心に歌があふれる


4月某日
息子の所属する合唱団の発表を聞くために京都へ出かける。
息子は大学2年で、自称クリエーター志望であるが、
合唱にも熱中。
将来の方向性が見えぬと苛立ち顔の母親の心配をよそに
悠々と学生生活を満喫しているようだ。
さてコンサートは「Uふれあい文化会館」という会場で行われた。
老人福祉施設をかねた場所のようで、
市街地から少し外れた静かな場所にあり、
周囲の広い緑地でははゲートボールを楽しむお年寄りが集っていた。
コンサートの客席も多くがこの施設を日ごろ利用しているお年寄りたちである。

演奏された曲目は
最初が男声合唱で船乗りの歌を集めた「Sea Shantes」
二曲目は女声合唱で 新川和枝 詩 木下牧子 曲「わたしは風」
最後が混声合唱で ポップス曲を編曲した「Fly!Fly!Fly!」

卒業生を送リ出した後ということで、人数も少なくなり、全体に地味な印象。
「わたしは風」は、大好きな詩「わたしを束ねないで」を含む曲集で
大いに楽しみにしており、確かに全曲のクライマックスとなっていたのだが、
曲想が元気がよすぎてイメージとはだいぶ違った。
さらに気になるのは、重要な部分である第四節が省略されていることだ。
なぜだろう?
他の作曲家もこの詩には曲をつけているので、比べてみたい。

最も楽しめたのは第三ステージで、私服に着替えたメンバーたちが振り付けを交え、
交互にソロを取り、
歌を楽しむ雰囲気をあふれさせていた。
バスパートを歌う息子の表情もよかった。
彼は合唱に取り組むことで
見えるもの見えないもの、多くのものを吸収していると感じることができる。

あたたかなコンサートであった。

ところで第三ステージの曲の中に『Fly Me to the Moon』があって
指揮者は「宇宙開発の盛んだった60年代を代表する曲」と紹介していた。
そうだったかな、と思い調べてみた。
もともとは曲名も違い(In other words)、作曲年代も古いのだが、1656年にこの題名でヒットし、
62年のフランク・シナトラによるヴァージョンでさらに広く名を広めたという。

シナトラがこの曲を発表した1960年代、アメリカ合衆国はアポロ計画の真っ只中にあって本当に「月に連れて行って」貰えるのは非常に近くまで迫っている未来の出来事であった。そのため『Fly Me to the Moon』は一種の時代のテーマソングのように扱われ、これがこの曲のヒットにつながった。実際に1969年、アポロ11号によって人類は(ほとんどの人々にとってはテレビ画面越しではあるが)「月まで連れて行って」もらうことに成功する。(フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』より)


Fly me to the moon (Bart Howard)

Intro:
Poets often use many words to say a simple thing.
It takes thought and time and rhyme to make a poem sing.
With music and words I've been playing.
For you I have written a song
To be sure that you'll know what I'm saying,
I'll translate as I go along.

Fly me to the moon
Let me sing among those stars
Let me see what spring is like
On Jupiter and Mars

In other words, hold my hand
In other words, baby kiss me

-以下略

シンプルなことを伝えるため 詩人は言葉を吟味する
思いを時とリズムに乗せて 歌いあげる
なら 歌ってみましょう 調べに言葉をのせて
あなたのための歌を
きっと伝わるでしょう わたしの想いが
歌い進むほどに はっきりと

わたしを月へ連れていって
星の間で歌わせて
見せてよ 木星や火星の春を

言い換えると 手を握って
言い換えると キスして

わたしの心に歌があふれる
いつまでも歌わせて
あなたは待ち焦がれた わたしのすべて
ふたつとない大切なもの

どうか 本当のことにして
言い換えると アイ・ラブ・ユー


「星への旅」を「本当のことにする」
これこそ「あなたへの愛」

まさに時代を象徴する歌だったに違いない。

アニメ「新世紀エヴァンゲリオン」でも象徴的にこの歌が使われているのだが
その意味づけは、いまだよくわからない。

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コメント

コメント(2)
No title
こんにちは~!なんとなく、立ち寄りました~。

taku

2008/04/28 URL 編集返信

No title
ありがとう。また見てください。

善高

2008/04/29 URL 編集返信

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プロフィール

yositaka

Author:yositaka
子どもの本と、古めの音盤(LP・CD)に埋もれた「ネコパパ庵」庵主。
娘・息子は独立して孫4人。連れ合いのアヤママと二人暮らし。

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