ちょっと事情があって、家にあるショパンのSP盤をチェックしたり、お値打ち盤がないかとネットを眺めたりしている。そんな中で見つけたのがこのセット。
ショパンのピアノ協奏曲第2番のSP盤である。
ショパンのピアノ協奏曲はLP時代の昔から両面に1曲ずつというのが多く、ここで弾いているアルトゥール・ルービンシュタインの、その組み合わせはベストセラーになっていたはずだ。
しかしネコパパはあまり関心がなく、CD時代になっても特別にこれらの曲を求めて買った記憶がない。
そもそも、ネコパパは、ショパンにあまり関心がなかった。ほとんどピアノ曲しか書かなかったショパンは、オーケストラ中心のリスナーにとっては、どうしても後回しになる。
良い曲、いいメロディの作り手、というのはもちろん知っていた。
ラジオやTVから流れてくれば聴くし、聴いたら聴いたで、それなりに楽しめるし、ピアノ協奏曲も、ショパン・コンクールが世の中の話題になるにつれて自然と聴く機会が増えてきた。
ただ、ショパンの本当にいい曲というと、どうだろう。ホロヴィッツやリヒテルの弾く『幻想ポロネーズ』や『舟歌』、それに何番だったか『遺作のノクターン』…きっと掛け値なしの傑作で、ネコパパが知らない曲がまだまだ、あるのだろう。ショパンの曲は、第〇番という通し番号があやふやで、覚えられないのも、苦手意識の一因になっている。
でも、ディヌ・リパッティを聴くには、ショパンを聴かなければならない。
もっとも敬愛するピアニストのバックハウスも、ショパンは演奏している。もちろん、コルトーも…という具合で、あくまで演奏者への関心から聴いてきた。
協奏曲だって、指揮者がスクロヴァチェフスキだったら、それを興味に聴く。
ネコパパの偏った趣味はどうでもいい。SP盤の話だ。
妙なことだが、SP時代には、ショパンの協奏曲の録音はほとんどなく、少ない録音でも、どちらかと言えば2番が人気だったという。確かにオークションでもあまり見ない。例の平林本によると、世界初録音は、1番はブライロフスキー(1928年)、2番はマルグリット・ロン(1930年)とのこと。どちらも、電気録音以降のものである。
ネコパパが落札したのはルービンシュタイン。
バックはウィリアム・スタインバーグ指揮NBC交響楽団。1947年カーネギー・ホールでの録音とのこと。戦後盤なのだ。
ルービンシュタインは1936年にもジョン・バルビローリ指揮ロンドン交響楽団とも録音していて、昔、やはり第1番と裏表で「セラフィム・コレクターズ・ソサエティ」という1000円盤LP、EAB-5007で出ていた。このビクター盤は2度目の録音、ということになるのか。
演奏時間およそ30分。LPなら片面に入る曲が、SPだと4枚7面という「組物」になる。しかも、この盤はビクター「赤盤」という価格の高いやつだ。盤にもジャケットにも「RED SEAL」と書いてある。当時のファンは、入手には決断が必要だっただろう。
余白の8面には、ルービンシュタインのショパン「子守歌」が収録されている。趣味のいいアンコールだ。
聴いてみると、すごい大音量で収録されている。ピアノもオーケストラも限界ギリギリの音圧。
ルービンシュタインのピアノがパワフルで生々しい。しかし第2楽章では、存分に抒情的に歌わせる。これぞまさに、聞かせどころを心得た演奏と言えそうだ。
昔からネコパパは、絵層効果抜群でメロディの良さも際立った第1番よりも、幾分内向的な一面も見せた第2番の方がいいと感じてきたが、ルービンシュタインで聴くと2番だって存分に演奏効果華やかで、ちょっと、第1番寄りの解釈かもしれない。みんなで集まって、楽しみながら聴くには、むしろこういう演奏の方がいいかも。
それと、届いたあとで気付いたことだが、面割りはオートチェンジャー仕様になっている。複数枚のレコードを自動的に掛けていくという、電気蓄音機が普及して以降の技術だが、説明はちょっと難しい。
まず表面をぜんぶかけて、4枚目の裏が第5面。それから逆に裏面を掛けていく。
いつもの癖で、1面を聴いた後で裏をかけると、最終面の「子守歌」になってしまうからご用心。LP時代に入っても、アメリカ盤の組物はこの仕様が多いから、注意が必要。SPは枚数が多いから、ますます面倒だ。
同じ音源がYouTubeにもアップされているけど、これは明らかにデジタルの音。でも年代のわりに優秀録音なのは確かだ。
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