フルトヴェングラー「バイロイトの第九」に3番目のマスターが!

金曜日、いつものように名曲喫茶ニーペルングに出かけると、常連のお客様から「フルトヴェングラーのバイロイト盤がスウェーデンからも出ましたよ」というニュースが。
帰って確かめると、HMVのサイトに出ていた。こりゃ、えらいこっちゃ…
といっても、ディープなクラシック・ファンでなければ「それ、何の話?」だろう。
かいつまんで言うとこうだ。往年のドイツの指揮者フルトヴェングラーの指揮したベートーヴェン「第九」のレコードは、複数残されているが、皆ライヴ録音。それらの中でも、最も早くから知られ、有名なのが1951年、バイロイト音楽祭での録音で、これは以前から正規録音として、レコード会社EMI(現ワーナー・クラシックス)から出ているものだが、近年、同じ日の放送録音と言うものが見つかって、やれリハーサルだ、本番だ、いや編集版だと議論を巻き起こしている。
そこにまた、さらに議論をしっちゃかめっちゃかにしそうな、不穏な録音が、なんとスウェーデンからあらわれた…ということである。
以下引用。

スウェーデン放送所蔵音源によるフルヴェンの『バイロイトの第9』
2021年10月13日 (水) 19:00 - HMV&BOOKS online - クラシック
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フルトヴェングラー生誕135年の掉尾を飾る世紀の大発見!
 まさに1951年7月29日、スウェーデン放送によって中継放送された番組、冒頭の3か国語(ドイツ語、英語、スウェーデン語)によるアナウンスから巨匠の入場、渾身の指揮、やや長めのインターバルをはさみ、最後の2分半以上に及ぶ大歓声と嵐のような拍手(と番組終了のアナウンス)まで、85分間、一切のカットなしに当夜のすべての音をSACDハイブリッド盤に収録しました。
 発掘のきっかけはキングインターナショナルと縁の深かった仏ターラ・レーベルの主宰者、故ルネ・トレミヌ氏が遺していった『Furtwangler / A Discography by Rene Tremine』…の中の「バイロイトの第九」(1951年7月29日 バイロイト、祝祭歌劇場管弦楽団)の項の最後の行に次のような記述が「Bavarian Radio, Munich and Swedish Radio (archive LB 14784)」。バイエルン放送、ミュンヘン放送、そしてスウェーデン放送も放送していたというのです!
 この1行の記述を頼りに、弊社(キング・インターナショナル)では長年の付き合いがあるスウェーデンBISのロベルト・フォン・バール会長に音源探しを依頼。そしてついに、見つかったのです!

【バール氏からのメール】
「音の状態は悪くない。思ったより良好。SACDハイブリッドで出すことに決めた。マスターテープを借りられた。これから音質とノイズ等のチェックをおこない、年内緊急発売を目指してスタジオ作業中だ。マスターテープに遺された音は一切カットせずに、85分間を1枚のCDにも収録する予定である。この伝説の名演の核心に触れられることに我々スタッフ一同も興奮している。」
【収録情報】
● ベートーヴェン:交響曲第9番ニ短調 Op.125『合唱』
 エリーザベト・シュヴァルツコップ(ソプラノ)
 エリーザベト・ヘンゲン(アルト)
 ハンス・ホップ(テノール)
 オットー・エーデルマン(バス)
 バイロイト祝祭管弦楽団&合唱団
 ヴィルヘルム・フルトヴェングラー(指揮)

 録音時期:1951年7月29日
 録音場所:バイロイト祝祭劇場
 録音方式:モノラル(ライヴ)
(輸入元情報)

