危うし!大阪国際児童文学館


児童文学書評のサイトで、大阪国際児童文学館の危機を知った。

訪れたのは一度きりだが、この施設の研究機関としての充実振りと価値は十分に知っている。
研究員の故 高橋静男氏と、一時間ばかり児童文学研究の現状について話し合ったのも懐かしい思い出である。
氏は「ムーミン」シリーズの作者であるトーベ・ヤンソンを自宅に泊めた ただ一人の人物。ヤンソンをはじめとした北欧児童文学研究のの第一人者であった。
「あなたの児童文学への理解はすばらしい。あすからでもうちの研究員ができますよ」
と高橋氏に言われたことは今も忘れられない。
児童文学の勉強は続けなければならない。
そう心に決め、今に至っているのである。

その児童文学館が廃止の瀬戸際だというのだ。

3月20日のasahi.com より
橋下知事 国際児童文学館「府立図書館などに集約化を」2008年03月20日
 大阪府の橋下徹知事は20日、見直しを進める府立27施設のうち、吹田市千里万博公園の国際児童文学館を視察し、「同じような機能の所に統合した方がいい」と話し、府立中央図書館(東大阪市)や中之島図書館(大阪市)などと集約化していく方向を示唆した。
 同館は84年に開館。子どもの本や資料70万点を所蔵し、子どもが本に親しむための支援・研究などの活動をしている。
 視察後、橋下知事は「通常の図書館となぜ分離しているのかわからない。児童文学を子どもに広める機能は必要。例えば府立図書館に入るとしても、そこで特徴を出せばいい」と話した。蔵書の保管などハード面の課題については「いい案はないか知恵を借りたい」とした。
 向川幹雄館長は視察後、資料のうち50万点が文学発展に貢献するとして寄贈を受けたものと説明し、「文学館だからこそ寄贈が受けられる。統合されたら受けられない」と話した。
http://www.asahi.com/kansai/sumai/news/OSK200803200035.html

ひこ田中氏を中心とするサイト「児童文学書評」から知事へのメールや署名運動の呼びかけが発信されている。
私もそれに答えて 大阪府のホームページに設置された
「知事への提言」
の欄を活用してメールを送った。
ところが長文過ぎたため通信不能。
なんとか削って送信できたが、ここでは全文を掲載しておきたい。
また署名やメールに協力していただける方は
ぜひ前記のサイトを参照していただき、参加をお願いしたい。
http://www.hico.jp/

要望 大阪国際児童文学館の存続について

大阪国際児童文学館は子どもの本や資料を所蔵し、子どもが本に親しむための支援・研究などの活動をしてきました。日本を代表する児童文学研究者 鳥越信氏の寄贈をもとにした蔵書は世界に類を見ない内容で、研究実績は欧米のそれに匹敵・凌駕するレベルを持つものです。(同程度の規模を持つ研究機関は私の知るかぎりドイツにしかありません)
日本の児童文学研究には長い歴史があり、その意味も十分に認められているにもかかわらず、文学研究としては傍流とみなされ、学問的対象として低い位置に甘んじていました。もちろん財政援助もほとんどないままに、研究者の熱意のみで維持されてきたものです。そんな中、研究分野としての価値を認め、世界的にも児童文学の価値を認めさせる一役を担ったのが当館だと考えます。
当館を持つことこそ「大阪の力量の証」と私は信じてきました。
大きく変わろうとする兆しの見える現在の児童文学(広く子どもに向けての文学的メディア)の状況を考えるとき、それを学問的に位置づけ支援し、よりよいものにしていく当館の活動は、ますます重要と考えます。
行政予算の逼迫は十分理解しますが、国や地域を支えるのは若い世代、子どもたちです。子どもの文化を支え、発展させていく「児童文学研究」は、一時の利益こそ生み出さないかもしれないが、世界に二つとない文化事業です。
これを維持することで大阪は未来を担う子どもたちに資するという最も確実な投資ができ、さらには世界に誇れる文化拠点として児童文化のリーダーシップを担うことも可能となるのです。
知事が報道のように「児童文学を子どもに広める機能は必要」とお考えになるなら、迷わず存続を決定していただきたい。
「深める」ことなしに「広める」ことはありえません。「図書館」と「文学館」の違いはまさにそこにあります。その点がお分かりにならないようでは、失礼ながら学問文化への認識に欠けていると評価されてもやむをえない。
大阪はこのような「文化への器」を大きく持つことで関東圏にない独自性を誇ることができたのではありませんか。「関西の学問的な力量と歴史的な役割」について是非勉強していただき、「大阪国際児童文学館」の灯を消さぬよう、私たちに大阪への失望感を感じさせるような施政に向かわぬよう、心から念願しています。

関連記事
スポンサーサイト



コメント

コメント(2)
No title
大阪児童文学館の記事を公開準備ちゅうです。
此方のブログ、リンクさせて貰いますね。

無回答

2008/10/09 URL 編集返信

No title
わかめさん、こんばんわ。
記事を読んでいただき、ありがとうございます。日本の誇る文学館が危機に瀕している現状を一人でも多くの方に知っていただければと思っています。
ぜひ、お友だちにもお伝えし、話題にしていただければと思います。

yositaka

2008/10/10 URL 編集返信

コメント投稿
非公開コメント

プロフィール

yositaka

Author:yositaka
子どもの本と、古めの音盤(LP・CD)に埋もれた「ネコパパ庵」庵主。
娘・息子は独立して孫4人。連れ合いのアヤママと二人暮らし。

ご訪問ありがとうございます

月別アーカイブ

検索フォーム

QRコード

QR