読んで、聴いて驚く童謡CDブック。

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KKベストセラーズ2004.3.5初版第1刷
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SPレコード時代考証の第一人者による童謡集で、大正期から戦後までの代表的な24曲がSP復刻音源として付録のCDに収録されている。タイトルは「親子で読んで楽しむ」と、入門書的であるが内容は学術的にも貴重なものだ。
まず、収録された歌詞のテキストを、原則、初出文献を元に表記しているということ。最初に印刷された雑誌、楽譜、レコードの歌詞カードを丹念に調査し、それそれの作品の「この世に初めてあらわれた文言や文字使いを再現」しているのである。「まえがき」にあるように、その種の資料の保存状況は悪く、筆者は一冊の本を探すのに東奔西走されたとある。
例えば「汽車ポッポ」の歌詞が、原作通りの「畑もとぶとぶ」ではなく、「田圃もとぶとぶ」となっているのは、歌手の川田正子が録音時に間違えて歌ったのに合わせて修正された歌詞カードに依ったものと思われる。

残念なのは、せっかくそのような努力がなされているのに、ひとつひとつの歌詞の詳しい出典が明記されていないこと。この「汽車ぽっぽ」の歌詞変更についても、解説では一言の注釈もない。再版の機会があれば、このあたりを修正した増補版を出していただければと思う。

添付CDの内容はすばらしいものだ。
復刻にあたっては、入念なピッチ調整とノイズ除去が行われたというが、使用したSPの状態がすばらしく、ネコパパの架蔵しているオークション落札品とは次元の違う鮮明さである。巻末には復刻の方法が詳細に記され、発売形態・発売年月日・録音年月日なども記載。このようなデータの特定は日本の場合は困難で、これだけ調べるのにどれだけの苦労があったか、ため息が出る。筆者の研究の重点は、歌詞テキストよりもこちらの方に重点がありそうだ。
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コメント

コメント(2)
「楽曲目録」
欧米のLPディスコグラフィーには、普通に載っている録音年月日、SP盤は、少ない。
音盤研究後進の日本では、國会図書館でさえレーベルに依頼の発売日までの資料しかないのに良く調べられました。備考の販売価格は、当時の時代考証の研究に役立ちます。
「ピッチ調整とノイズ除去」は、素人の私が苦労した思いがあり何を基準にしたのか興味があります。
普通に聴けば「盤起こしの復刻盤か」と思われるかもしれないが少しでも聴いたり・調べたりした私には、「楽曲目録」を見ただけでそのご苦労が分かります。

チャラン

2021/04/19 URL 編集返信

yositaka
Re:「楽曲目録」
チャランさん
日本のSP盤ディスコグラフィーとしては「SPレコード60,000曲総目録」(昭和館)がありますが、欠番も多く、なにより発売年月日が不明です。
そこでネットの「邦楽SP盤レコード総目録」http://78music.jp/lisitTop.htmlにお世話になることが多くなります。でもやはり欠番が多いし、他資料との食い違いも見られ確実ではありません。そこへいくと、本書のデータは詳細で、筆者の研究の深さが伝わってきます。復刻CDの中にはネコパパの童謡SPコレクションに含まれるものもありますが、同じ録音とは思えないほど細部まで鮮明なのに驚かされます。ランクで言うと「EX」では使い物にならず「M」か「NM」の状態のものだけを使用しているようです。

yositaka

2021/04/20 URL 編集返信

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プロフィール

yositaka

Author:yositaka
子どもの本と、古めの音盤(LP・CD)に埋もれた「ネコパパ庵」庵主。
娘・息子は独立して孫4人。連れ合いのアヤママと二人暮らし。

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