赤い鳥文学賞、40年で幕

2010年8月16日付、朝日新聞朝刊で次のような記事が。

赤い鳥文学賞
新美南吉児童文学賞
赤い鳥さし絵賞

以上三賞が「関係者の高齢化」を理由に終了とは…
残念だ。
賞のあり方はともかく、文学のジャンルとしてまだまだ広く認知されていない児童文学の分野で
歴史のある文学賞の存在意義は大きいはず。

紙媒体のメディアの先行きを心配する声が多い最近だが、決して揺るぐことのない分野があるとすれば、
それは、絵本・児童文学、子どもの本の分野であるはず。
特に幼い子どもたちにとっては「触れるもの」としての本の存在は欠かせないだろう。

だからこそ、子どもの本出版の関係者や著者はもっともっと日のあたる存在であるべきだろうし、
広く評価される場も大切にしなければならないのだと思う。
評者も新たな世代にバトンタッチして、「伝統ある賞」を継続していくことが重要ではないだろうか。

支援するメディア企業、出版団体はないものか。

これまでの同賞の受賞作品。ウィキペディアより引用。作家と作品を並べてみると、壮観だ。40年の子どもの本の歴史の一断面を見る気がする。

★赤い鳥文学賞

第1回 1971年 椋鳩十「マヤの一生」「モモちゃんとあかね
第2回 1972年 庄野潤三「明夫と良二」、関英雄「白い蝶の記」「小さい心の旅
第3回 1973年 安藤美紀夫「でんでんむしの競馬
第4回 1974年 舟崎克彦「ぽっぺん先生と帰らずの沼
第5回 1975年 松谷みよ子「モモちゃんとアカネちゃん」、佐藤義美「佐藤義美全集」全6巻
第6回 1976年 上崎美恵子「魔法のベンチ」「ちゃぷちゃっぷんの話」、野長瀬正夫「詩集・小さなぼくの家
第7回 1977年 庄野英二「アルファベット群島」、木暮正夫「また七ぎつね自転車にのる」
第8回 1978年 宮川ひろ「夜のかげぼうし」
第9回 1979年 はまみつお「春よこい」、小林純一「少年詩集・茂作じいさん」
第10回 1980年 宮口しづえ「宮口しづえ童話全集」全8巻
第11回 1981年 岩本敏男「からすがカアカア鳴いている
第12回 1982年 矢崎節夫「ほしとそらのしたで」
第13回 1983年 いぬいとみこ「山んば見習いのむすめ」、杉みき子「小さな町の風景
第14回 1984年 舟崎靖子「とべないカラスととばないカラス
第15回 1985年 山本和夫「シルクロードが走るゴビ砂漠」
第16回 1986年 山下明生「海のコウモリ
第17回 1987年 該当作なし
第18回 1988年 岡田淳「扉のむこうの物語
第19回 1989年 浜たかや「風、草原をはしる
第20回 1990年 長谷川集平「見えない絵本
第21回 1991年 清水たみ子「清水たみ子詩集 かたつむりの詩」
第22回 1992年 加藤多一「遠くへいく川
第23回 1993年 堀内純子「ふたりの愛子」
第24回 1994年 該当作なし
第25回 1995年 大洲秋登「ドミノたおし」
第26回 1996年 茶木滋「めだかの学校」
第27回 1997年 荻原規子「薄紅天女
第28回 1998年 森忠明「グリーン・アイズ
第29回 1999年 桜井信夫「ハテルマ シキナよみがえりの鳥・波照間」
第30回 2000年 二宮由紀子「ハリネズミのプルプル」シリーズ
第31回 2001年 はたちよしこ「またすぐに会えるから 詩集」
第32回 2002年 沖井千代子「空ゆく舟」(絵・石倉欣二)
第33回 2003年 広瀬寿子「そして、カエルはとぶ!」(絵・渡辺洋二)
第34回 2004年 長谷川摂子「人形の旅立ち
第35回 2005年 李錦玉「いちど消えたものは 詩集」
第36回 2006年 高楼方子「わたしたちの帽子
第37回 2007年 佐藤さとる「本朝奇談 天狗童子
第38回 2008年 たかしよいち「天狗」、特別賞:脇坂るみ「赤い鳥翔んだ -鈴木すずと父三重吉-」
第39回 2009年 森山京「ハナと寺子屋のなかまたち」
第40回 2010年 岩崎京子「建具職人の千太郎」

