曲そのものの魅力を実感させる-東海アマデウスアンサンブル。

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K君のご招待でチケットを取り興にしてもらい、sige君といってきました。K君、いつもありがとう。
東海アマデウス・アンサンブル、創立10回目という記念すべき演奏会。
プログラムには、指揮者・池田逸雄氏の想いのこもったメッセージが掲載され、トークもありました。
氏は演奏は個人ではなく全体として成り立つもので、全体の響きによって音楽が客席に伝わることがすなわち「上手い」こと、という信念をお持ちで、それは今回の演奏からもはっきりと伝わってくるものでした。
「今回の演奏はひたすら、歌、歌、歌です」とトークを締めくくった氏の棒からは紛れもなく、歌心にあふれた音楽が湧き上がってきたのです。

1曲目はモーツァルトの「グラン・パルテイータ」。
管楽器だけの編成、しかも7楽章の大曲。ネコパパがこれを真面目に聞いた最初は、確か大学生のときで、エド・デ・ワールト指揮オランダ管楽アンサンブルの演奏によるCDでした。
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ジャケットはこれではなく、シルヴァーラインという廉価盤シリーズの一枚、しょうもない風景写真でしたが。廉価盤と言っても1枚2800円、隔世の感ですね。
聴いてみて、これは難物と思いました。
弦楽のない、息を吹き込む音で作られた音楽には、どうもとりつくシマがない。
実際には素晴らしい曲で、モーツァルトの変幻自在、猫の目のように瞬時に移り変わる曲想のマジックが隠されていたのですが、「宝の山」の発見にはそれから何年もの時間がかかったのです。

今回は、冒頭の序奏から音圧のある、力強い響きが湧き上がって愉しさの限りでした。
とはいえ、最初の2楽章はお互いに様子見の風もあり、ちょっと神経質になるくらい慎重で、ドキッとするような瞬間もあったのですが、第3楽章アダージョのオーボエによる「天上からのテーマ」が舞い降りるあたりらアンサンブルが出来上がってきて、あとはひたすら音楽を楽しませていただきました。
この曲の凄みは後半からで、第4楽章メヌエットのトリオあたりから、陰りのあるフレーズが頻出、以降、突然の曲想の変化に翻弄される瞬間が次々に訪れます。第5楽章はオーボエとクラリネットの静謐な歌い交わしと、アレグレットに転じた中間部の低音楽器の唸りが素敵。そして第6楽章の主題と変奏こそは全曲の白眉でしょう。すべての楽器が交互に特徴のあるソロを取りながら、先の展開が全く読めない音のコラージュとなります。全曲を締めくくるのは、活気にあふれた短いフィナーレ。ここは、映画『アマデウス』て背も効果的に使われていました。

後半は一転してドヴォルザークの弦楽セレナーデ。
この曲は土俗的一本鎗ではない、作曲者の7都会的センスとメロディーメーカーの才覚が最高に発揮された傑作。その割には意外に演奏されませんが、レコードの「聴き会」にこの曲を持参して聴いてもらうと大抵は喜んでもらえます。一度で人を引き付ける魅力があるのです。
誰のレコード?ラファエル・クーベリックがイスラエル・フィルを指揮した米ロンドン盤ですね。この盤は1曲だけをLP1枚に収録しているせいか、音の切れがいいんです。もちろん、演奏自体も。
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ステージは管から弦に様変わり。26人ですから電気文化会館のステージでは所狭しの感じですが、ふっくらとした響きが会場を包んで快適でした。これも「グラン・パルテイータ」同様、第1楽章は様子見、聴き合いながら徐々にアンサンブルの具合を確かめていくようにも聞こえました。そのため、第1楽章の、水の底から湧き上がってくるような魅惑のテーマがやや聴き取りにくかったのは残念でしたが、そこは「全体の響き」を聴きましょう。第2楽章の哀愁のワルツにはいると、響きの明瞭度は一段とよくなります。それにしてもこの曲、さざめくような細かい音の波を重ねながら、そこにそっとメロディが見え隠れする書法。おそらく演奏の難度はとても高いと思います。33歳のドヴォルザークが、得意の速筆で11日間で仕上げたとされていますが、モーツァルト並みの才能ですね。
第3楽章スケルツォにはいると、アクセントは一掃明瞭となり、以降最後まで、緊張感の途切れないみごとな演奏が展開しました。後に行くほど力が湧いてくるような楽天性、ドヴォルザークの真骨頂!

アンコールはオーボエとファゴットが再び登壇し、モーツァルトの『アヴェ・ヴェルム・コルプス』が演奏されました。
管楽器は合唱パートを演奏します。驚くことに、オーボエとファゴットの音が合わさると、それが人の声のコーラスになって、歌詞が聴こえてくるようにさえ感じられる。
Sige君によると、これまさに楽器の音の特性を生かしたアレンジとのこと。
オーボエとファゴットは、オーケストラに取り入れられた木管楽器では、もっとも古い。それは、人の声に近かったからなのかも…という妄想が浮かんできたのですが、さて、実際はどうなんでしょう。
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コメント

コメント(2)
両曲とも、アンコールの曲も大好きです
素敵なプログラムによる演奏会でしたね。
「グラン・パルティータ」は大好きな曲ですが最初に聴いた時、ベーム/ベルリン・フィルの演奏でしたが、管楽器だけの響きに馴染まず暫く疎遠でしたが、ネコパパさんと同じデ・ワールトのシルバー・ラインなるCDの廉価盤を何度か聴いているうちに大好きになり、特に第6楽章の主題と変奏、今ではモーツァルトの中でもオペラを除くと三本の指に入るお気に入りとなっています。
この曲は演奏会で取り上げられるのは希ではないでしょうか?
1970年代から2000年あたりまでエアチェックを楽しんできたパスピエですがこの曲はヴェーグ/ウィーン管楽ゾリステンによる一つだけです。
この演奏会では各楽章間に、長い時は3分くらいのインターバルをとっていました。管楽器奏者にとっては相当負担がかかるのでしょう

パスピエ

2024/02/06 URL 編集返信

yositaka
Re:両曲とも、アンコールの曲も大好きです
パスピエさん、

これはこれは、パスピエさんもワールトをお聴きになったんですね。
あれはいま聴いてもいい演奏です。シルバーラインは手元にないのですが、別途、手に入れました。
今回のプログラムは、どちらの曲も編成が特殊なため、確かにライヴ演奏で耳にする機会は少ないと思います。貴重な機会でした。
「グラン・パルテイータ」はヴェーグの正規録音がなく、私もNHKで放送された1992年2月3日、ザルツブルク音楽祭でのエアチェック音源を大切に聴いていますが、古いカセットテープの音は良くなく、一刻も早くCD化を期待したいところです。私のお勧めはヴェーグとはカザルス絡みの盟友の、シュナイダーが、ヨーロッパ室内管弦楽団メンバーを指揮したASV盤です。
今ではなかなか入手難ですが、よろしければ聴いてください。
https://xgf.nu/NSdKZ

yositaka

2024/02/06 URL 編集返信

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プロフィール

yositaka

Author:yositaka
子どもの本と、古めの音盤(LP・CD)に埋もれた「ネコパパ庵」庵主。
娘・息子は独立して孫4人。連れ合いのアヤママと二人暮らし。

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