レコードとクーヘン


大須のH堂が中古レコード店の新装開店をするというので、出かけてみた。
お目当ては、開店記念の景品のバウムクーヘン。
私、ネコパパはこれに目がない。
レコード店でバウムクーヘンというのは、ご覧のとおり、なかなかお似合いだ。

帰宅して、妻アヤママと二人でいただいた。ふかふかした食感で、独特の味がした。

さて、当然ながら、景品だけもらって帰ってくるわけもない。何枚か買って帰ることになる。
まさに店の思うつぼだ。

開店記念のサービスなのか、思わず手に取りたくなる掘り出しものがいくつか、あった。


アンドレ・クリュイタンス指揮パリ音楽院管弦楽団のラヴェル、管弦楽曲全集。
国内エンジェルだが、オリジナルデザインの古いもの。
四枚セットで、重量盤で音もしっかりしている。一枚目の『ダフニスとクロエ』全曲から、すっかり引き込まれ、四日続けて一枚ずつ聴き進んだ。エレガントという言葉がこれほど似合う演奏もないだろう。
一つ一つの楽器の音色がとにかく美しい。音に意味がある。

ルドルフ・ケンペ指揮ミュへン・フィルハーモニー、ブラームスの交響曲第四番。
ケンペ最晩年に録音された全集の一枚。
驚いた。
冒頭の魅惑の主題をいつくしむようにテンポを動かして歌い出す。
響きは透明繊細。最近よく行われている小編成での演奏に聴かれる、室内楽的と言ってもいい演奏だ。
以前にも聴いたことがあるのに、この清流の流れるような、斬新さには気付かなかった。
全四曲、あらためて聴き直さないと…

同じブラームスの交響曲第三番。こちらはカラヤン指揮ウィーン・フィルのデッカ・ロンドン盤。
この指揮者には珍しいほど、初めから終わりまで熱さと力にあふれた演奏ぶりで、これまた驚かされた。
50年代終わりから60年代初めにかけて行われた、一連のデッカ・セッションの中では、ドヴォルザークの交響曲第八番と並ぶ傑作ではないかと思う。

そして、ハインツ・レーグナー指揮、ベルリン放送交響楽団、シューベルトの交響曲ハ長調『グレート』
レーグナー独特の、角のとれた柔らかい音色で、ゆったりと奏でられる序奏から、温かく、隅々まで歌い込まれたシューベルトの世界が広がっていく。

これは1978年録音、翌79年に発売。レーグナーがデンオンレーベルに録音した唯一の作品。世界で初めて実用化したデジタル録音の優秀さをアピールするためか、各楽章一面ずつ、二枚に収録されている。
贅沢で、大胆な企画だ。アナログレコード黄金時代だからできた企画だろう。


アナログレコードで聴くと、CDでは気付かなかった演奏の良さを再発見することが多い。
それは「音がよりよい」ということではなくて、やはり集中できるからだろう。
ターンテーブルが音盤を回し、その音溝を針がトレースしていく。
片面20分の濃密な時間が生まれる。
それだけで、ひびく音に注意深く耳を傾ける姿勢が生まれる。
人と音楽の付き合いは、本当に微妙で、不思議だ。

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プロフィール

yositaka

Author:yositaka
子どもの本と、古めの音盤(LP・CD)に埋もれた「ネコパパ庵」庵主。
娘・息子は独立して孫4人。連れ合いのアヤママと二人暮らし。

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