みんな うんち

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福音館 1977.7.1

表紙枚の絵で構成されています。子ども、馬(下半身)、鳥、りんご。りんごがかじられているのが伏線です。扉は9枚の絵で、真ん中にたぬき、その回りの絵は全部「うんち」。
さっそく、「たぬきのうんちはどーれだ?」とクイズができますよ。
第1画面は、ぞうとねずみ。大きいのと、小さいの。
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つぎは、同じ大きさ、同じ種類でも、ちょっと違う、ひとこぶらくだと、ふたこぶらくだ。
つぎはさかな、とり、むし。魚類、鳥類、昆虫類。
それから、一気にたくさん。いろんなどうぶつ、だから、どれも哺乳類。バックの色が暗めで来たのに、ここで「ぱっ」と明るくなるのも効果的です。
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つぎは、へびと、くじら。このふたつは「へびのおしりはどこ?」と、普段は意識にないことを、聴き手に問いかける語りに変化します。
そして次は「とまってうんち」「あるきながらうんち」と、うんちの仕方に注目。
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その次は、うんちをしてからの行動の違いです。
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こうして進んで、登場人物全員が、声を合わせるように
「いきものは たべるから」「みんなうんちをするんだね」
と、締めくくります。
「うんち」をテーマにするだけで、子どもには大きなインパクトがあります。これだけでもう、勝ったようなものですが、不思議なことにこれ以前は、「排泄」という行為を、ここまで正面切って題材にした絵本はなかったように思います。アイデアはあったのかもしれませんが、出版にこぎつけるまでには、いろいろと、さしさわりがあったんでしょう。

そこを五味太郎は「かがくのとも」の一冊、つまり観察と探求の絵本とすることで、見事にクリアーしました。この一冊には、一つの物事をいろいろな見方で見ることで、深く掘り下げていく「科学の姿勢」が打ち出されています。
「科学」なら、うんちを取り上げても大丈夫。人生経験の少ない子どもにとっても、絶対に避けて通れない、最も多く「観察」している、自分の分身のような「うんち」を選択するのは、むしろ自然、そういうことなんですね。

でもそれだけではありません。
背景の色から、テキストの配列、様々な方向から活写される動物たちの姿など、この絵本の持つリズム感や物語性の豊かさもまた、すばらしいと思います。「文学」でもあり「美術」でもあります。
「科学」「文学」「美術」が「うんち」を中心にひとつになり、素敵なハーモニーを奏でている。これは、絵本というメディアでした達成できない、究極の総合芸術ではないかと感じられるのです。


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yositaka

Author:yositaka
子どもの本と、古めの音盤(LP・CD)に埋もれた「ネコパパ庵」庵主。
娘・息子は独立して孫4人。連れ合いのアヤママと二人暮らし。

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