『田園」、それは至福の交響曲




雑誌『一個人』4月号(KKベストセラーズ)
で「至福のクラシック」という特集が組まれていたので購入した。
一般向けの雑誌がクラシック音楽の特集を組むと、
こうなる!
という顕著な例である。
うるさいことを言わず楽しもう。
目次を見ていくだけで、とくにファンではない、多くの人々をひきつける観点と手腕がよくわかる。
なかに「クラシック不滅の名盤best100枚」という記事があった。
『交響曲』『管弦楽曲』『協奏曲』『器楽曲』『室内楽』の五つのジャンルから、それぞれ二十枚を選んで紹介したものだ。
『声楽曲やオペラ』がまったくないのは、編集部に
クラシックはあくまで楽器演奏!!
という信念があるからか。
その選曲とディスク選びは、さらにおもしろい。
「五人のクラシック評論家たちがベストテン方式で選出。必ず聞きたくなる感動の一枚」というのだが。
その五人とは
宇野功芳
吉井亜彦
諸石幸生
本間ひろむ
許 光俊 の諸氏で、ファンには一癖ある面々とわかる。

その『交響曲』の部で見事ベストワンに輝いているのが
ベートーヴェン:交響曲第6番『田園』
ブルーノ・ワルター指揮 コロンビア交響楽団のディスクである。
『田園』のベストワンではない。
交響曲のそれである。
私の何よりの愛聴盤だけに、
ついにこの日が来たか。長かった…
と深い感慨を持った。
しかし続くベスト10までの選択を見て、
なんだ 冗談か
とがっかりした。
だってこうだよ。

2位 ベートーヴェン:交響曲第9番 フルトヴェングラー指揮バイロイト祝祭管弦楽団
3位 シューマン:交響曲第4番 フルトヴェングラー指揮ベルリン・フィルハーモニー
4位 モーツァルト:交響曲第40番 ブルーノ・ワルター指揮ウィーン・フィルハーモニー
5位 チャイコフスキー:交響曲第6番 エフゲニー・ムラヴィンスキー指揮レニングラード・フィルハーモニー
6位 シューベルト:交響曲第9番 フルトヴェングラー指揮ベルリン・フィルハーモニー
7位 ベートーヴェン:交響曲全集 ヘルベルト・フォン・カラヤン指揮ベルリン・フィルハーモニー
7位 ベートーヴェン:交響曲第5番.第7番 カルロス・クライバー指揮ウィーン・フィルハーモニー
7位 マーラー:交響曲第6番.第7番 クラウス・テンシュテット指揮ロンドン・フィルハーモニー
7位 マーラー:交響曲第7番 オットー・クレンペラー指揮ニュー・フィルハーモニア管弦楽団

カラヤンなんか全集で一枚なんてずるいし
フルトヴェングラーのシューベルトなんて42年の戦中ライブが選ばれているし
ブラームスもシベリウスもブルックナーもドヴォルザークもショスタコーヴィチもなくてあのマーラーの第7番が二枚もあるなんてどう考えても変だし
指揮者は全員故人だし

交響曲は録音のうんと古い
超個性的な演奏で
ベートーヴェンとマーラーの
同じ曲の異演をいっぱい聴き比べましょう、というわけか。

必ず聞きたくなる感動の一枚、かなあ。

こういうセレクションでワルターの『田園』が一位といわれても。
ちなみに、他のジャンルの選曲もなかなか抱腹絶倒なものがある。
是非一読を薦めたい。
(薦めるのかい)

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コメント

コメント(4)
No title
履歴から参りました。失礼を承知で書きます。
確かにご指摘のようにリストに偏りがあるように思います。
一方で選択されているものには、それなりの説得力もあるように思います。例えばマーラーの7番の2盤はおかしい気もしますがテンシュテットの6、7は甲乙付け難いように思いますし、クレンペラーも世評にたがわずスゴイと。(より尖っているのはフルヴェンのシューマン#4とワルターのモツ#40のウィーンの選択では?)
故人ばかりというご意見も甚だ同意しますが、では現役でというとアバドやシャイー、或いはラトルをバーンスタインやヴァントより優先させるかというと悩みます。またシベリウス、ショスタコ、ドヴォも2番、5番、9番なら、6番、7番、8番を個人的には推したいのですがそれも批判が多いように思いますが如何でしょうか。

irigomi45

2009/05/30 URL 編集返信

No title
はじめまして。過去の記事にさかのぼってコメントをいただいたのははじめてです。光栄です。
さて、私個人としては奇妙なリストと感じつつ、どうせならこのくらい偏見に満ちている方が楽しいという気がするのも事実です。
『レコード芸術』でいつも特集されているベスト盤選びも、どうも代わり映えしない内容ですしね。
でも、マーラーなら4,3,9のようないい曲をさておいて7番を二種選ぶのはいくら何でもと思いますし、クレンペラーの代表的名演がこのマーラーの7番かといわれても、私なら納得しかねます。
シベリウスの選曲、この三曲なら私は納得です。指揮者は順に、たとえばハーヴォ・ベルグルンド、マリス・ヤンソンス、小澤征爾を選んでしまいましょう。ほら、三人ともご存命です。

yositaka

2009/05/31 URL 編集返信

No title
企画に困ると直ぐ「名曲ベスト100」みたいなことをやるレコ芸がまた、今年の5月号から始めましたね。いつも代わり映えしない選者で、代り映えしない演奏を選んで何とも新鮮味に乏しい企画です。以前ムックでリーダーズチョイスの「名曲名盤100」というものがありましたが、ああいう企画の方がよっぽど面白く読めます。どうせならそういう企画の続編を読みたいものです。

geezenstac

2009/08/20 URL 編集返信

No title
これはこれはgeezenstacさん、意外なところでコメントいただきました。
今月もレコード芸術が出ました。
交響曲の蘭で宇野功芳氏が、演奏論を逸脱した本音を叫んでいます。また
私の愛聴するアンセルメの諸盤がどっと再発されたのですが、批評では、評者の誰もが口をそろえて「アンサンブルが危うい」「技量不足」と言っています。特集での「ダフニスとクロエ」全曲の「徹底解剖」でも、アンセルメはぼろくそで、推薦盤のトップに、ブーレーズ盤が上げられています。
もちろん理由あってのことでしょう。でも、おもしろくない!!
私は学生時代、ブーレーズ盤よりも後にアンセルメ盤を聴き、まったく別の曲のような、耳を洗われるような感動を味わい、この曲の真のよさを知らされたのです。ノスタルジーでは決してなく。ブーレーズももちろん優秀だと思ったけれど、表現の方向性は明らかに違う。
現在のレコ芸の批評傾向では、私のような技術に鈍感、情感に敏感な聴き手は「何もわからん奴」として排除されるのではと感じ、恐ろしくなります。
困ったもんです。

yositaka

2009/08/21 URL 編集返信

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プロフィール

yositaka

Author:yositaka
子どもの本と、古めの音盤(LP・CD)に埋もれた「ネコパパ庵」庵主。
娘・息子は独立して孫4人。連れ合いのアヤママと二人暮らし。

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