引用終わり。
ネコパパがフルトヴェングラーの「第九」を聴いたのは中学3年生の時で、それはもう、おったまげた!全編を通しての分厚い、強烈な響き、ティンパニの強打、フィナーレの流動するテンポ、とくにコーダの何が何だかわからない超加速。クラシックを着黄ばめたばかりの少年には刺激が強すぎて、ついにこういう人間が出来上がってしまった。
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ただし、それはバイロイト盤ではない。米VOXから出ていたベルリン・フィル戦中ライヴで、バイロイト盤を聴くまでにはそれから2年ばかりのインターバルがあった。
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ようやく聴けたのはEMIの米廉価盤セラフィムのオートチェンジャー仕様という曲者だったが、純正モノラルで、音は十分聴けた。
音楽づくりの基本はベルリン盤と共通だが、オーケストラの響きはより晴朗で、さらにベルリン盤にない仕掛けもいくつかあって、確かに「伝説のレコード」と言われるだけのことはあると思ったものだ。今も一目置いている。愛聴盤かと言われると、ちょっと躊躇するけれど…これを信奉する人が多いのは理解できる。
そんなわけで、同日別収録と言われるオルフェオ盤が出たときは、好奇心に打ち勝つことができなくて…
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買ってしまった…
ところがこれ、同じ演奏なのかどうかわからない。リハーサルか、本番か、いろいろ言われた。CDの録音は細部が明瞭でいいけれど、恐るべきオーラみたいなものがさほどなく、この指揮者の演奏としてはかなり「普通」だ。2,3回聴いた後は、聴き返さない。

そうしたら今度はスウェーデンから出てきた。普通考えると、スウェーデン放送局がわざわざバイロイトまで乗り込んで独自収録したとは思えない。おそらくこれは、オルフェオ盤と同じバイエルン放送協会収録のコピーテープではなかろうか、と推測されるのだが…聴いてみたくはないか、と言われると、またぞろ、好奇心が湧いてくる。またもネコパパ、悪の組織キングインターナショナルの策謀にはまってしまうのか。

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コメント

コメント(10)
わたしもニュースを検索しました・・・・
yositakaさんならこれを直ぐ記事で挙げるだろうと思っていました
こういったニュースに反応できる愛好家も段々と世間から超少数派になっていってるんだろうと寂しい感じ半分。
私自身実際手に入れたとして「バイロイト`51」は敷居が高過ぎ、朝比奈のブルックナーの凄演の数々と同じく全曲耳にするのは結局十年に1度あるか無いかになるだろう事は眼に見えています
ウラニアのエロイカのみ蒐集している超コア・コレクターとかフルトヴェングラー以外指揮者として絶対認めん狂信的ファンもいるのは実際過去いましたしネット上で知った件もなかなか愉快な話です。

老究の散策クラシック限定篇

2021/10/16 URL 編集返信

yositaka
Re:わたしもニュースを検索しました・・・・
老究さん、お久しぶりです!
やっぱり、こういうニュースには心が躍りますね。クラオタの性とでもいいましょうか。バイロイト第九、私はもう昔ほど敷居も高くなく、第3楽章だけ聴き流したりして柔軟です。ただ、昨今では、あまりにもたくさんの盤が好きなだけ聴ける現状、どれにも聴きどころがあって楽しめるのも事実なので、一人の指揮者や一つの録音にこだわって聴くスタイルは、すでに過去のものになっているのは確かでしょう。
けれども「そういう話」を楽しみ、「歴史遺産」を愛でる気持ちはずっと大切にしていきたいと思っています。でないとつまらないです。

yositaka

2021/10/16 URL 編集返信

キングインターナショナルの策謀
徳岡さん、熱いですね! ネコパパさんも熱くなっているだろうな~。
悪の組織キングインターナショナルの策謀>SACDでいくらで出すのか楽しみですね。
LP2枚組で出したら「べらぼう」でグリコでしょうね。
「私は、買わないけど」編集なしでしたら今までの「そうゆう話」論争に決着がつき「楽しみ」が減る可能性が大きいですね。
音の良いBISのフルベン:新しいバージョンは、気になります。
(私も策謀にはまっていますね。)

チャラン

2021/10/17 URL 編集返信

Re:キングインターナショナルの策謀
チャランさん
価格は平均的なCD1枚分で、SACDだからといって高くしていません。
おそらく大量の売れ行きを期待しているのでしょう。追って国内盤仕様やLPも発売されるとしたら、それは高くなると思います。輸入盤は散財レベルではないので、買おうかなと思っています。

yositaka

2021/10/17 URL 編集返信

続キングインターナショナルの策謀
策謀にはまりました。苦笑)
会員価格より1000円高く・輸入盤より121円高い國内盤仕様を予約しました。
私の拘り(増殖対策として日本の演奏家でない国内盤は、購入しない。)に反してですが、日本人向けに味付けしてない事を今更ですが神様・仏様にお祈りしています。

