音質はなかなか、でも…


ブラームス:交響曲第4番ホ短調作品98

 録音:1952年 スイス・ロマンド放送

バッハ:管弦楽組曲第2番ロ短調BWV1067
 
 録音:1955年 スイス・ロマンド放送

■アンドレ・ペパン(フルート)
■スイス・ロマンド管弦楽団
■カール・シューリヒト(指揮)
■VEL3133
■スイスCascavelle
■2009年11月

音質のよさばかりが宣伝されていたので、内容はいまいちなのか?ちょっと気がかり。
でもシューリヒトの未発表録音となれば、買わずばなるまい。
音はすっきりと、きれい。
年代を感じさせない。スイス放送局の技術陣には、いつも感心する。

オーケストラから流れ出る音は個性的だ。
木管は、個々の音が大変鮮明。普段聞こえない音まで飛び出してくるのは、この指揮者の芸風でもあるが、
今回は録音のせいもある。
その木管群の音は、明るく、晴朗。でも、透明感が際立つとまではいえないのは、なんとなくギクシャクとしているせい。
ああ、スイス・ロマンドの音だな。
でも、アンセルメ指揮のレコードから聴かれる響きよりも、ずいぶんとラフだな。

ブラームスの第4交響曲では、弦のレガートな響きと、時折の大きなテンポの変化を与えていく解釈によって、聴き手が持つ曲のイメージとはちょっと違う味わいを出していく。
哀愁や過去を向いた曲想を生かすことよりも、もっと前向きな生命力がこの曲には込められている、とシューリヒトは言いたいのかもしれない。
それは、バイエルン放送交響楽団やウィーン・フィルを振った場合とほとんど変らない解釈だ。

その、解釈の鍵を握る弦が、当盤はちょっと苦しい。
ヴァイオリンの明るく厚みのない響き、背後に回りすぎる低弦というオーケストラの特徴はまるっきりそのままだが、残念ながら、その弦の反応速度が鈍い。
シューリヒトの演奏の魅力の多くは、弦の合奏の切れのよさとテンポ、音色の俊敏な変化にある。
宇野功芳の言葉を引用すれば

>皮膚感覚に訴えてくる響き

このときのスイス・ロマンド管弦楽団の音には、残念ながらそれが感じられない。
指揮者の覇気が不足したのか、それとも、技術的に苦しかったのか…

バッハの組曲第2番になると、アンサンブルはさらに不安定に聞こえる。
けれども、私には、この方がブラームスよりもおもしろい。会場雑音もあり、たぶん本物のライブだろう。
シューリヒトはバロックの様式などに見向きもせず、思い切り豊かな響きを追究している。わくわくするような楽しさが伝わってくる。
同曲では、フランクフルト放送交響楽団を指揮したスタジオ録音盤(コンサートホール盤)もあるが、
完成度はともかく、より楽々と音楽をしているのはこのライブ盤だろう。

決して名盤ではないが、シューリヒトの日常のひとこまを伝える記録として、価値は十分だ。

それにしてもスイス・ロマンドとは、なんと個性豊かな、愛すべきオーケストラだったのだろう。本気の力を出したライブも
聴いてみたいな。

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yositaka

Author:yositaka
子どもの本と、古めの音盤(LP・CD)に埋もれた「ネコパパ庵」庵主。
娘・息子は独立して孫4人。連れ合いのアヤママと二人暮らし。

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