追悼 ネルソン・フレイレさん

ブラジルの名ピアニスト ネルソン・フレイレ(1944年10月18日 - 2021年11月1日)氏が亡くなられたそうです。心よりご冥福をお祈りいたします。
以下、タワーレコードから引用。

ブラジルのメディアによると、ピアニストのネルソン・フレイレ氏が11月1日未明にリオデジャネイロ市の自宅で亡くなりました。77歳でした。謹んでご冥福をお祈りいたします。
3歳でピアノを始め、傑出した才能で12歳にして当時の大統領からウィーン留学奨学金を得て、ブルーノ・ザイドルホーファーとステファン・アスケナーゼに師事。1964年リスボンのヴィアンナ・ダ・モータ国際コンクールに優勝。1968年ロンドン・デビューし、国際的な知名度を獲得。1969年にアメリカへビューし、1971年には初来日しています。ドイツ古典派やロマン派を中心に自国のヴィラ=ロボスまで、レパートリーは広く、繊細な表現力で「20世紀で最も偉大なピアニスト」の一人と称されました。
(タワーレコード)

デビュー当時は「ネルソン・フレーア」と呼ばれていました。ルドルフ・ケンペ指揮ミュンヘン・フィルと録音したグリーグとシューマンのピアノ協奏曲のレコードがあって、これはなかなか好きでしたが、どちらかというと、伴奏に耳がいっていたようにも。
8_202111301337041c4.jpg
その後「フレイレ」と呼ばれるようになり、アルゲリッチとの共演でバルトークの「2台のピアノと打楽器のためのソナタ」や「動物の謝肉祭」などにも参加していました。聴くには聴いていたのですが、ピアノの音楽が不如意なネコパパには今一つの存在感でした。

ところが、たまたま入手していた「デッカ・サウンド」というボックスセットの中に、フレイレがバッハを演奏した一枚が入っていて、これが美しかった。
冒頭の「パルティータ第4番」から、タッチの明瞭さと、鍵盤上を飛び跳ねる趣から紡ぎだされる音楽の豊かさと、しみいるような情感をたたえた弱音に、すっかり魅了されました。
選曲が素晴らしくて、マルチェロのオーボエ協奏曲第2楽章を編曲した「アダージョ」も入っていて、締めくくりは「主よ、人の望みの喜びよ」。こういうのを聴くと、やっぱりバッハの鍵盤曲はピアノ演奏でないと…とますます思い、真っ先に手が出る一枚になりました。
いつの年だったか、恒例の「元旦バッハ」の一枚に選んだこともあります。
6_202111301329405bb.jpg
『ネルソン・フレイレ~J.S.バッハを弾く』

J.S.バッハ:パルティータ第4番ニ長調BWV.828, トッカータ ハ短調BWV.911, イギリス組曲第3番ト短調BWV.808, 半音階的幻想曲とフーガ ニ短調BWV.903, 協奏曲ニ短調BWV.974(原曲:マルチェッロ)より第2楽章
J.S.バッハ=ブゾーニ編:主イエス・キリストよ、われ汝に呼ばわるBWV.639, 来ませ、造り主なる聖霊の神よBWV.667, 来たれ、異教徒の救い主よBWV.659
J.S.バッハ=ジロティ編:前奏曲ト短調BWV.535
J.S.バッハ=ヘス編:主よ、人の望みの喜びよ

ネルソン・フレイレ(ピアノ)
2015年8月, ハンブルク、フリードリヒ・エーベルト・ハレ

ブラジル生まれですが、ディスコグラフィーを見るとバッハ、ブラームス、シューマン、そして母国の大家ヴィラ=ロボスなど、渋めのリサイタル・アルバムが多く「全集録音」などは得意ではなかったのかもしれません。
みっちさんが追悼記事で取り上げている、ブラームスの2曲のピアノ協奏曲など、あのタッチで弾かれているのなら、ブラームスの苦手なネコパパにも聴き通せるかもしれません。
NMLを見ると、主要録音は聴けるようなので、あらためて耳を傾けてみたいと思いました。

フレイレさんの死因についてですが、リオデジャネイロの自宅で転んで頭を打っていたという報道が出ています。2019年10月末に転倒して腕を骨折後、演奏復帰を模索したがかなわず、最近はうつ病に苦しんでいたとも。ブラジルはコロナ禍も大変でしたし、不安と心理的苦痛に苛まれていたのかもしれません。なんとも残念です。

関連記事
スポンサーサイト



コメント

コメント(2)
ネコパパさん、ご無沙汰しています、拙記事の紹介ありがとうございます。
ネルソン・フレイレさん、彼のレパートリーは少しみっちの守備範囲とずれているので、聴く機会はさほど多くなかったです。この方の本領は、ショパン、シューマン、ラフマニノフ、ドビュッシー、ラヴェルあたりで発揮されたのでしょうか。

親交のあったアルゲリッチとのデュオ以外で、代表盤は何ですかと改めて聞かれると、みっちなどはう~んとなってしまいそうです。(汗)ならいっそ、アルゲリッチとシューベルトのデュオあたりをもっと録音しておいて欲しかったなぁ、とか思います。

みっち

2021/11/30 URL 編集返信

yositaka
Re:ネコパパさん、ご無沙汰しています、拙記事の紹介ありがとうございます。
みっちさん
記事を拝読して、そういえば、と思い当たったくらいですから私もそれほど接点はありませんでした。ただ、ピアノで弾いたバッハが好きで、けれど、グールドはちょっと…という私の好みにはフィットしたのです。でも、ここを起点にバッハを続けて録音するかというとそうではない。そのあたりのレコーディング姿勢が「代表盤」の生まれにくい要因だったのかもしれません。
ブラームスの協奏曲は、ちょっと聞きましたが、なかなかいいですね。
私はこの2曲は、自分から聞くことはほとんどなく、第2の第3楽章をときどき取り出して聴くくらいですが、フレイレなら続けて聴けるかもしれません。
アルゲリッチとのデュオ。
ディスクは何枚かあるんですが、正直手が伸びません。アルゲリッチが苦手なせいもありますが、そもそもピアノ二台を聞き分けるというのは、それだけで、私にはプレッシャーに感じてしまいます。

yositaka

2021/11/30 URL 編集返信

コメント投稿
非公開コメント

プロフィール

yositaka

Author:yositaka
子どもの本と、古めの音盤(LP・CD)に埋もれた「ネコパパ庵」庵主。
娘・息子は独立して孫4人。連れ合いのアヤママと二人暮らし。

ご訪問ありがとうございます

月別アーカイブ

検索フォーム

QRコード

QR