後付けですが平林直哉氏の解説に惹かれたのとネコパパさんの輸入盤購入に狂ったようです。全曲通しのライブ録音は、疲れるが魅力がありますね。

チャラン

2021/10/17 URL 編集返信

yositaka
Re:続キングインターナショナルの策謀
チャランさん
では私はブックレットの中身だけ読ませていただくことにします(笑
音質は同じでしょう。ただ、BISは録音に一家言あるレーベルですが、ヒストリカル復刻盤はほとんどなく、私は一枚も聴いたことがないのが心配です。ノイズを削って音を弱体化させる傾向のあるオルフェオと同類でないことを願うばかりです。「音質とノイズ等のチェックをおこない…スタジオ作業中」と、パール氏は言っていますが「作業」はあんまりしないで、そのままの状態で復刻してほしいものです。

yositaka

2021/10/17 URL 編集返信

ご感想、お待ちしています
タイムリーなニュースをありがとうございます。既存盤とどう違うのか、かなり気になりますね。

去年はコロナでクラシックのコンサートには行けず、第9もバイロイト盤を家で聴くだけでした。

来月は私が住む姫路にウィーンフィルの公演があり、翌日は大阪でキーシンのリサイタル、その翌日は大阪でまたウィーンフィル、月末は大阪でN響と、リベンジ・コンサートで忙しいです(笑)。第9のコンサートも倍返しで2回行きます。

チケット代が家計を圧迫してるので、バイロイト第9の新盤はネコパパさんのご感想を拝読してから購入を検討いたします(笑)。音質がかなりよくなっていれば購入したいですね。よろしくお願いいたします!

豆餅

2021/10/23 URL 編集返信

yositaka
Re:ご感想、お待ちしています
豆餅さん
>チケット代が家計を圧迫
お察しします。先日も妻と新聞のコンサート案内を読んでいてウィーン・フィル4万円越え、キーシン3万円越えに二人でため息ついていたところです。
ウィーンフィルは国立歌劇場のピットですが、新婚旅行で聴きました。それで満足。引退生活者に高額のチケットは分不相応と思っています。N響は新常任指揮者就任予定のルイージでしょうか。彼には期待したいですね。ティーレマンがらみでドレスデン国立歌劇場でと大喧嘩、痛快な人物です。
CD購入もかなり減っていますが、これはさすがに見落とせません。でも、落胆したら記事にしないかもしれませんよ?

yositaka

2021/10/23 URL 編集返信

ご感想がなければ、バイロイトの新盤は購入しなくてもよいかな。

ウラニアのエロイカも色々出てますが、結局スタジオ録音でええやん、でした。でもファンとしては、新盤に期待をかけますね。

新婚旅行でウィーン国立とは、何て贅沢で、素敵すぎ。

私が住んでいたNYでは、クラシックとオペラはホンマに安上がりな娯楽でした。カーネギーでウィーンフィルの公演は一番安いチケットで22ドル。20年ほど前です

なので帰国して、海外演奏家のチケットが高くてもうビックリ。

遅まきながら、N響は今年生まれて始めて生で聴いて、音の素晴らしさに痺れました。あの厚みのある響き、関西のオケには出せないです。来月の大阪公演はルイージさんですね。楽しみです。

豆餅

2021/10/23 URL 編集返信

yositaka
Re:
豆餅さん
11月の名古屋定期もルイージですが、パガニーニのヴァイオリン協奏曲第1番とチャイコフスキーの交響曲第5番という、プログラムが、なかなか微妙です…
NYはそんなに安いんですか。クラシック人口の違いとはいえ、羨ましいですね。ヨーロッパも同じでしょう。日本は高くても赤字ですから。
>フルトヴェングラーのエロイカ、スタジオ録音でええやん、
ですか。いやいや、私はウラニアもとい44年録音も大好きですし、1950年代のベルリン・フイルとのライヴも良く聴きますよ。それでも、自分としては特にフルトヴェングラーのファンではないと思っています。ただ、いいものはいくつあってもいいんです。

yositaka

2021/10/24 URL 編集返信

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yositaka

Author:yositaka
子どもの本と、古めの音盤(LP・CD)に埋もれた「ネコパパ庵」庵主。
娘・息子は独立して孫4人。連れ合いのアヤママと二人暮らし。

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