ケーゲル、個性全開のライヴ録音

emo君から送られた今回の音源は、ヘルベルト・ケーゲル指揮のマーラー。いずれもライヴ録音で、この指揮者の特異な音楽をよく伝える。
 


交響曲第1番「巨人」ライブツィヒ放送交響楽団(1978.5.9)


交響曲第2番「復活」ライブツィヒ放送交響楽団エリザベート・プロイル()アンネリーゼ・ブルマイスター()ライプツィヒ放送合唱団(1975.4.14)
交響曲第3番 ドレスデン・フィルハーモニー管弦楽団ヴィオレッタ・マジャローヴァ(A)ドレスデン少年少女合唱団1984.3.25
レーベル WEITBLICK
 
 

ケーゲルの音楽は、「鋭利な強烈演奏の数々と、ピストル自殺というあまりにも凄惨な亡くなりかたをしたためもあってか、猟奇的なまでの個性派と見られがち」(「ベートーヴェン交響曲全集」HMVレビュー)
しかし聴いてみると、多くはシャープで透明感あふれる繊細な演奏という印象の方が強い。
 
しかしこれらのマーラーは、個性全開の演奏だ。
特に印象的なのが、ティンパニの生かし方。
最強打から弱音まで、変幻自在の演奏で曲をえぐる。第1番の第4楽章、第2番の第1楽章、第3番の第1楽章などで、ぞっとするほどの恐怖感を引き出している。
楽器から不気味な響きを引き出すのも巧み。
第3の第4楽章のような、静かな語りの音楽ですら、時に管楽器の異様な響きが聞こえてきて、浄化に向かおうとする音楽に激しく抵抗する。
一方、第2の終楽章後半などの天国的な色調の部分では、歌い方もどこかくぐもっていて、敢えてよそよそしく演奏しているかのようだ。
 
先入観もあるかもしれないが、指揮者の厭世的な人間観を反映した「暗黒の音楽」と言えばいいだろうか。
最晩年の記録である第3番の終楽章だけは、繊細な美しさがひときわ光るのだが…。
 
ライプツィヒ、そしてドレスデン。

どちらのオーケストラも、所々で起こる破綻をものともせず、ケーゲルの特異な音楽に共感し、厳しい要求に応えて演奏していることに驚く。
あの、今世紀の暗黒時代と言えるような東ドイツという国家の重圧感が、このような音楽を生み出したのかもしれない。

録音状態は第2、第1、第3の順に良い。第3は最も新しい記録だが、フォルテでやや音がつぶれ気味の部分もある。それでも全体として非常に高い水準で、会場の臨場感が伝わってくる。
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Author:yositaka
子どもの本と、古めの音盤(LP・CD)に埋もれた「ネコパパ庵」庵主。
娘・息子は独立して孫4人。連れ合いのアヤママと二人暮らし。

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