2024・VPOニューイヤーコンサートの録画を、やっと視聴。

元旦の生中継は、能登地震という突然の惨事によって放送中止。3日のFM放送、6日のTV再放送は行われたが、TVの分は録画をとりのがし、28日深夜の再々放送を何とか録画して試聴することができた。
FMの方は夜、あれこれやりながら片手間に2回ほど聴いた(聴き流した)が、ハッとして聴きに集中するような場面はなく、やっと見たTV録画も同じだった。

音楽を楽しんでいる場合ではない、という気分がそうさせたのか。それとも別の理由があったのか。ブロ友のシュレーゲル雨蛙さんは感心して聴かれたようで、ネコパパの感想がなかなか上がらないようなのを気にされている。
それでは。
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■プログラム
【第1部】
カール・コムツァーク2世
アルブレヒト大公行進曲(初登場曲)
ヨハン・シュトラウス2世
ワルツ「ウィーンのボンボン」
フィガロ・ポルカ(初登場曲)
ヨーゼフ・ヘルメスベルガー2世
ワルツ「全世界のために」(初登場曲)
エドゥアルト・シュトラウス
ポルカ「ブレーキかけずに」

【第2部】
ヨハン・シュトラウス2世
喜歌劇「くるまば草」序曲
「イシュル・ワルツ」遺作ワルツ第2番(初登場曲)
ナイチンゲール・ポルカ(初登場曲)
エドゥアルト・シュトラウス
ポルカ「山の湧水」
ヨハン・シュトラウス2世
新ピチカート・ポルカ
ヨーゼフ・ヘルメスベルガー2世
バレエ「イベリアの真珠」~学生音楽隊のポルカ(初登場曲)
カール・ミヒャエル・ツィーラー
ワルツ「ウィーン市民」
ブルックナー(ヴォルフガング・デルナー編)
カドリーユ WAB121(初登場曲)
ハンス・クリスティアン・ロンビ
ギャロップ「あけましておめでとう!」(初登場曲)
ヨーゼフ・シュトラウス
ワルツ「うわごと」
【アンコール】
ヨーゼフ・シュトラウス
ポルカ「騎手」
ヨハン・シュトラウス2世
ワルツ「美しく青きドナウ」
ヨハン・シュトラウス1世
ラデツキー行進曲

クリスティアン・ティーレマン指揮,ウィーンフィル <2024.1.1>
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第1部。軽やかな行進曲に続いて演奏される『ウィ―ンのボンボン』。
ゆったりとしたテンポで優雅に進行。中間部ではぐっとテンポを落とす「ティーレマン節」が登場する。
彼の大好きな過去の巨匠へのオマージュのように聴こえるのだが、よくツボにはまっている。続く『フィガロ・ポルカ』、特に『フイガロの結婚』の引用があるわけでもなく、全然記憶に残らないポルカだ。続くヘルメスベルガーの『全世界のために』、初登場の曲だが、ひっそりと囁くように始まる淡い旋律といい、ふくよかな流れといい、シュトラウス一家とは違う、後期ロマンの空気の漂う素晴らしい作品。ヘルメスベルガー二世は毎回短い曲ばかり取り上げられるが、こんな作品があったとは。
ティーレマンの指揮は、リズムの強い打ち込みが目立つ。これがちょっと1本調子で、もうちょっとデリケートにやってほしい気がする。それは次の『ブレーキをかけずに』でも同じこと。元気だが、カチカチした感触。
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第2部冒頭の『くるまば草』では、なぜか途中でフライング拍手が起こる。珍しいことだ。曲想が変わるごとに間を取って、ゆったりと進めるティーレマンの指揮のせいかも。
『イシュル・ワルツ』はホルンとヴァイオリンが歌いかわす自然描写で始まる。第1ワルツはちょっと『レモンの花咲くところ』に似た、こじゃれた歌いまわしがいい。ウィーン・フィルの音色美が際立った演奏で、ここにきて初めて「舞踏感覚」の湧き上がりが感じられた。
ここからの「第2部」の曲目の繋がりが素晴らしい。
小鳥のさえずりを模した『ナイチンゲール』、山間に作られた水道を表現した『山の湧き水』泉繋がりの曲想をもつ『新ピチカート・ポルカ』、そしてピチカート繋がりの『イベリアの真珠』と続いていく。オーストリアの自然の風景がこれでもか、とばかりに音楽で描写されていく。なんとセンスのある選曲だろう。その流れはクナッパーツブッシュのレコードでおなじみの『ウィーンの市民』で一段落。ただこれは、ティーレマンの癖が出て、リズムの立ち過ぎた、優雅というよりは威勢のいい行進曲調になってしまった。

