「声の郵便」の記事ですが、ネコパパの興味は別の方に。

朝日新聞週末版BE2023.4.1掲載記事。
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1952年12月17日の『サザエさん』を題材に、当時行われていた「声の郵便」という郵便局の事業を紹介した記事です。郵便局で3分間収録して、値段は80円だったとのこと。これ、蓄音器の時代もかなり贅沢な方法として行われていたものが、戦後はかなり一般的になったということでしょうか。
1952年12月15日に本格的に開始されたとのことですから、ネコパパ誕生の3年前です。自宅でこういうものを見た記憶はありません。磁気テープの普及までということですから、短期間だったのでしょう。

さて、ネコパパが注目したのは実は「声の郵便」ではありません。
マスオが遊びに行った同僚宅に置いてある「小型のすばらしいデンチク」です。
2コマ目から4コマ目までを拡大して引用。
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1952年という時期はまだ国内ではSPレコードが生産されていた時期です。一般的に「電蓄」とは、SP盤を掛けるものという理解だったのではないでしょうか。
ところがこの同僚氏の「デンチク」どう見てもSP盤のかかる仕様とは思えません。といって、LPもかかりそうにない。どうもこれ、よくみると、真ん中に太い円柱のようなスピンドルが。ということは、ドーナツ盤専用機なのです。しかもオートチェンジャー機構付きで、数枚のレコードが自動で掛けられる優れものです。

当時このタイプを製造していたのは、米RCA。

かけられるのは、片面1曲のシングル盤か、片面2曲もしくは10分収録のEPか。
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しかし、ですね。
日本で最初に33回転のLP盤が日本コロムビアから発売されたのは1951年(昭和26年)3月20日で、曲はベートーヴェンの第9交響曲(ブルーノ・ワルター指揮ニューヨーク・フィル)でした。
一方、45回転のドーナツ盤の国内発売は、LPよりも遅くて1954年の3月。
アメリカでは、1949年にビクター、1951年にコロムビアが発売開始していたので、ことによると輸入盤なら手に入ったのかもしれませんが…
同僚氏の持っていた「ショパン」のレコードは、はたして…何だったんでしょうね。

この漫画では、もうひとつ面白いことがあります。
「かけるよ」
「オーケイ」
のやり取りの時のマスオの姿勢。胡座をかいた足に肘を立てて、眉間に手をやる「鑑賞ポーズ」。
かっこつけてますねえ。当時の教養主義的なレコード鑑賞の気分が、とてもよく出ていて、思わず笑ってしまいました。

電蓄の写真はこちらのブログからの引用です。
オートチェンジャーで作動する雄姿も見ることができます。
動画もありました。残念ながらショパンじゃないけれど。


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コメント

コメント(2)
サザエさんは良いなぁ。
なるほど、声の便りというものがあったんですね。
当時80円、今だったら1500円くらいでしょうかね。

サザエさんは、時代が窺えて面白いです。
マスオさんはヴァイオリンを嗜む人ですから、クラシックは好きなのでしょう。

不二家憩希

2023/04/02 URL 編集返信

yositaka
Re:サザエさんは良いなぁ。
不二家憩希さん
ネット検索するとマスオさんは早稲田大学の出で、学生時代にヴァイオリンをたしなみ、絵画の心得もあるとか。「ショパンあるかい」のセリフも決まる、当時の中流階級青年の教養主義を体現する人物設定だったのですね。
ただし、腕の方はいまいちとか。
アニメキャラとしては「ドラえもん」のしずかちゃんとともに「二大迷ヴァイオリニストと言われているそうです。

yositaka

2023/04/02 URL 編集返信

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yositaka

Author:yositaka
子どもの本と、古めの音盤(LP・CD)に埋もれた「ネコパパ庵」庵主。
娘・息子は独立して孫4人。連れ合いのアヤママと二人暮らし。

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