名古屋市民管弦楽団の「シェエラザード」。

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久しぶりの愛知芸術劇場。名古屋市民管弦楽団にはファンが多くて、コロナ前は開演前から長蛇の列で会場は満員、というのが普通だったけれど、今回は3階席から眺めたところ6割の入り、といった感じだ。名古屋人は秋っぽいのか、それとも用心深いのか。

このオーケストラは個々の技量と楽器間の分離の良さではプロはだしではないかと感じる。そして指揮者との相性が良いと熱演になる。いつぞや、新田ユリがシベリウスの交響曲第1番を演奏した時なんか、あまりの熱演にすっかり興奮したネコパパ、2階バルコニー席から身を乗り出し過ぎて腰痛になったくらいだ。でも今回は三階正面で、やや遠いがオーケストラ全体が良く見渡せる席だったので安心だ。ちなみにチケットは頂き物で座席は指定。

指揮者の井崎氏は恰幅の良い長身で、燕尾服がよく似合う。仁王立ちでビシッとした後ろ姿が朝比奈翁を思い出させた。

最初のボロディンの第2交響曲が始まる。
悲劇的な主題と軽妙なリズムの対比が面白い音楽だが、響きは滲みがちでキレがなく、アレレと思わせたが、第2楽章以降は気にならなくなる。でも、これは良い曲、と感じさせるほどではなかった。しっかりと書かれているけれど、ボロディンの曲としては「だったん人の踊り」や「ノクターン」のようなメロディの魅力はそれほどなく、つかみどころがない曲という印象は変わらない。

けれども幸せなことに、『シェエラザード』は出だしから好調だった。
慎重に薦める第1楽章で、アンサンブルのまとまりが戻ってきていると思ったが、第2楽章以降はこれに自在な緩急の変化が加わる。管楽器の音も伸ばしたり縮めたり、溌溂としていて面白く、第3楽章のたっぷりとした歌い方も魅惑的だ。そしてフィナーレでは金管と打楽器の地響きのような高鳴りが胸をときめかせる。ヴァイオリン・ソロを弾く女性コンマスも繊細さと濃厚さを弾き分け、素敵なシェエラザード役を演じていた。
ネコパパは『シェエラザード』は好きで、特に音の遊びに満ちた第2楽章と、豊麗な旋律美に浸る第3楽章が聴きどころで、描写重視のフィナーレはやや皮相だと思っていたけれど、今回の演奏ではフィナーレがちゃんとまとまった音楽として聴こえてきた。井崎氏の曲の掴みが深いのだと思う。

アンコールは同じリムスキー=コルサコフの『スペイン奇想曲』から、第4曲「ジターンの情景と歌 」が演奏された。
これもヴァイオリン・ソロが活躍する『シェエラザード』とよく似た、色彩感あふれる音楽で、コンサートの締めくくりにはぴったりだった。

ところで近頃、終演後のロビーで、アンコール曲名が張り出されるのを見ないのは、なぜだろう。コロナ対策だろうか。密集を避けるため?今回は指揮者が曲名を言わなかったので、気になっている人もいると思う。あれ、個人的には楽しみなので復活させてほしい。

最後に、ネコパパが日頃好んで聴いている『シェエラザード』のディスクを紹介しよう。
順不同。何しろ曲がよく書けているから、演奏をあれこれ言う気になれない。どれをお聴きになっても楽しめます。カラフルなジャケットも多くて、見て楽しむ面白さも。

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コメント

コメント(2)
アンコールの曲名
 確かに最近のコンサートのアンコールはロビーでの張り出しがありませんねぇ。ここ1〜2年のコンサートは本当にそうです。たまに、コンサート後にそのオーケストラのHPをチェックすると書き込みがされていることもありますが、ほとんどはそういうことも無いです。また、以前は賑やかな曲のアンコールが主流でしたが、最近はクールダウンさせるつもりか静かな曲が演奏されることが多いような気がします。ただ、これでは金管のメンバーがただ座っているだけのことが多いのでかわいそうな気もします。

 また、この1年に限ってはなぜかエルガーのエニグマから「ニムロッド」をチョイスするコンサートが多く、3回も立て続けに聴きました。まあ、この曲はまだ金管が少しは活躍しますから良いのですが、何かブームでもあるんでしょうかねぇ。個人的にはこの日は家内と別のコンサートに出かけて聴けていませんが、井崎正浩氏は最近聞いた中では注目の指揮者です。といっても、第8回の「ブダペスト国際指揮者コンクール」優勝者ですから実力はある人なんですけどね。

geezenstac

2023/02/12 URL 編集返信

yositaka
Re:アンコールの曲名
geezenstacさん

やはりそうでしたか。
かつてはアンコール曲はいきなり演奏して、そのままだったのが、いつの間にかロビーに張り出されるのが定着して、それからさらに、指揮者が曲名を伝えてから演奏することが多くなりました。同時に張り出すのもやめたのか…いや、曲名を伝えた場合も、念には念をいれてロビーでも張り出される時期もありました。とすると、やはり張らなくなったのはコロナ禍が原因でしょうか。第5類とやらに政策転換すればまた元にもどるんでしょうか。アンコール曲は耳に馴染むいい曲が演奏されるので、ぜひタイトルも知ってほしいと思っています。

「ニムロッド」はTVドラマ版『のだめカンタービレ』で多用されたおかげで定着した気がします。あの部分だけ聴いてもいいけれど、「エニグマ変奏曲」自体も傑作なので、もっとプログラムに載せてほしいです。

井崎正浩氏、多彩な変化をオーケストラに要求していて面白いと思いました。これから注目していきたい指揮者です。ブダペスト指揮者コンクールは小林研一郎氏が優勝したコンクールなんですね。あと、本名徹二氏も。

yositaka

2023/02/13 URL 編集返信

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プロフィール

yositaka

Author:yositaka
子どもの本と、古めの音盤(LP・CD)に埋もれた「ネコパパ庵」庵主。
娘・息子は独立して孫4人。連れ合いのアヤママと二人暮らし。

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