★新美南吉児童文学賞

第01回(1983年):佐野洋子「わたしが妹だったとき」、北川幸比古「むずかしい本」
第02回(1984年):佐々木赫子「同級生たち
第03回(1985年):安房直子「風のローラースケート」、宮川ひろ「つばき地ぞう」
第04回(1986年):伊沢由美子「あしたもあ・そ・ぼ
第05回(1987年):森忠明「へびいちごをめしあがれ」、丘修三「ぼくのお姉さん
第06回(1988年):赤座憲久「雨のにおい星の声」
第07回(1989年):羽曽部忠「けやきの空」
第08回(1990年):石井睦美「五月のはじめ、日曜日の朝」
第09回(1991年):日比茂樹「少年釣り師・住谷陽平」、高橋忠治 「高橋忠治詩集 りんろろん」
第10回(1992年):野本淳一「短針だけの時計」
第11回(1993年):真田亀久代「まいごのひと 真田亀久代詩集」
第12回(1994年):高山栄子「うそつきト・モ・ダ・チ
第13回(1995年):梨木香歩「西の魔女が死んだ
第14回(1996年):次良丸忍「銀色の日々」
第15回(1997年):富安陽子「小さなスズナ姫」シリーズ全4巻
第16回(1998年):さなともこ「ポーラをさがして」
第17回(1999年):にしわきしんすけ「日めくりのすきま
第18回(2000年):花形みつる「サイテーなあいつ
第19回(2001年):最上一平「ぬくい山のきつね」
第20回(2002年):征矢清「ガラスのうま
第21回(2003年):唯野由美子「ミックスジュース」
第22回(2004年):小森香折「ニコルの塔
第23回(2005年):やえがしなおこ「雪の林」
第24回(2006年):きどのりこ「パジャマガール」
第25回(2007年):高木あきこ「高木あきこ詩集 どこか いいところ」
第26回(2008年):本多明「幸子の庭」
第27回(2009年):山中利子「遠くて近いものたち」
第28回(2010年):三輪裕子「優しい音」

赤い鳥さし絵賞

第01回 1987年 かみやしん「ぼくのお姉さん」(丘修三)
第02回 1988年 南塚直子「うさぎ屋のひみつ」(安房直子)
第03回 1989年 小沢良吉「かかみ野の土 壬申の乱」(赤座憲久)
第04回 1990年 太田大八「見えない絵本」(長谷川集平)※
第05回 1991年 織茂恭子「へんなかくれんぼ 子どもの季節とあそびのうた」(岸田衿子)[1]
第06回 1992年 宇野亜喜良「カモメの家」(山下明夫)
第07回 1993年 伊勢英子「アカネちゃんのなみだの海」(松谷みよ子)[2]
第08回 1994年 味戸ケイコ「花豆の煮えるまで 小夜の物語」(安房直子)
第09回 1995年 鈴木まもる「黒ねこサンゴロウ」シリーズ全5巻(竹下文子)[3]
第10回 1996年 池田良二「馬を洗って…」(加藤多一)[4]
第11回 1997年 飯野和好「小さなスズナ姫」シリーズ全4巻(富安陽子)
第12回 1998年 渡辺洋二「アルマジロのしっぽ」(岩瀬成子)
第13回 1999年 おぼまこと「世界一すてきなお父さん」(前川康男)
第14回 2000年 あべ弘士「ハリネズミのプルプル」シリーズ全3巻(二宮由紀子)※
第15回 2001年 宮本忠夫「ぬくい山のきつね」(最上一平)
第16回 2002年 石倉欣二「空ゆく舟」(沖井千代子)※
第17回 2003年 杉浦範茂「くすのきじいさんのむかしむかし1 かみかくし」(高田桂子)
第18回 2004年 金井田英津子「人形の旅立ち」(長谷川摂子)※
第19回 2005年 卯月みゆき「祈祷師の娘」(中脇初枝)
第20回 2006年 黒井健「またたびトラベル」(茂市久美子)
第21回 2007年 村上豊「本朝奇談(にほんふしぎばなし) 天狗童子」(佐藤さとる)※
第22回 2008年 スズキコージ「旅ねずみ」(松居スーザン)
第23回 2009年 ささめやゆき「彼岸花はきつねのかんざし」(朽木祥)
第24回 2010年 田代三善「建具職人の千太郎」(岩崎京子)


ちなみに太字は私が、おそらく大半は、発売直後に購入して読んだものである。
「受賞作だから読む」というポジションは、翻訳ものの一部を除いては、私にはなかった。書店で見つけて書名、作者、装丁でピンと来たら買う、それだけで読んできた。
これはと思った本が受賞すると、「これで増刷がかかって、売れるといいな」といつも思ったものだ。

現在も同じ読み方を続けているのだが、2000年以降未読の作品が多い。
おそらく読書意欲も直感も衰えてきているせいだろう。
これは読んでみたいな…と思う本を何冊も見つけてしまった。


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子どもの本と、古めの音盤(LP・CD)に埋もれた「ネコパパ庵」庵主。
娘・息子は独立して孫4人。連れ合いのアヤママと二人暮らし。

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