パリのモンスーリ公園で
パリで
地球の上で
地球 それは一つの星。
 
(『庭園』)
 
 
ほらね、ぼくは忘れていないよ
枯葉はシャベルで集められる
思い出も未練もおなじこと
そして北風はそれらを運び去る
忘却の冷たい夜の中へと
ほらね、ぼくは忘れていないよ
きみが歌ってくれたあの唄を…
 
(『枯葉』)
 
 
そして…ありました。
 
 
一生が首飾りなら
 毎日は真珠
一生が檻なら
 毎日は涙
一生が森なら
 毎日は樹
一生が樹なら
 毎日は葉。
 
一生が海なら
 毎日は波
波ごとが 嘆き
 歌 身震い。
 
(『一生が首飾りなら』)
 
 
 
本書には、プレヴェールが、子どもの本について書いている文章も載せられている。
この詩人が、子どもの本の本質をこれほど鋭くとらえていたとは、知らなかった。高畑勲の訳が冴える。ご覧あれ。
 
 
 一冊の本が、ひとつの物語、いろんな絵、一匹のケモノを入れて家に来る。子どもは物語のなかに入る。そしてケモノがすてきなら、すぐに仲よくなり、たとえ、ケモノがなんでもほっぽりだすようなやつでも、いっしょにうまくやっていけるのだ。
 どんなにケモノがほんとうらしくないやつでも、くらべてみて、たくさんのほんものの連中よりもそのケモノを好きになり、これはありうることだ、ほんとうの夢みたいにほんとうだと首尾よく信じるにいたる。
 子どもはほんものの心地よい家に住んでいるかもしれないし、あるいは海の見える-鉄筋コンクリートの海のこともあるが-集合住宅の一、二、三部屋に住んでいるかもしれないけれど、あのすてきなケモノがくれた鍵を、夢たちの眼ざめている屋根裏部屋の鍵を、みんなポケットに入れているのだ。
 親たちはけっしてこの鍵を取り上げたりしてはいけない。
 
(『子ども向けの本』…ザビーネ・モニリスの絵本『おおねこ』に寄せた一文とのこと。
どんな絵本なんだろう。ネコパパとしては、見たい!)
 
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