「ガス人間第1号」舞台版


先月テレビで放送されたものを録画視聴。
まさかこの作品が「舞台上演」できるとは!

私、ネコパパは大の「怪獣映画好き」少年だった。
中でも、東宝作品の、粘っこい蒸し暑さが伝わるような、暗くて怪しい雰囲気が好きだった。


ところで、近頃「アバター」というアメリカ映画が話題を呼んでいる。
テレビでその一部を見る機会があったが、
最近のCG画像の表現は素晴らしく、
異星の生物などもリアルに視覚化している。
しかし、こういう画像、昔の東宝映画に出てくる怪獣映画のような愛着や親近感がネコパパには感じられない。


「どうして?」ときくアヤママに
「それは、怪獣に体温があったからだよ」
「人が入っているからというんじゃなくて、生き物としての感覚が伝わるというのか…」
と弁舌するネコパパである…


この舞台のもとになっている映画「ガス人間第1号」は、怪獣こそ出ていないが、そんな雰囲気が濃厚な一作。
怪人と美女の哀しい愛を描いたもので、昭和35年の東宝作品だ。
ガス化して強盗殺人を繰り返すガス人間・水野にたいして、おそれおののく人類。自衛隊まで出動して対抗する。
まさに当時の怪獣映画そのものの状況設定だ。
ガス人間(土屋嘉雄)は、愛する日本舞踊の師匠(八千草薫)の貧窮を見かねて、ひたすら彼女に貢ぐために悪事を尽くすのだが…。

舞台版では、これが現代の設定に変わり、ヒロインも歌手に、犯罪も連続殺人事件に模様替えをしているが、基本的な設定に変化はない。
テレビ画面を見る限り、60年代の空気が色濃く残っている。
作品自体の持つ「まがまがしい怪しさ」はまさにあの時代のものだからなのだろう。演出にも、携帯電話を巧みに生かすと思えば
当時の映画音楽を多用したりして、空気の再現に努める。
だったら、敢えて設定を現代にしなくても…と思わなくもない。

しかし、ガス化の演出など、舞台でよくここまでやったな、と感心させられるし、登場人物の性格が際立つ会話のやり取りもとても気がきいていて、100分があっという間だった。


それにしてもよくよく考えてみると、このストーリーは「東宝怪獣映画」だなあ。
監督本多猪四朗、特技監督円谷英二。まさに黄金の怪獣コンビだから当然かもしれないが…。


モスラ、ラドン、ゴジラ、いずれも無意味に人類を襲うのではなく、彼らにとって必要な何か、あるいは守るべき、戦うべき何かのために、町を強襲し、人々を恐怖に陥れたのだ。
その「何か」も多くの場合、もうひとつの怪獣だった。
この物語のヒロインだって、そうしてみると「怪獣」である。

怪獣とは、なにか。
それは求め続けて得られない、あるいはともに滅びるほかはない、はかない夢のひとつの姿である。



舞台「ガス人間第1号」

製作:東宝 1960年「ガス人間第一号」より
原作映画脚本:木村武
脚色・演出:後藤ひろひと

出演:配役
高橋一生:橋本(ガス人間)
中村中:藤田千代=フジチヨ(歌手)
中山エミリ:甲野京子(雑誌記者)
三谷昇:老人
山里亮太(南海キャンディーズ):田宮(ガス調査員)
後藤ひろひと:紋太(音楽プロデューサー)
渡邉紘平:田畑(刑事)
水野透(リットン調査団):戸部(編集長)
悠木千帆:川崎(記者)
水野久美:久子
伊原剛志:岡本賢治(刑事)

会場/日比谷・シアタークリエ
2月26日(金)22時34分
NHK教育テレビ「芸術劇場」で放映。

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yositaka

Author:yositaka
子どもの本と、古めの音盤(LP・CD)に埋もれた「ネコパパ庵」庵主。
娘・息子は独立して孫4人。連れ合いのアヤママと二人暮らし。

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