年末の贅沢


12月某日。

娘・店長、息子・銀鼠君、帰省。
そこへ、友人のsige君とemo君も来訪。

にぎやかな年末だ。
年よりくさい言い方だが、雑談、音楽談に、大いに笑って年を越せるという幸福。

注文しておいた音響機器が、ちょうどその日に届いたのも幸運だ。
ここ数カ月、アナログ再生に不調続きだったプリメインアンプ。安物買いを旨とする私にしては、ちょっとだけ贅沢をしてしまった。
エージングで本当の音が出てくるのは、まだまだこれからだが、
いままでにない克明さと太さで音が出てくる。期待以上。

前日、その受け入れ準備のために、狭い部屋をひっかきまわした。
オーディオラックを組み立て、そのスペースを確保するために
机をどかし、ほこりを払い、積み上げられた本や
ディスクの山をどけたりしていると、
冬日なのに汗が出て、ひねった腕や腰の節々があちこち痛くなったりした。
ものぐさな私は、こういう作業が嫌いで、いつも妻には呆れられている。
でも、今回はやった甲斐があったな。


おしゃべりを楽しみながら、次々にCD、LPをとっかえひっかえ聴いた。



ズデネク・マーツァル指揮チェコ・フィルハーモニー管弦楽団
マーラーの交響曲第6番『悲劇的』
そして第2番『復活』

オットー・クレンペラー指揮フィルハーモニア管弦楽団
ワーグナー『ニュルンベルクのマイスタージンガー』前奏曲
モーツァルト『魔笛』『ドン・ジョヴァンニ』『皇帝ティトゥスの慈悲』序曲

朝比奈隆指揮大阪フィルハーモニー交響楽団
ブルックナー 交響曲第8番、第三楽章

エルネスト・アンセルメ指揮スイス・ロマンド管弦楽団
ドビュッシー『夜想曲』『月の光』
ラヴェル『ダフニスとクロエ』
ドビュッシー『聖セヴァスチャンの殉教』

ヘルベルト・ケーゲル指揮ドレスデン・フィルハーモニー
ベートーヴェン エグモント序曲  交響曲第6番『田園』

ジョン・コルトレーン『バラード』
ビル・エヴァンス『ワルツ・フォー・デヴィ』

ハインツ・レーグナー指揮ベルリン放送交響楽団
マーラー 交響曲第3番



マーラーに熱中しているemo君のリクエストで、彼の交響曲をいくつも聴いた。
いろんなところから、いろんな音楽がきこえてくる。
自然や雑踏、俗と聖がないまぜになった、おもちゃ箱のような「愉しい音楽」だと思う。
マーツァルやレーグナーの演奏で聴くと、特にそうだ。
彼らの演奏するマーラーは、尖鋭的ではない。血の通った温かい音楽。

アンセルメの『ダフニスとクロエ』では、日本盤の初期盤と70年代の再発「ベリーベスト盤」を聴き比べた。
その音質差が大きいのには驚かされた。良し悪しはともかく、ほんとうにまるっきり違う音だ。
60年代の音は、多少の破綻や音の荒れが生じようとも、入るだけ入れてしまおうという音。
70年代の音は、すっきりときれいに、音量レベルに余裕を持たせ、ノイズも取り除いて聴きやすい音にまとめている。
こういうことに関心を持ちすぎると、マニアの(悪の)道が待っているのかもしれないが、それぞれの時代、作り手、聴き手がどんな音を望んだのかがわかってくる気がして、面白い。

クレンペラーのモーツァルトは、交響曲の広がりを持った序曲。しかし木管をつねに前面に出した音のバランスが、モーツァルトらしい魅惑を存分にきらめかせる。

コルトレーンとエヴァンス。
いつ聴いても新鮮そのものだ。『ワルツ・フォー・デヴィ』のスコット・ラファロのペースも、なかなかリアルに迫ってくる。

emo君がヴィオラの音を聴いてみたいと要望。
うーん、と考えて取りだしたのは

グリュミオー・トリオに二人の奏者が加わった演奏で
モーツァルト 弦楽五重奏曲ト短調k516

弦楽四重奏にヴィオラを増強しただけあって、あの悲痛なテーマもヴィオラが奏でる。
スピーカーから距離を取ると、五人の奏者の位置も分かって、「ここはヴァイオリン」「これはチェロ」と、言い当てながら聴く。数人がかりでないとできない、遊びだ。学生気分の。

機器選びのために、ここしばらく大須や駅前のその筋の店に出かけて、冷やかし歩いていた。
大須の老舗、N無線の老店員が、客に話していた言葉がある。
「確かにいい音を聴こうと思えば、オーディオ機器は値が張ります。でも車を買うと思えばけっして高くはありませんよ。それに、車と違って、ガソリンはいらず、車検もありません…」
なるほど、と納得しながらその場を通り過ぎたのだが、いや、まだ話は続くな…

しかも、車よりももっと早く、もっと遠くまで連れて行ってくれるんですよ。パリにも、ウィーンにも、ニューヨークにもね。
場所だけじゃない。時間だって、一瞬で移動できる!


sige君にその話をしたら、あっさり返された。
「たしかにその通りだ。でも、大きな問題もあるな。そのすごい車は、たいてい、一人乗りだってことだ…」

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コメント

コメント(2)
No title
やあ、yositakaくん!ご家族揃ったところへ友人の押し掛け(笑)・・・せわしなくも楽しかった様子が伝わってきます。
emo君のviolaリクエストに応えて、すぅっと最適なものをセレクトしてくる(大量の音源所有だけでなく、その知識の豊富さ!)君の姿が浮かんでくるようです(笑)それとちょっといいプリアンプを仕入れたようで、その音の進化も楽しみですね。
そのオーディオ店老スタッフのお勧めセリフ~なかなか説得力ありますね(笑)どんな機械・機器もそれをどこまで使い倒すか(結果として)・・・にその価値があるわけで、いいオーディオも一生モノと考えれば、クルマと比較したそのスタッフさんの言葉も当たってますよね。ただ・・・クルマ同様、オーディオにも故障がありますから(笑)いや、なんにしても、音楽というのは、いいものですね。
yositakaくん、よいお年を!

bassclef

2009/12/31 URL 編集返信

No title
さっそくのコメントをありがとう。
ずいぶん迷ったのですが、自分の生活には必要かな、と考えて決めました。
心配だったアナログも、なかなかしっかりと再生できそうなので一安心です。
sige君からは豊橋で開催されたオーディオマニアの集いの話も耳にしました。プレーヤーの回転数が、実は間違っていて、凄いハイ上がりの音。なのに、みんな腕を組んで真剣な顔で聞き入っていたということです。男の趣味の本質があらわれたエピソードで思わず苦笑しました…。
2010年、本当に良い年にしたいですね。来年も活発に交流できるといいな。よいお年を。

yositaka

2009/12/31 URL 編集返信

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プロフィール

yositaka

Author:yositaka
子どもの本と、古めの音盤(LP・CD)に埋もれた「ネコパパ庵」庵主。
娘・息子は独立して孫4人。連れ合いのアヤママと二人暮らし。

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