刈谷市民管弦楽団第41回定期演奏会。

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K君ご招待の演奏会でした。ネコパパ宅最寄り駅まで電車で来たSige君をピックアップして刈谷に向かったのですけれど、Sige君はこの日いささか体調が悪い。相変わらず弁舌は豊かですが、歩いての移動がなかなかしんどい様子でした。彼はネコパパと違って現在も仕事を続けており、無理は禁物。すでに45年の付き合いで、お互い高齢者の端くれとなりました。体調管理には気をつけなきゃ、とつくづく思います。

今回の演奏会はチェコづくしでした。しかもドヴォルザークの8番はつい先日高谷氏指揮する西尾フィルの演奏を聴いたばかり。そんな意味でも楽しみでした。
1曲目は「売られた花嫁」序曲。クラシック音楽で聴いて元気になる曲は思いのほか少ないと思いますが、これなんか代表格です。冒頭の高らかな雄たけびとともに、音を細かく刻みながら驀進する弦楽器群。まさにウキウキ、ワクワクです。『フィガロの結婚』に匹敵する、一気呵成の序曲。刈谷市民オケの演奏は1曲目から快調でした。全体がバランスよく、きっちりとしまった音になっている。指揮者鈴木氏の全身をしならせての指揮ぶりに隙はなく、アマチュアらしい部分的な弱さを全体の響きでカバーする。「これは期待ができるぞ」と感じさせるに十分でした。

続くドヴォルザークのチェロ協奏曲。プログラムに入っているだけで嬉しくなる傑作です。ただ、ソリストにかかる負担は並大抵ではない…そんな難曲に挑戦するのは若手奏者の本橋氏。遅めのテンポで粛々と進む序奏部が終わり、いよいよソロが登場。たいていは強靭な音で始めるソロが、弱音主体の、音が1本に繋がるようなレガート感で開始される。意表を突いた出だし。その後もチェロは遅めのテンポを維持し、全体として繊細なソロを展開します。この曲はオーケストラ部分が常に強く主張し、間隙を縫って木管金管が目まぐるしく出入りする色彩感が魅力ですが、鈴木氏はデリケートなソロとは対照的にオーケストラをしっかりと鳴らしていく。両者が混然一体の第1楽章ではもう少しソロが聴こえてほしい気がしましたが、ソロ主体の第2楽章では十分な力量を発揮し、ソロとオーケストラが掛け合いながら盛り上がっていくフイナーレではチェロも音量と圭角を増して、オケのトゥッティの後、一瞬の間を空けてソロに飛び込む呼吸感もスリリング、そして音楽はついに憧憬の年に満ちた「泣き」のコーダに到達します。

本橋氏のソロによるアンコールは、バッハの無伴奏組曲第1番から、有名なプレリュード。早めにさらりと奏でるのが現代の主流でしょうが、本橋氏は違いました。遅めのテンポで始まり、音を切らず、息の長いクレシェンドで心の高まりを表現していきます。自分のやりたい音楽を、一つの覚悟で見据えている、そんな音作りが伝わってきました。

15分の休憩の後、ドヴォルザークの8番が演奏されました。第1楽章、序奏こそゆっくりと始めるものの、すぐに速いテンポに転じ、見る見るうちにもう一段早くなる。実際はイン・テンポなのかもしれないのですが、明らかにそう聴こえます。ドヴォルザークの田園交響曲のように見られているこの曲を、緊迫感に満ちた、ときには疾走の音楽にしようとする。鈴木氏の意欲に満ちた指揮ぶりです。第2楽章も、抒情よりも陰影と、激しい打ち込みが印象に残り、第3楽章で再び早くなる。あの魅力的な主題は存分に歌われますが、やはり勢いがある。フイナーレも第1楽章と同じく、冒頭ファンファーレはゆったりと鳴らすものの、あとは先に行くほど疾走感とリズムの強靭さが目立ってくる。西尾フィルで聴いた室内楽的、木管重視の見通しのよさとは違った、全体の引き締まった響きを重視した演奏でした。なんだかこの交響曲の別の一面を見せられたような新鮮さと発見に満ちた演奏、ということもできそうです。

満場の拍手の後、鈴木氏のスピーチ。それが指揮台上の颯爽たる動きとは対照的な「庶民のおしゃべり」だったことも意外。一筋縄ではいかんなあ…そしてアンコールは、『スラヴ舞曲』の中でも曲想変化に富んだ、ちょっと長めのop46-8でした。もちろん、絶好調の快演でした。
さてSige君はと言えば、開演前はものも言わずにぐったりした様子だったのに、演奏が終わるころには随分と元気になってちょっと興奮した様子で感想を話します。彼にとってはやはり、音楽が一番の薬なんでしょう。

話は変わりますが、この日のプログラムの裏表紙に、こんなことが印刷されていました。「世界共通 演奏会マナー」だそうです。
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全文ルビ付きということは、かなり年少のお客様を意識して書かれているんでしょうね。
随分事細かで、パンフレットは予冷が鳴ったら閉じてくださいよ、とか、拍手は指揮者が観客の方を向いたらね、とか、随分とお節介な気がします。ほかのことはともかく、拍手をいつするのかなんてことは、聞き手が自分で決めることだとネコパパは思うんですがねえ。
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yositaka

Author:yositaka
子どもの本と、古めの音盤(LP・CD)に埋もれた「ネコパパ庵」庵主。
娘・息子は独立して孫4人。連れ合いのアヤママと二人暮らし。

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