訃報 クリスタ・ルートヴィヒさん

クリスタ・ルートヴィヒさん(ドイツのオペラ歌手)オーストリア通信(APA)によると、24日、ウィーン近郊の自宅で死去、93歳。
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 ベルリン生まれ。1955年ウィーン国立歌劇場に入り、ミラノ・スカラ座やニューヨークのメトロポリタン歌劇場など世界を舞台にメゾソプラノ歌手として活躍。カラヤン、ベーム、バーンスタインら世界的指揮者、マリア・カラス、シュヴァルツコップら伝説的歌手と共演した。ベートーベン「フィデリオ」、リヒャルト・シュトラウス「ばらの騎士」などに出演し20世紀最高のオペラ歌手の一人と評された。94年に公演活動から引退していた。 

ベーム、カラヤン、クレンペラー、バーンスタインと、高名な指揮者との共演が多く、引退後も彼らのドキュメンタリー映像のコメンテーターとしてよく顔を出していた。気さくな話し方。コメントは鋭く的確だが、相手を傷つけるような話はしない。でもカラヤンに対してはちょっとキツかった。

そのなかで特に印象に残っているのは、バーンスタインとマーラーの「大地の歌」のリハーサルをしていたときの映像だ。第4楽章「美について」の中間部、あのドラマティックなシーンでバーンスタインは一気にテンポをはやくする。ついていけず悪戦苦闘するルートヴィッヒ「むりむり、このテンポじゃとてもダメよ!」とレニーにさんざん文句を言うのだが、完成した録音ではものの見事に歌っている。考えてみれば、それまでにクレンペラー、カラヤン、カルロス・クライバーと散々この曲をやっているのだから本人にとっては何でもないはずなのだ。相手の反応を読みながら対等に渡り合う様子はしたたかで、すごい存在感があった。

というわけで、すぐに思い浮かぶのはマーラー。「大地の歌」ならクレンペラーとの共演が素晴らしい。ベームとは「さすらう若人の歌」「亡き子をしのぶ歌」のライヴ盤。そして「子どもの不思議な角笛」のバーンスタイン盤。彼が指揮したものとピアノを弾いたものの二種類があったが手元にあるのは指揮したものだけ。ピアノ伴奏版も聴いてみたくなった。
それからベームと共演したブラームスの「アルト・ラプソディ」初めてこの曲が美しいものに感じられた。ベームとのオペラではモーツァルトの「コシ・ファン・トゥッテ」。ワーグナーの「トリスタンとイゾルデ」。R・シュトラウスの「ばらの騎士」も、カラヤン、バーンスタイン盤にでている。この曲の良さがわからないネコパパにはネコに小判だが…
「第九」「ミサ・ソレムニス」「レクィエム」などの宗教曲にも多く参加している。60年代は、メゾ・ソプラノといえばルートヴィヒ、と言えるようなありさまで、一時代を画したと言うのは彼女のような存在に当てはまる言葉だろう。あらためて、じっくり、これらの遺産に耳を傾けたいと思う。

まずは、この一枚を…
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そして、そのあとは…
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コメント

コメント(6)
追悼
懐かしい名前がだんだん消えていきますね。

クリスタ・ルートヴィヒが自伝「In My Own Voice: Memoirs」の結語で忘れられない思い出として挙げていたのは、バーンスタインでした。それもマーラーの交響曲第2番です。あーっ、みっち大愛好の曲ですね。クリスタがアルトパートを歌った、バーンスタイン/NYPとの1987年DGG盤があります。クリスタの念頭にあったのは、この演奏のことでしょうか。
まぁ、今晩はひとつ、この盤の4楽章、5楽章を掛けてクリスタを偲ぶことにいたしましょう。

みっち

2021/04/27 URL 編集返信

yositaka
Re:追悼
みっちさん
バーンスタインのマーラー「復活」、確かに素晴らしい演奏ですね。第4楽章「原光」は、同じバーンスタインの「子供の不思議な角笛」の中でも歌っています。こちらもニューヨーク・フィルなので、比較するのも面白いかもしれませんね。
私も久々に耳を傾けてみることにしましょう。

yositaka

2021/04/27 URL 編集返信

ルートヴィッヒと言えば、やはりマーラーかな~~~
こんにちは。
失礼な言い方ですが・・もう亡くなったと思っていました。
私もルートヴィッヒの逝去について簡単な投稿記事を書きましたが、HIROちゃんにとってもルートヴィッヒと言えば、マーラーでしょうか・・・
マーラーは進んではあまり聴かない苦手な曲が多いのですが・・クレンペラー、ヴンダーリッヒと共演したマーラーの「大地の歌」は素晴らしいと思いますね。

彼女の全盛時代ともいえる1960年代の演奏をこれから少し聴いてみようかと思っています。

HIROちゃん

2021/04/29 URL 編集返信

Re:ルートヴィッヒと言えば、やはりマーラーかな~~~
HIROちゃんさん
メゾソプラノは「第9」のソリストの中の存在感から感じられるように、まことに地味な存在です。
オペラでも主役は「カルメン」くらいじゃないでしょうか。
ルートヴィヒも多分、それはやっているでしょうが、でも柄じゃない。
ドイツ・オペラの脇役とリート、宗教曲が似合っていましたし、彼女と意識しないでも、随分聞いてきた、そんなイメージがあります。気がつかないうちに一線から退き、93歳までご存命。こうありたい人生の一つの典型と思います。合掌。

yositaka

2021/04/29 URL 編集返信

リート歌手クリスタ・ルートビッヒ
ブラームスやヴォルフを歌っているクリスタ・ルートビッヒが特にお気に入りでした。
映像も多く残してくれましたね。頬骨がしっかりしていて首も太く、メゾソプラノ歌手(アルト歌手)に向いているって感じで見ていました。

わたしも拙ブログで愛聴盤の幾つかを挙げました。御笑覧を。

ひきこ杜

2021/04/30 URL 編集返信

yositaka
Re:リート歌手クリスタ・ルートビッヒ
ひきこ杜さん
記事拝読いたしました。
随分お聞きになっていらして、私とは年季が違いますね。
>頬骨がしっかりしていて首も太く、メゾソプラノ歌手(アルト歌手)に向いている
とは、いかにも画家の視点で観察されておられさすがですね。確かに彼女からあふれる雰囲気というのは、軽薄さなど全くない、楽壇の屋台骨という感じの存在感でした。
ご紹介の映像作品「ウィーン・ラスト・ライヴ1994」、興味をそそられます。

yositaka

2021/04/30 URL 編集返信

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プロフィール

yositaka

Author:yositaka
子どもの本と、古めの音盤(LP・CD)に埋もれた「ネコパパ庵」庵主。
娘・息子は独立して孫4人。連れ合いのアヤママと二人暮らし。

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