この日の目玉はブルックナーのピアノ曲を編曲した『カドリール』だが、いかにもこの人らしい素朴調だ。ブルックナーがこの種の曲をほとんど残していないのは、教授職にあったため、市民の歓楽の場所への出入りを禁じられていたから、と説明されていたが、そんなルールを馬鹿正直に守ったのはブルックナーくらいでは、という気がする。感想ですか?うーん、ネコパパはどうもこの「カドリール」という曲種が苦手で…
コンサートの山場はやっぱりヨーゼフ。『うわごと』だ。
ティーレマンは遅いテンポでじっくりと、交響詩を演奏するような姿勢でこの傑作を振る。中間の憂いのワルツでは、さらにもう一段テンポを落とす。さすがにこの曲ではリズムを表立って強調することはせず、スケールの大きな彫琢だ。それはアンコール曲の『美しく青きドナウ』にも一貫している。
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ただ、立派ではあるけれど、ネコパパが必要不可欠と考えている「舞踏感覚」の面では今一つ。
音楽が沸き立ち、自ら踊っているような官能的な愉悦感みたいなものが、今一つ伝わってこないな…という物足りなさは残った。
これは、一つには、録音のせいもあるかもしれない。
ORFの録り方が、いつになく、硬くてガサガサした感触の音作りだったからだ。
すでにCDが発売されている。レコード会社(Sony)の収録したサウンドは、また違うだろう。第2部全体の選曲、曲順には随分と感心したので、ネコパパとしては違う音で聴いてみたくもなるが、さて、どうしたものだろう。


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コメント

コメント(2)
拍手の中にコメントしました
何回かコメント書き込もうとしましたが、うまくできなかったので拍手に2回に分けて書き込みました。これはたぶん大丈夫。

シュレーゲル雨蛙

2024/02/01 URL 編集返信

yositaka
Re:拍手の中にコメントしました
シュレーゲル雨蛙さん
拝読しました。長文コメントありがとうございます。
二つのポイントがありました。
まずはライヴと録音。
ウインナ・ワルツの演奏はライヴでも時々耳にしていますが、これまで印象に残ったのはウイーン・フイルのメンバー8人からなるウィーン・ヴィルトゥオーゼンがアンコールでやった「青きドナウ」、それとウイーン放送管弦楽団のメンバーからなる、ウイーン・ヨハン・シュトラウス管弦楽団のコンサートでしょう。指揮はアルフレッド・エシュベ。どちらも抜群の「舞踏感覚」が聴かれました。
音盤の方はより取り見取りです。ブルーノ・ワルターは「舞踏感覚」はありますが、造形は古典派風の独自のスタイルで、オーソドックスとは言いにくい。「舞踏感覚」抜群なボスコフスキーには、流す傾向もあり、出来不出来がある。となると、私の基準はクライバー親子、クラウス、バウアー=トイスルの4人になるでしょうか。

ティーレマンはフイルハーモニアとの「運命」がデビュー盤でしたね。
そのときから、彼は頑固に同じスタイルを貫いています。一時はオペラ、オペレッタが仕事の中心でしたが、近頃はコンサート・レパートリーも増えましたね。私はオペラの仕事はほとんど聴いていないのでわかりません。
彼の得意な遅いテンポもアゴーギクも、それ自体は好きですが、ティーレマンの場合はなぜかワクワク感がないんです。
ただ今回のニューイヤー、「全世界のために」「イシュル・ワルツ」「ナイチンゲール」、この3曲だけでも大成功だと思います。もちろん絶対評価で。

yositaka

2024/02/01 URL 編集返信

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プロフィール

yositaka

Author:yositaka
子どもの本と、古めの音盤(LP・CD)に埋もれた「ネコパパ庵」庵主。
娘・息子は独立して孫4人。連れ合いのアヤママと二人暮らし。

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